スーパーがつぶれた。勝手にウーバーが始まった。
いやはや、あやうい1週間でありました。
単発で入った新規のライター仕事があったのですが、受注した案件は3回に分けて納品する予定になっていて、同じメディアなのに担当編集者が3回とも違うという変則的な体制。仕事をくれた人と編集担当が違う、毎回担当者が違う、しかも全員初めましてのメンバーとなると、なかなかの混乱を招くもので。
担当者によってやり方が違うので、同じ担当者だったら1回ずつテンポよくいけたものが、最初の担当はこちらが連絡するまで何もしない、2番目の担当は前倒しで進行しようとする、といった感じで現場がカオスと化し、久しぶりに夜中まで仕事するハメに……。
そんなわけでドタバタしているうちに、近所のスーパーがつぶれました。
シマ島にはスーパーが3つあって、スーパーといっても本土のコンビニくらいのサイズ感なのですが、コンビニもファーストフードもファミレスもないシマ島にとって、スーパーは生命線です。しかもそろって夜7時には閉まってしまうし、天候が荒れれば食材が入らず店はからっぽになります。必要になるものを、ぬかりなく買っておく。島民としてのスキルが試されるところであります。
その生命線であるスーパーの、我が家から一番近い店が突然閉店してしまったのです。
競争のない世界なので、まさか閉店するなんて想像もしておらず、聞いたときには膝から崩れ落ちるような衝撃でありました。理由はいろいろあるようですが、常連客の高齢化もある様子。コロナ禍が明けて以降、島内は飲食店の休業や縮小が続発し、各所での人手不足も危機的状況。スーパーの閉店は、シマ島存亡の危機を象徴するニュースでありました。
ほかの店舗に行けばモノは買えますが、料理中にアッあの調味料がない、障子の張替えアッ糊がない、そういう日常のこまごました用事ができるたびにスーパーの不在がじわじわと響いております。
わたし以上に影響を受けたのは、我が家のザビママ94歳です。足の悪いザビママにとって、そのスーパーは唯一自力で買い物に行ける場所だったので、閉店以降、一切外に出なくなりました。いつもは明るくパワフルなザビママが、縁側でぼんやり座っていることも増えてきて、これを機に体調を崩すのではないかと心配していたのですが。
なにしろ食べるのも、料理するのも大好きなザビママ。すでに手を打っておりました。島内のありとあらゆる店の人が、我が家へ出入りするようになったのです。
商店、飲食店、パン屋に農協。どうやら必要なものがあれば、すぐに電話して配達してもらっている模様。あの店この店、配達してたっけ?とビックリしましたが、さすがバアチャンの言うことはハイハイと聞くのがシマ島の掟。まるで陛下に謁見するかのごとく、ありとあらゆる店の店員さんが献上に列をなすのであります。
後でお店にすみませんとご挨拶に回ったのですが、「全然いいよ~配達料もらっているし。おやつももらっているしなんかありがとう」と店員さん。
いやはやみなさん、ぬかりない。
まあそんなわけでスーパーがなくなったおかげで、ザビママはかえって食生活が充実しているという話でした。