<2>未来を思うと悲しくなるから、マツジュン。
連休が明けて、今日はいろいろなところから重たい相談が舞い込み、あー日常が始まったなという感じの1日でございました。
思えば、じじょうくみことして書き始めた10年前、わたしは40代独女としてヒーヒー言いながら生きていて、やっぱりまわりにとんでもないことが起きているのに書ける場所がないことに悶々としていました。
フルタイムで会社勤めしながら、帰って個人の仕事をしていたのですが、それでも足りずに会社のトイレや通勤電車で週1連載書いていたんだから狂気ですな。というわけで第2回。
元記事はこちら。
↓
*** 2013年5月18日の記事***
未来を思うと悲しくなるから、マツジュン。
先日、GW中に観光農園でバイトしていた友達が鼻息荒く連絡してきました。
「ちょっと、すごかったよ今年! 夫婦だか部下だかツバメだかわかんない年上女と若い男子のカップルばっかり! しかも女の強いこと! ほっそほその男子に『アンタもうちょっと太りなさいよ!』とか命令してんの。まるでアレみたいだよ、なんだっけ、ちょっと前に流行ったほれ、マツジュン飼ってた小雪みたいな」
ペット? きみはペット的な?
どこにいるのかマイペッツ。ここにおいでよマイペッツ。こんにちは、あなたのじじょうくみこです。好きな言葉は「大人の対応」です。
友人は観光客が集中する時期にこのバイトにかり出されているのですが、東京から日帰り圏内のせいか、これまでは「いかにもお忍びデートしてます的なオヤジと若い女の不倫カップル」が多いと聞いておりました。それが今年は「どう見てもうちらと同世代の女と若い男のカップル」ばかりだったという。この逆転現象は何なのか。これもアベノミクスとやらのしわざ?
いいなあ~。私もペットほしい~~~~。
でもペットは飼えないアパートなので、とりあえずダンナを探すことにします。
*
「独女」という言葉がすっかり定着した昨今ですが、「20代独女」なんてまあ当たり前ですよね。「30代独女」でも「仕事忙しくてタイミング難しいよね、お金もたまって遊びたい年頃だしね」なんて事情もくめるというものです。
ところが、これが「40代独女」となると事態は一変します。バツイチならまだしも、40代で一度も結婚したことがない人に対して、多くの人はこう考えるようになるからです。
「あの人、絶対何かあるよね (よろしくない意味で)」
30代までは単なる属性だったものが、「40代・未婚女性」になった途端、それはある種の「個性」として特殊な色合いを放つようになります。いわく、プライドが高い。理想が高すぎ。頑固者。わがまま。変な趣味があるらしい…etc
四十路独女を見て人は「どうして結婚しない(できない)んだろう?」といぶかしく思うようです。理解できないものがまわりにあると、人はモヤモヤします。そしてモヤモヤをはらそうとして、それらしい理由を探そうとします。結婚できない理由がありそうな人は「やっぱり、だからだね」と納得するし、理由が見つからない人は「きっと私たちにはわからない何かがあるに違いない」と想像して安心する。
うちの親もそうでした。
20代はひたすら見合い話を持ちかけていたのに、30代前半は「結婚はいいから子供だけは産んでおけ」と言い出し、30代後半になると20歳年上のハゲオヤジと無理やり結婚させようとする暴挙に出て、ぐるぐる回りまわって最終的には
「お母さんね、男の人を愛せない人がいてもいいと思うの」
とよくわからない納得のしかたをして沈黙しました。否定したらしたで面倒くさいので、はいともいいえとも答えないまま現在に至ります。
ええ、ええ、わかりますよ大人ですもの。自分が周囲から浮いているのも自覚してますし、我ながらここまで一人身が長いと「やだひょっとしてそっちのケがあんのかも?」と己のポテンシャルについて検証したりもします。
でもね、ひとこと言っていいですか。
・・・・ (パカッ)←開けた
なんで結婚しないか、ですって?
それ、私が世界で一番知りたくってよ!
なんで、なんで結婚できないの? あの人もあの人もあの人さえも結婚できてるのに! 性格? 性格ヤバめなの? 言っちゃって? 誰か私のここがダメって言っちゃって?
言いたいの、「うちのダンナがさあ」とかって言いたいの! ケンカして実家に帰ったり、嫁姑に悩んでみたり、「老後は田舎で暮らそうか」って相談したりしたいのおおお~~!!!
・・・・・(カポッ)←閉じた
はい、といったわけでですね、がんばっていかなあかんなーといったわけでですね、
同世代の方々は育児もほぼ終えて、同居やら介護やらと新たなステージへ進んでおられますが、未婚の私には未知すぎて悲しくなります。かといって年下が抱える悩みの多くは、とっくの昔に通り過ぎてしまいました。もちろん独身ならではの楽しみもありますが、もう自分のことだけ考えるのも飽きました。
かくなる上は世間の「四十路独女フィルター」を取っ払い、絶望的に少ない出会いの扉を無理やりこじ開けて、どうにかこうにか独身に終止符を打つしかないっ!
とは言ってもねえ。
やっぱ思っちゃうんですよね。同世代の独身男性を見たときに。
「あいつ、絶対なんかあるな」
同じ穴のムジナとわかっていても、どうにもそこんとこの事情はくみたくない、じじょうくみこでありました。
やっぱ、マツジュンかな。(綾野剛もいいよね)
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎