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「ハウス・ジャック・ビルト」

原題:The House That Jack Built
監督:ラース・フォン・トリアー
製作国:デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン合作
製作年・上映時間:2018年 152min 
キャスト: マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイビス

 一人では行きたくなかった。かといって誘える友人は誰なのかと悩んでいる時に救いの友人現れいざ映画館へ。単独女性は二人だけ、ペアで来館は私を含め三人。予想通りの客層だった。

 あまりにセンセーショナルな予告。でも、振り返ると監督作品を「ダンス・イン・ザ・ダーク」(*二度と見たくない作品)「ドッグヴィル」「マンダレイ」「メランコリア」と四作品も観ていたことに驚く。どの作品も他に例を見ない。話は逸れるが好きな作品は「ドックヴィル」。

 映画は好きで多く観ているが、非常・無常血が流れるノアール作品は苦手で敬遠してきた。この選択基準でいくと「ハウス・ジャック・ビルト」は却下なのだが、監督が気になりアメリカでは修正版上映が日本では無修正とあれば、と観ることに結果なった。

 理性と狂気のバランスが崩れていく。強迫性障害が人を殺めることで楽になっていくその過程は映画といえ不快だ。それでも、彼の潔癖症や強迫性障害がコメデイさながらに描かれる絶妙なバランス。作品(狂気)の構築。

 ドラクロワ「ダンテの小舟」、ダンテ神曲、グレン・グールドはこのような形で出して欲しくなかったが作品的には挿入に問題はない、作品中印象的なデイヴィッド・ボウイ「Fame]、監督過去作品も切り取られ出てくる。こうした事柄が映画を観ながら気付くことが出来るようであれば、予告の残虐さだけの映画ではないことが解る。だからこそ、カンヌ映画祭で半分が退場しながら残った人々からの喝さいを得たのだろう。

 身勝手極まりない本作品ではあるが、「ダンス・イン・ザ・ダーク」の方が私は苦手だ。
 今年お亡くなりになったブルーノ・ガンツ氏の存在は最初は姿なく殆どお声だけだが大きい。神父様ではなく教誨師役かしらとジャック(マット・ディロン)とヴァージ(ブルーノ・ガンツ)お二人の会話を注意深く聞いていた。ここにも見事な演出があった。
 もし予告を判断材料にこの作品を観なかった場合は後悔しただろうと観終わっての感想。
 *取り敢えず、簡単に、でも悩みながら記録。
★★★★

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