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ぶっとい大根と、どこにも知られないまま動いていく世界について。
ある夜、ザビ男が晩ごはんに野菜の蒸籠蒸しを出してきました。
つまみでちびちびやりたいわたしとは正反対で、ザビ男は濃いめの味付けにしたおかず1品にごはんをわしゃわしゃ食べるのが好きなタイプ。何の味付けもしていない蒸し野菜なんて問題外なのに、
「野菜で変わったメニューにしたかったから」
ザビ男にそう言わしめるほど、この冬のシマ島は食材が乏しくなっています。
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「それにしても今年、荒れすぎじゃない?船、来なさすぎじゃない?誰も言わないけどさ、もうこれちょっとした被災地だと思ってるよ」
と昨日、知り合いが笑いながらつぶやいていました。
世間では災害級の大雪だとか、最強寒波到来だとかニュースで連日報道されていますけど、もちろんみなさん大変な思いをされていると思いますし、思いを寄せたい気持ちはじゅうぶんにあるんですけれど、
こちとら1週間、物資入ってないんやって
という思いをどこにぶつけたらいいのかなって思うわけなんですよ。
もともと冬は海が荒れがちで、2日3日船が来ないというのはよくあることなんですが、さすがに4日5日来ないとスーパーからっぽなのわかっているから買い物にも行かなくなりますよね。
しかも、船が出るか出ないかわからない状態が長引くと、そもそも期限切れリスクがある生鮮食品を船に載せないようにするらしく。船を待って待って待って、やっと船が来た~!となっても、着いた船に食べ物が載ってないというとんでもない事態になっておりました。
こうした事態には慣れっこの島民も、さすがにこう食べ物がないと食事のバリエーションが少なくなってきます。ああフレッシュな野菜が食べたい。菜っぱものを高めのドレッシングでわしゃわしゃ食べたい。入荷しても高すぎて買えないキャベツと大根を、ひとかけらも残さず食べた~い!
と思っていたら、ザビママから
「ちょっと畑からひっこぬいてきて」
と言われて畑に行ってみたら
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今年は天候悪くて作業してないと思っていたら、しっかり植えてあったよ。隣に長ネギ、あと軒下には寝かせて甘くなったさつまいも。さすが生粋のサバイバーはレベルが違う。スーパーだったら1000円以上したよ、ザビママ感謝。
というわけで、ようやく手に入った貴重な野菜をどうしようかということになり、あの蒸し野菜になったわけなのであります。
まあそんな毎日を過ごしているわけなんですけどね、世の中にはまったく知られないまま淡々とサバイバルな日々が過ぎて、どこにも知られないまま死んでゆく島ぐらしです。
話は変わりますが、1年半ぶりにOver40で書きました。
noteでは当時ちょこっと書いていたので、ご存じの情報もあるかと思いますが、11月のオバフォ―祭りをドタキャンするハメになった騒動の顛末です。
いつものように長くなったので、前後編に分けてお送りします。
今回は前編。
後編は1週間後の2月23日(日)更新予定です~。
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