「天気の子」
監督:新海誠
製作国:日本
製作年・上映時間:2018年 114min
キャスト:醍醐虎汰朗、森七菜、小栗旬、本田翼、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子
この「note」を始めたのはとても個人的な記録が動機だった、映画、旅行、本の類だ。それは今も変わらず不特定多数に発信することよりもこの個人的記録が誰かの参考になると良い、という小さな希望程度。
映画レヴューである筈が、おかしな導入。
つまり、私が「天気の子」のレヴューを書いたところで大勢に影響はないということを伝えたかった。
新海の描くメガロポリス東京は健在だった。いつも見ている街がとてもアニメーション画像とは考えられないような緻密さながら、夢で見るような画質で表される。
スカイツリーではなく、東京タワーであり、山手線内側の街もまた健在。
でも、観終わって残るものがなかった。この描き方はどうかしら、と考える部分はあっても好きなシーンがない。印象に残る会話が無い。設定に無理がある。リアリティに欠ける、かといって抽象的な世界でもない。どこに(=誰に)投げかけているのか不明の中途半端さ。
新海が描く雨とビルを中心とした街中の描写が好きだ、けれども、それは『言の葉の庭』で十分楽しむことが出来る。
天候不順で「雨」が多い東京での出来事を描いているが、今回の新海監督の作品自体は「全天候型対応」よろしくに見える皮肉。
『君の名は。』での観客動員1900万人、興行収入250億円を超える大ヒットによる知名度は次の作品制作にあたって潤沢な資金を生んだだろうが、それと同等に縛りがあるように見えてならない。
川村元気のプロジュース無しにお好きな世界を描いて欲しい。それが、とてもマニアックな世界だったとしても、完成に時間を要しても待つ人は確かに居る、絶対に。
作品をスクリーンに上げる以上商業的数字は無視することは出来ないが、それ以前に「もう一度観たい作品」にしてほしい。
『秒速5センチメートル』は単館上映だったが、観た人からのリレーで半年上映されたではないか。
今回レヴュー(評価)が割れてしまったのは、新海誠監督を知った人々が増え母数が大きくなったのであるから様々な感想があって致し方ない。
★(*終盤近く描かれる東京の姿をもっと深く描いて欲しかった。その東京の姿に★を)