現在完了形の違いをどのように教えるか How to teach present perfect 

 はじめに
 私は、英語教育は専攻ではないので自由研究の領域として読んでいただきたい。

 現在完了形を指導するのはかなりのチャレンジであると感じるのは私だけであろうか。
 実際に平成29年度告示の新学習指導要領を参照すると

現在形や過去形、現在進行形、過去進行形、現在完了形、現在完了進行形、助動詞などを用いた未来表現

として「現在完了進行形」が、「仮定法」とともに高校内容から移行されていることを示している。

時制や未来表現こそが英語学習者を苦しめ、当事者でもあった私はこの指導法に大変苦慮している。
その上で今回は現在完了形について簡略ではあるが指導方法についての考察をここに記していきたい。

まず前提として時制は「現在」「過去」の2つであると定義したい。
根拠は以下に示す。

「時制」とは,動詞を変化させることで時間について表すことであり,現在時制と過去時制があり,未来の事柄は助動詞等を用いて表す。相には,進行相と完了相があり,この組合せのうち,中学校で指導するものは,・現在形,過去形・現在進行形,過去進行形・現在完了形・現在完了進行形・助動詞などを用いた未来表現である。高等学校では,過去完了形,過去完了進行形を加えて指導する。

高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編 平成 30 年 7 月 p.39

まとめると

①過去時制と現在時制 →「2つの時制 past tenseとpresent tense」 として分類する。

過去時制(past tense)

(書き手が)いつどこで誰がどうしたか を物語る。

①過去進行形
②過去完了
③過去完了進行形
④助動詞の過去形
⑤通常の過去形

現在時制(present tense)

①現在形
②現在完了形
③現在進行形

である。
(ルター式英文法研究:【時制】②音楽の長調・短調のような、現在時制《説明調》・過去時制《物語調》参照)


この過去と現在の時制の前提条件を押さえた上で現在完了形を説明するとする。

基本の文法ルール
現在完了形
⭐️主語+have/has+過去分詞


日本語を経由せずに学ぶ(訳読しないこと)の重要性

基本の文法ルールを押さえたところで、今回は日本語に”訳さない”ことを意識したい。現在完了形は日本語にはない時制であるためである。

矢印→での時制の学習はどうか


過去のある地点から現在を繋ぐ。過去は…そして今は…を示すのに使うのが現在完了形であると指導する。すなわち

I lost my headset. (過去なくしました、今はわかりません。見つかったかも)
I have lost my headset.(過去になくしました。現在も無くしたままです。)

の過去と現在完了形の違いを説明するのだ。その際に日本語に訳してしまうと「私はイヤホンなくしました」と両者がなってしまうので説明は困難を極めてしまうのだ。

よって日本語の訳読や継続/完了・結果/経験」の用法を事細かに分類するよりはこの過去と現在イメージを伝えていくことが重要であると私は考える。

tutoring education(少人数指導の場合)

会話ベースでの指導の可能性

How have you been? 最近どうだった?

how are youの現在完了(あえて言うと継続用法)であり「最近どうだったの(少し前から今までさ)の調子を聞ける表現である。

How are you? よりは、過去に遡って調子を聞けることを学習者に伝える。

以下の表現(経験用法に該当する)はどうだろうか

Have you tried ramen?

→ 過去に食べたことある、だからは味も!食べ方も!わかるよ!

Did you try ramen?

→過去食べたことある。→あの時のラーメン不味かったわ。と過去の話に終結する。

これらを学習者に伝える。

しかしながら、学習者の集中力、並びに人が集中して話を聞ける限界は、学力差にかかわらず、5分だと考えている私にとってはこれらを5分以内で明確に説明することはかなり困難ではないかと考えられる。
英語に対して苦手意識を覚える学習者は3分で聞く力を失うと定義するべきであろう。

そのため私は、ゲーム形式での指導に対しても可能性を覚えている。

Liar game

あずれあさん が紹介しているゲーム

どちらにせよ、現在完了形の3つの用法を文法的に指導するのは限界があると思うのだ。どのようにすれば生徒たちが”楽しい”と思える文法指導ができるのか。
考え続けても答えはいまだに出てこない。

次回は英作文の可能性について自分なりに考えてみたい。


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