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産休育休からフルタイムで復帰した1年目をふりかえる
こんにちは、minne でWebエンジニアとして働いているひかりです。
2023年5月から産休に入り、2024年4月末まで育休を取得していました。復帰し初年度を駆け抜けて、初年度の振り返りは今しかできないのでしたためたいと思います。
復帰当初
保育園の入園も決まり、いざ復職が迫ってくると中途入社するときのような心持ちでかなり不安になっていたけど、戻ってみるとやはり5年ほどいる職場なのと近年は Customer Reliability Engineering チームでユーザーの問い合わせベースに動くこともかなり多かったので、流石にドメイン知識もコードを見れば思い出せるという感じでそこまで忘れていなかった。使っている技術を忘れていても調べればなんとかなるので、最初のうちは仕事が出来なさすぎて落胆することはそこまでなかったように思う。
つまり「復帰前までにやっていたことはやれる」のだけど、段々、自分の記憶・かつての自分の技量が変わっていなくても、周囲は変わっているのをここで感じる。
一年も経てばチームメンバーも変わっているし、事業課題も変わる。メンバーが習得した新しい技術とそれを使っているプロダクトの機能も増え、AI活用も顕著になっている。自分の技量がさほど変わっていないのに安堵しても、キャッチアップして周囲に追いつけないと何も役に立たないのでは?と休んでいたたった一年、されど一年の重みを感じる。
また休職前に引き継ぎをした際には未来のことを考える余裕がなかったので仕方ないけれど、「自分がいなくなって回っている現場」に再び戻ってくると、自分は何に注力すればいいの?となり、方向が見えなくなってしまった。
自分がいなくて回っているところに入るという意味では中途入社するのと変わらないけど、そこでやってきた経歴はあるので周囲からは「やってくれるだろう」と思われているだろう。一度休職してしまうとこの悩みがつきまとうのだなと実感した。
そんな感じで考えつつ、避けられない子どもの体調不良が発生するとやれることもやれないので、全く仕事にならない週もあった。
異動、休職明けはじめて迎える評価時期
とぼんやりとしていたら6月ごろ、異動や退職の関係で別チームからエンジニアがいなくなってしまうため、そのチームに異動して欲しいという打診を受ける。
以前のチームに休職前は3年近く注力していたので寂しさはありつつ、自分がいなくてもなんとかなっているので、こだわらなくてもいいかとなり異動することにした。
楽観的に返事をしたけれど、いざ異動してみるとそもそも注力する課題がこれまでのチームと違うし、異動先のチームメンバーとの関係構築、新しく関わるメンバーに自分が頼れる人間ということを示していくというのをやりなおさねばならないことに気付く。(遅い)今振り返ってみると、心境は以前ブログで書いたチームを作った時と近い。
どの施策に関しても把握しておかないと困るので、信頼されているのかがわからないながらも色んな決めの場に入らないといけないことが当初は大変だった。休みが長期化する時はチームのことを別チームのエンジニアに委託しなければならないことも、休んで戻ったらキャッチアップしなければいけないのも。
そんなこんなで気がつけば12月、休職明けはじめての評価時期を迎え、復帰前は「さぞ色んなスキルが落ちて全然できてなくて落ち込んでるんだろうな」と不安だったけれどこれまでやってこなかった技術領域も少しずつ習得している手応えはあるし、生活スタイルが大きく変わった中でも全力投球していい仕事ができたなと感じる瞬間もあった。
改めて、ブランクや職場環境が変わってもそれまでの経験や考え方がリセットされるわけではないので、やはりこれまでの自分の経験をうまく活かせて仕事を回せたのかなと思う。「みんなが今できてること、自分できない」「時間がない」は育休明け必ずぶち当たると思うので、その中で前向きにこれまでの自分の経験を活かす、が病まないために大事な考え方なのかなと思う。
変化
人に委譲できるようになった
できるようになったというよりできなくても小さい子どもがいるとそうせざるを得なくなるのだけど、何でも球拾いしたところで相手にとっては期限内にそれが完結しないと意味がないので、何でも自分がやれますと言わず適切に人に委ねられるようになった。あと昔より作業時間をちゃんと考えて発言するようになった。周りをうまく頼るというのが得意ではなかったのだけど、チームを俯瞰的に見れるようになったというか休職したことで「自分がいなくても回るから」をいい意味で捉えられるようになったのが大きい気がする。
育児と仕事の両立
今のところどちらかに偏りすぎることなくやれているのかなと思う。よく「子が小さいうちから仕事していると成長の瞬間を見逃してしまうぞ」という体験談を目にしていたので我が家もそうなってしまうのか?と思っていたけど意外とそんなことはない。「何かをちょっとやれているのが保育園に行ってる時間帯でよりちゃんとした動きでできるようになった」みたいなことはあるけど、家にいる時間のなかでひとつの成長の片鱗をまったく見れない、ということはないので不安に感じすぎていたかもしれない。寂しさがないかと言われるともちろんあるけれど。
また育児がしんどすぎる時は仕事の時間がいい息抜きになるし、その逆もある。「日中仕事をし、夕方育児して疲弊して、でもその後仕事に戻ったら意外といい状態で一日終えられた」という日がまあまああって、育児に疲れても仕事を楽しめるキャパが自分にあったんだと驚いたけど、楽しめるのはひとえに周囲がそういう環境を作ってくれているからというのもあると思う。
ただ子が体調不良で保育園をお休みしているところに在宅で合間を見つけて働く、というのは我が家の場合夫婦揃って在宅勤務していても本っっ当にどっちもうまく回せずただ後悔することになったので、その場合は潔く一日休むのが一番だった…
自分は自分、他人は他人の切り替え
育休を経て色々考え方が変わると他人と比較して凹むことは無くなりましたか?と聞かれると、全くそんなことはない。しなくていいのに比較して凹みまくった。けど、比較してもいいことはないのはわかっているからそこまで悩みすぎることは無くなったのと、比較して自分を卑下することはしなくていいけど他人をよく見ること自体は大事なのでそれは忘れないでいたい。
これまでは自分の仕事で他人と比較していて、子も生まれるとよその子と発達やその他色々を比較して〜とやってしんどすぎるだろとなっていたけれどこれは上でも書いた通り、育児と仕事がそれぞれいい息抜きになっていることによって考える暇が減っている、かもしれない。
受け入れる側の意識
この半年、そこそこ仕事がうまくいった理由は何だろう?というのを将来休職明けメンバーを受け入れる側の視点で考えた時、適度な期待が肝なのかなと思う。
適度の塩梅が人によって違うので難しいけれど「休み明けだからゆっくり、やりすぎなくていい」と言ってもらえることが助かる人もいるし、でもそうでない人もいると思う。複数のメンバーと定期的に1on1をしていたけど、自分の場合は「やりすぎなくていい」とおもんばかってもらったことももちろんあったけれど「⚪︎⚪︎をしたいならそのために△△をしなければいけない」というような目標設定の話をよくしていた記憶があるので、相手の期待を汲み取りつつ自然と適度に自分に負荷をかけていたのが良かったのかもしれない。しんどい時は「やりすぎなくていい」を盾に切り抜けたことも何度もあったけど。相手の気質や状況を見てアドバイスするのは難しいけど、休職明けというタイミングは特にお互いが不幸にならないようにコミュニケーションが取れるといいなと実感した。
おわりに
ここまで書いてみて、仕事の間は仕事に全力投球でき、育児の間は育児を楽しめたのはなにより子どもが健康であるからこそだなと思う。子どもが大きくなるにつれて今と同じ働き方はできないかもしれないし、一年での職場復帰もフルタイム勤務も悩んで決断したけど、日々子どもの笑顔をみつつ無事に年末を迎えられてホッとしているし、同じタイミングで育休から復帰した同僚たち、いつも声をかけてくれたりフォローしてくれる同僚たちに感謝しています。
産育休中で復帰を考えている人や、これから休職明けのメンバーを迎え入れようとしている人にとって何か心に留まるものになったらいいなと思います。
この記事は 🎅GMOペパボ エンジニア Advent Calendar 2024 22日目の記事です。21日目は同僚の・そして子育て仲間でいつも穏やかなお父さんな tossy さんの 2024年を読んだ本とともに振り返る でした!