恩人 冨田英樹さんのラストフライトに同乗[後編]
皆さまこんにちは!
Nikonのカメラを使い続けて39年!!
ミスター600mm、航空写真家の深澤明です。
さて、昨年末にアップいたしました
「恩人 冨田英樹さんのラストフライトに同乗[前編]」
には多くの反響をいただきました。
「冨田さんは地上、空中に関わらずスタッフから愛されていますね!」
という冨田さんの同業者の方からのメッセージもいただきました。
このラストフライトに同乗させていただいてワタクシ自身が最も感じた部分が「愛されている冨田さん」でしたので、それが少しでも伝わったようでとても嬉しく思っております。
さて、2024年10月24日、ニュージーランド航空の成田 - オークランドNZ90便。冨田さんのラストフライト、後編をお届けいたします。
このフライトの少し前にニューヨークの取材から帰ってきたばかりのワタクシを気遣い、睡眠をするように促してくれた冨田さんのご厚意に甘え、3時間ほど記憶をなくしました。
目が覚めますと、そろそろ2回目の機内食が始まろうとしております。
冨田さんはビジネスクラスでパンをすすめていました。
2Lのギャレー横から撮影していたワタクシを見つけて
「良く眠れましたか?」
と笑顔で気遣ってくださった冨田さん。
「おかげさまで爆睡いたしました」と答え、ここから先もあらゆるシーンを逃すまいとレンズを向け続けました。
すると、盛り付け後半は冨田さんも参戦!!
ベーグルを手際良く盛り付けていきます。
「実は盛り付け、得意なんですよ」
と冨田さん。
「これでラストの盛り付け作業ですね」
とやや感傷的な言葉を思わず投げかけてしまいましたが、ここは実際のフライトの中。
真剣に作業されている方へ投げかけるべき言葉ではなかったと、ちょっぴり反省しています。
機内食サービスも終わりトレーなどの回収を終えると、ニュージーランドのオークランド空港への降下が開始されました。
いよいよ冨田さんのラストフライトも残りわずかです。ジャケットを羽織り、ビジネスクラスのキャビンをまわる冨田さん。
タッチパネルでキャビン内の照明をコントロールするのも、マイク越しに機内アナウンスすることも、これでラストです。
そしてついに、NZ90便はニュージランドのオークランド空港のRWY05Rに着陸しました。
スポットに着くと、1Lドアの前に立った冨田さん。正真正銘、ラストドアオープンです。
ドアを開けると、、、、、、
そこにはオークランドの現地スタッフの皆さんが冨田さんを待ち受けておりました。
思わず「うわ!!」と叫ぶ冨田さん。
「お疲れ様でした〜〜〜〜!!」と盛大なお出迎えです。
ファインダー越しに見ているワタクシまで、胸が熱くなりました。
キャプテンやコーパイだけでなく、オークランドの現地スタッフも冨田さんのラストフライトを愛を持って祝ってくれている気持ちがヒシヒシと伝わってきました。
キャプテンや客室の副マネージャーからの機内アナウンスで冨田さんのラストフライトを知った搭乗者からも、降機の際にねぎらいの言葉をかけられたいました。
シップサイドで大集合写真を撮影してから、ホッとした表情を見せる冨田さん。
しかしながらサプライズはこれで終わりませんでした。フライトの疲れも吹っ飛ぶような光景が待ち受けていました。
なんと到着出口では「HIDEKI応援隊」!?の盛大な出迎えを受けたのです。
これには冨田さんも大感激の様子でした。
そしてその流れでターミナル内の一室でプチ送別会が開催されました。
冨田さんの嬉しそうな顔がとても印象的でした。思い出話に華が咲きます。
フライトから出迎え、そしてプチ送別会まで。レンズを向けることができたのは冨田さんのおかげです。
そして、このような濃厚なドキュメントタッチでお伝えできたのも、冨田さんとニュージーランド航空のスタッフの皆さんのおかげです。
昨今、機内取材では「自席からの撮影のみ」と制限がかかることが多くございます。
それは「他の搭乗者にご迷惑がかからないため」であり、エアラインとしては当然の配慮であります。
事前申請をしてギャレーにてギャレーワークや搭乗前のキャビン内でのブリーフィングの様子を撮影させていただけることもありますが、自席を立って人物を追い続けるのは今では不可能です。
もちろん、ワタクシも最大限の配慮は欠かしません。そのあたり含めて信頼してくださったことにも感謝の気持ちでいっぱいです。
今回のようなドキュメントタッチでレンズを向けることができるのは、おそらくこれが最初で最後ではないでしょうか。そのぐらいの貴重なシーンの連続であり、貴重な機会であったことは間違いありません。
そのことと、冨田さんのことを「恩人」と呼ばせていただいているのには密接な関係があるのですが、それはまた機会を改めて。
さて、プチ送別会が終わりターミナルビルの出口まで見送られてきた冨田さん。最後はヨシさんとふたりになり通勤の車を止めてある駐車場へのバスへ乗り込みました。
ヨシさんとも別れ、ひとりで車へ向かう冨田さん。
その後ろ姿からは、寂しさ滲み出ておりました。