<21>独身貴族はテレビが友達、そして四十路のOL生活。
じじょうくみこが誕生して丸10年。というわけで勝手に生誕記念⁉でウェブマガジン「どうする?Over40」に連載していた処女作の「崖っぷちほどいい天気」をこちらに転載しております。
四十路婚活が暗礁に乗り上げておりますので、しばらくは小ネタが続きました関係で、とんでとんで21回にまいります。今回からは、四十路ハケンOL編がスタート。まずは序章。このあと次々と珍獣が出現することになり、「会社とは」「自由とは」といったことをですね、真剣に考えることになるのでありました。それにしても、今では五十路のハケンOLも珍しくなくなってきました。世界はこれからどうなるのでしょうか。
どうでもいいけど、10年前のドラマの数々、キャストが今でも現役で驚く。そしてほとんどのドラマが配信で見れますね。よい時代。
それでは、どうぞ~。
*** 2013年10月12日の記事***
独身貴族はテレビが友達、そして四十路のOL生活。
気になるドラマが始まりました。その名もズバリ、『独身貴族』。
父が興した映画会社会社を引き継いだボンボン社長にして、映画と美食と高級ファッションをこよなく愛する【独身貴族】の兄・草なぎ剛と、離婚協議中ながら周囲の女性を虜にしている【離婚勇者】の弟・伊藤英明。そこに、仕事も恋もつまずきっぱなしの【恋愛難民】北川景子がからんできて…というラブコメらしいですが、初回見逃してしまいました。
さすがフジテレビというか、映画会社社長だの美食だの貴族だの勇者だのっていちいち設定がバブルっぽいわ? サブタイトルに至っては「swinging single」ですってよ? わたくし独身だからって一度もスウィンギングしたことございませんわ? やっぱりセレブじゃないとダメなのかしら? だからデヴィ夫人とかIKKOとか出てるのかしら? でも伊藤英明が鬼畜キャラなら見てみたいわ?
ここにきて独身アラフォーがよく題材になってますけど、どうなんですかね。
去年の今頃やっていた菅野美穂・天海祐希W主演の『結婚しない』は、アラフォー独女の現実(35歳で契約社員とか更年期とか親の老いとか)がリアルに描かれて見応えがありました。春にやっていた観月ありさ主演の『ご縁ハンター』はテーマが「アラフォーの婚活」とドンピシャすぎて、逆に観られませんでした。
でもやっぱり独身貴族モノ(そんなジャンルあるのか)なら阿部寛主演の『結婚できない男』がベストでしょう。阿部ちゃん扮する独身男の偏屈ぶりたるや、すさまじかったですよ。あれを観て「三十路四十路の男めんどくせえ!」と気づいた女子も多かったんじゃないでしょうかね。
ああそんなことはいいのです。秋のドラマシーズンが始まって堺雅人の『リーガル・ハイ』やら長澤まさみの『都市伝説の女2』やらシリーズモノも目白押しだし、ミズタクじゃなくて松田龍平が出る『まほろ駅前番外地』もあるし、新朝ドラ『ごちそうさん』はやたらお腹がすくし、キムタクドラマは…まあいいとしても気になるドラマが目白押し。なんだかもう私ったら大忙しでどうしましょう!
……とかなんとかドラマを観てお茶を濁さずにはいられないのが、秋という季節の恐ろしさです。
えー
ひとこと言って、いいですか。
さ
み
し
い
(爆)
会社員でなくなってから早や10日。やめたらアレしてコレして…とやりたいことリストを作ってみたり、これでゆっくり休めると指折り数えておりましたのに、いざその日が来てみると、なんだかポカーンと心に穴が開いたよう。1日ってこんなに長かったっけ。家ってこんなに静かだったっけ。リズムが狂って私なんだか変な感じ。みんなどうしているのかな、私がいなくなっても会社は回っているんだよね。
…。
……。
……………。
ヤダちょっと何このハートブレイク感??
彼氏と別れて急に隣が寒っ…みたいな空虚感やめて?
会社に行かなくてさみしいなんて、イタすぎて泣いた涙でごはん3杯食べられる惨状。このままいったら定年迎えて燃え尽きるオジサンみたいになっちゃうかもと驚愕ガクブルでありますが、さみしいと感じているってことは会社でちゃんと居場所を見つけられた証だよなあ、という気もして、それはそれでよかったのかもと思ったり。何はともあれ長い長い秋の夜をもてあます、ちょっぴりおセンチくみこでございます。
さて。
長年フリーランスとして働いてきたとはいえ、時にはバイトやったり、契約社員になったり、期間限定スタッフになってみたりと、いろいろな形で労働にいそしんでまいりました。それでもほとんどは単発の助っ人だったり、週何日かのゆるい契約。学校を卒業して数年間だけ過ごした社員生活も、小さな会社ゆえに大したルールもありませんでした。なので一般企業でがっつり会社員生活を送るのは、今回が初めてのことだったのです。
ちゃんと毎日通えるかな、人間関係ギスギスしてたらどうしよう。自分が会社員だった頃は40代の派遣社員なんていませんでしたから、自分が会社的にどういう立場になるのかすらよくわかりません。でもこれも人生修業。3年は何があってもがんばるのだ。ああでもやっぱりちゃんとした会社員なんて無理かも…などと揺れる乙女心満載で初出社したのがですが…。
実は私が派遣された先は、ちょっと変わった部署だったのです。
商品開発部というくくりの事業部の中にある、小さな部隊。それはいわゆる「付録」と呼ばれるものを作るチームでした。
付録。おまけ。本体にくっついた添え物や販促物。なのに最近では本体を食っちゃうくらいに存在感を増しているソレ。
営業部からは「もっと売れるものを作れ」と突き上げられ、本体を作る開発部からは「しょせんおまけでしょ」と見下げられ、購買者からは「おまけが欲しくて買ったのに」とクレームを受け。いいものを作ってもそうじゃなくてもアレコレ言われる、それが付録という不思議な世界。
しかも最近は付録といっても本当にいろんなものがありますよね。当然ながら、付録部隊もいろんな分野から人材が集められます。そうなるとどうなるかというと、その道のエキスパートが揃った部隊というのは、総じてワイルドな現場になるもので。
長年アウトローとして生きてきた自分の人生を見直すべく、一念発起して一般企業で働き始めたはずが、なぜか一般企業の中にある、あまり一般的じゃない人たちの巣窟に放り込まれるという、このめぐりあわせ。そうして私は「会社員のほうがよっぽど自由だ」と実感するに至ったのでありますが…。
ってすいません、さみしさに足を取られて本題にたどりつけませんでした!続きはまた今度m(_ _)m
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
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