前へ、前へ、その先の塁へ ●S×DB○3回戦
私はいつも、雄平にワクワクしている。だから、毎日が楽しい。
なぜか。雄平はいつでも、全力プレーを見せてくれるからだ。どんな凡打でも、大きなストライドで1塁まで全力疾走。いつもいる神宮の内野席から、1塁に走る雄平を追い、何度「セーフ!」と声をあげたことか。そして実際セーフになったときのあのよろこび!雄平が全力でもぎ取った内野安打から、試合が動く。なんという希望だろうと思う。
山崎晃大朗。173cm・68kgの小兵は、いつもすばしっこく走る。今日も、走った。6番センターでスタメンだった山崎は2回、ファーストゴロに倒れる。しかし、際どいアウトの判定だった。惜しい!こーたろーの足を以てしても、セーフにはならなかったか。
5回も同じく、ファーストゴロ。相手ピッチャー・平良拳太郎の低めに決まる制球力を打破できない。と思いきや、今度はセーフ!内野安打となった。打ち崩せないなら、足で取りに行く!ほら、突破口は、この機動力なんだ。
しかし、またしても際どい判定に、ラミレス監督からリクエストが入る。セーフだ。セーフセーフセーフ!
……判定は覆り、アウトになってしまった。確信があったのだろう。納得いかない表情で、しばらく1塁から動かなかったこーたろーを見て、私は思い知らされる。
こーたろーは、足が速いから1塁まで走ったんじゃない。目の前の塁を取りに行く。その一心で走ったのだ、と。
5安打1得点で負けてしまった、今日の試合。それでも私は、全力で1塁まで走るこーたろーに、ついテレビの前で声が出た。
「こーたろー、走れ!」
私は今日も、こーたろーにワクワクしていた。だから、明日も楽しい。
だからこそ、選手に笑顔のないまけほなのが、くやしい。
R2.7.5 sun.
S 1‐8 DB
明治神宮野球場
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