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ヤンデンボのカズはクビになった。

ウェブマガジン「どうする?OVER40」で連載を持っているのですが、かれこれ1年半くらい更新していません。その連載自体も長いブランクのあとに始めたものでしたから、ほとんど書いてないに等しい状態です。

いやはや面目なさしかない。コツコツ書き続けている執筆陣がまぶしすぎてつらい。

なかなか筆が進まない理由のひとつに、「シマ島で描きたい登場人物が多すぎる問題」があります。シマ島、個性的な人集まりがち。常になにか、やらかしがち。この人のこと書こうと思ったら新しい人が現れてなにかやらかして、誰のなんの話を書けばいいのかわからなくなります。

いっこいっこ整理が必要です。相関図を作りたい。

なので今日はとりあえず、「ヤンデンボのカズ」の話をします。

島って理想郷じゃないかと思うけど、理想郷が優しいとは限らないよね。」の回で紹介したヤンデンボのカズ。ヤンデンボがなにを意味するのか皆目わかりません。なんなら本名も知りません。知りませんが集落の中で会わない日はないというくらい会います。蛍光色のジャージにざんばら髪を揺らし揺らし、ギラギラした目で一日中歩き回っている、島では有名なおじさんです。

ヤンデンボのカズは毎日律儀なくらい島じゅうを歩いているのですが、暖かくなって旅行者が増えてくるとソワソワするのか、お客にからんであることないことしゃべりまくり、旅人をたいそう困らせます。

そこで「カズにも何か仕事を持たせたほうがいい」と誰かが考えたのか、ある日を境に集落で姿を見なくなり、かわりに墓地に現れるようになりました。

どうやら誰かが、寺男の仕事を世話したようです。境内や墓地の掃除などの雑用を行う寺男の仕事は、これまで「ヤマのチューマ」と呼ばれるおじさんが担当していました。ヤマのチューマ。謎の名前ばかりのシマ島です。

チューマはやせた小柄のおじいちゃんで、齢は70代。チューリップ帽にくたびれたランニングとステテコを履き、サムライの刀のように箒を腰にさして歩くという、なかなか個性的ないでたち。背中を丸くしながら、いつも境内を掃いているのでありました。

そのチューマが病気で倒れた、というニュースが聞こえてしばらくたって、ヤンデンボのカズがいれかわりで寺男としてキャスティングされたのです。ちいさくて働き者のチューマを見れないのはさみしいですが、カズがお客さんに迷惑かけるよりはマシか。なにはともあれカズも仕事ができることがあってよかったね、と島のみんながほっと胸を撫で下ろしていたら。

気がついたらチューマが寺男に復活していました。

だれかヤンデンボのカズに仕事を!


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