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なぜ、南米のサッカーは強いのか~地理的考察から見るフットボール~
皆様こんにちは。
本田拓郎(Takuro Honda)と申します。
この記事へお越しくださいまして、ありがとうございます。
このnoteでは、今現在観光業に就いている私が、私の目線で、「観光・旅行・歴史・文化・教育」について、知識や新たな発見の提供、その他自論を展開し、「勉強になった!」や「こんな考え方もできるなぁ」という、古代ギリシャでいう、「アゴラ」のような場所を目指します。
私が勉強していることを皆様とも一緒に学ぶというスタイルで、記事を創っていきます。
今日の記事は、ちょっといつもとスタイルを変えてみて、私が小学生の頃からずーーーーーっと続けている、サッカーについてです。特に、ワールドカップで好成績を残し続ける(2002年のブラジルを最後に優勝から遠ざかてるけども)南米のサッカーを、スポーツ×文化×歴史という視点で、のぞいてみようと思います。
拙い文章力と乏しい考察力ではありますが、
最後までお付き合い、お願いいたします。
1. 南アメリカの地誌
大概のスポーツは、そのスポーツが生まれた国や地域が強いのが定説だと言えるでしょう。でもサッカーにおける南米はその例外ではないでしょうか。2020年4月発表のFIFAランキングでは、3位にブラジル、5位にウルグアイ、9位にアルゼンチン、10位にコロンビアと、トップ10に4か国います。また、ブラジルはドイツと並ぶFIFAワールドカップ最多優勝国、ウルグアイは初代優勝国、アルゼンチンも優勝経験ありと、好成績を残しまくり。我らが日本代表にとっても、2006年ドイツ大会ではグループリーグでブラジルに大敗、2010年南アフリカ大会ではRound of 16でパラグアイ代表に惜しくもPK負けと、南米代表の壁は高いと言えるでしょう。(2018年ロシア大会でコロンビアに勝利し、ワールドカップで初めて南米代表相手から勝利をもぎ取りました!)
これ以上現代サッカーの話をすると本題に入れないので、そもそも南アメリカ大陸にはどのくらい国があって、どんな文化で、どんな歴史なのか、基本を抑えていきましょう。
まず、国家数は12か国。もともと先住民の「インディオ」という民族がいましたが、大航海時代の波に飲まれ、ヨーロッパの国々がどんどん進出し、破壊と略奪、新国家の建設などを行ってきます。特に大航海時代の主役である、スペインを筆頭に、ポルトガル、イギリス、オランダなどが各地域を植民地化し、今の国家はそれら旧宗主国から独立したというわけです。その影響で、ブラジルのみポルトガル語、ガイアナのみ英語、スリナムのみオランダ語、残りの国がスペイン語を公用語としてます。さらに、ヨーロッパ人が鉱山や農園の開発のために、アフリカから労働力としての奴隷となる人も入植させました。それに伴い港湾が発達したために、沿岸に大都市が多いのも特徴です。このようなヨーロッパの侵攻が、南アメリカにサッカーを持ち込んだとも言われています。
ただ、12か国の中に先進国と言えるような国はなく、各国で特権階級と貧困層の格差が顕著に表れているのも事実です。経済に関しても、チリの銅やコロンビアのコーヒーといった、一本鎗のモノカルチャー経済のため、安定してるとは言い難い国が多いです。ただ、ブラジルについては、「BRICs」に数えられ、経済成長が著しいと言えます。それでもやはり、農業・工業中心で、世界目線で見ると、これからどんどん経済が発達していく国です。
そして、もう一つの特徴は、圧倒的大自然です。世界的大河のアマゾン川が流れ、その周囲には熱帯雨林が広がり、西にはアンデス山脈が、北にはギアナ高地と、世界遺産になるような豊かな自然が盛りだくさん!また、リャノやパンパなど、各気候帯に草原が広がっており、これが大規模農園発展の背景にあります。
南米の基礎はこのくらいにしておいて、これらを踏まえて、南米のサッカーの強さに迫っていきましょう!
2. 経済的背景
こんな話をよく聞きませんか?「貧しい地域の少年が、サッカーでスーパースターになる」っていうエピソード。実話ですからね。最近では、ブラジル代表に定着し、イングランドプレミアリーグのエヴァートンで活躍する、リシャルリソンが有名ですね。彼は貧しい家庭の出身で、幼いころから働き、道端でサッカーをし、そこで才能を見出されたとか。今では、クラブでも代表でも欠かせない選手に成長し、さらに昨今の情勢を受けて、貧しい家庭の支援をする活動を始めた、スーパーナイスガイです。
サッカー漫画でも、裸足で公園や空き地でサッカーをしている貧困の少年が描かれていますね。そういう少年って大概サッカー上手いんすよね笑 前章でも述べたように、ブラジルはまだまだ富裕層と貧困層の差が激しく、子供のころからサッカークラブに入ることが出来るのは、それなりに収入がある家庭の子供だけ。だから貧しい子供たちは、整備されていない場所でサッカーをするというわけです。おまけにサッカーって他のスポーツと違って、ボールがあればできる、つまりそこまでお金がかからないというわけです。
あとは、「裸足」という点がポイントです。自分の身体で直接ボールに触れるので、感覚が浸透しやすいんですね。スパイクを履いていても、あんなに巧みなボールタッチができるのは、幼いころからの感覚が身体に染みついているからと言えるでしょう。
このように成長していった子供たちはいつの日か、ビッグクラブでプレーして、お金を稼いでいくという夢を持つようになります。私たちみたいに、お金を払えばサッカーをする環境があるような国ではないので、サッカーでお金を稼ぐというメンタリティを植え付けているのも、こういった背景があるというわけです。
経済的背景を見ていくのも実は「地理学」の1つ。この章で話してきたことはあまりにも有名な話です。でも、私が伝えたいことは、これじゃないです。もっと歴史や文化的背景、南アメリカの根幹にあるものを見ていくと、結びつくものがあります。
3. 民族的背景
社会科の授業で、アメリカは「人種のサラダボウル」って勉強したことを覚えてますか?これは、アメリカには、多くの人種が生活していることを意味します。コーカソイド(白色人種)も、ネグロイド(黒色人種)も、アジア系も、ヒスパニックも、先住民も1つの国の中で暮らしていることを示しています。
では、南アメリカは人種の「何」と言われているか、ご存じですか?これも社会科の授業で習うはずです。答えは「るつぼ」。るつぼとは、異なる金属どうしを溶かして、合金を作るのに使う道具です。じゃあ、「人種のるつぼ」ってどんな意味なんでしょうか。「人種が混ざり合ってるてこと?」って思った方、正解。でも1つの国の中でって思った方は惜しい。1つの国の中ではなく、1人の人間の中で混ざり合っていること、つまり、「混血」です。
第1章の内容を思い出してみましょう。もともと先住民(インディオ)が住んでいた南アメリカに、ヨーロッパ人が侵攻してきました。さらに、アフリカから入植させられた労働力の人々も加え、この時点で3つの民族が1つの大陸に集まりました。そして民族間の婚姻が進み、混血の文化が発達していきます。
混血の民族は大きく3組に分かれています。インディオとコーカソイドの混血は「メスティーソ」、先住民とネグロイドの混血は「サンボ」、コーカソイドとネグロイドの混血は「ムラ―ト」と呼ばれています。一部の国では、両親がスペイン人の南米生まれの人を「クリォーリョ」と呼んでいますが、これは超難関大学しか入試に出さないので覚えておいたら得するかも。このように、混血の文化が根付いたからこそ、それぞれの民族が持つ身体的ポテンシャルを併せ持つ民族が生まれたのです。
コーカソイドの特徴は、屈強な肉体と骨格です。ボディコンタクトを伴うプレーでは圧倒的な強さを発揮します。イングランド代表キャプテンでトッテナム・ホットスパーの大エース、ハリー・ケインは、空中戦でもポストプレーでも強い万能FWですよね。
ネグロイドの特徴は、爆発的なスピードと圧倒的な身体能力です。ガンバ大阪所属時は「浪速の黒豹」と呼ばれた元カメルーン代表のパトリック・エムボマは、体躯にも恵まれていながら、それに見合わぬしなやかな身のこなしで、私たちがビックリするようなプレーを見せてくれました。
南アメリカのサッカー選手はこれらのハイブリッド。ブラジル代表でパリ・サンジェルマンの守備の要であるマルキーニョスは、強いし速いDFです。そりゃ南アメリカのサッカーが強いわけですよ。歴史的背景が身体的ポテンシャルに結びついているのが、鍵になっていたんですね。
4. これからの南アメリカフットボール
私がサッカー出身なので、サッカーの話ばっかしてきましたが、他のスポーツはどうでしょう。ブラジルはサッカーだけでなく、バレーボールでも3度ワールドカップ、オリンピック、世界選手権を制覇してます。アルゼンチンはラグビーワールドカップで2007年に3位の成績を収め、バスケットボールでは2004年アテネオリンピックで金メダルを獲得しています。ベネズエラは野球の強豪国で、MLBヒューストン・アストロズの「小さな巨人」ホセ・アルトゥーベや、デトロイト・タイガーズのミゲル・カブレーラといった、機動力もあり、パンチ力も備える現代野球のスーパースターの出身国でもあります。このように、様々なスポーツで結果を残し続ける国ばかりです。
サッカーに話を戻すと、20歳未満の若い選手がどんどんヨーロッパの強豪クラブに引き抜かれているのが現状です。レアル・マドリード所属のヴィニシウスは18歳でブラジルを離れ、La Ligaの銀河系軍団の一員として大活躍中です。今後も多くのクラブが南米の若き才能を注視し、ヨーロッパに迎え入れることでしょう。そんな若き才能たちが、母国リーグに残るという可能性は低いのではないでしょうか。ヨーロッパのリーグだと、スポンサー、クラブ資金が、南米のリーグよりも潤沢で、第2章で述べた、「サッカーで稼ぐ」という夢は掴むには、最高の舞台です。また、サッカーに打ち込める環境も非常に整備されており、チームメイトや対戦相手の選手たちも、世界に名を轟かす選手ばかり。自らのスキルアップもでき、活躍すると、より名声を獲得することができるわけです。それを恩返しと言わんばかりに、国家代表に召集された時は、国のために戦い、好成績を残し続けるという好循環が生じていると考えることができます。
このスパイラルは、これからも回り続け、世界を席捲することでしょう。日本サッカーも、南アメリカ出身選手がいなければ、レベルアップには繋がらないです。Jリーグにはたくさんの助っ人の選手が来てくださって、レベルアップを牽引してくださってます。日本も南アメリカ諸国に負けないよう、「勤勉さ」を武器に、世界でもっと好成績を収めれるように、切磋琢磨していってほしいと思います。
長くなりましたが、
今回も最後まで読んでくださいまして、誠にありがとうございます。
Ciao...