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「仮面の真実」
原題:The Reckoning
監督:ポール・マクギガン
製作国:イギリス・スペイン
製作年・上映時間:2003年 110min
キャスト:ウィレム・デフォー、ポール・ベタニー、ヴァンサン・カッセル、トム・ハーディ
*日本未公開 2005年DVD
2003年制作映画と若干古いとはいえ、ウィレム・デフォー、ポール・ベタニー、ヴァンサン・カッセル、と先ず現在も活躍の役者が揃っている、それもかなり個性的な俳優陣だ。
舞台は中世イングランドとあり、照明が乏しかった時代の画は映画「マクベス」同様終始暗い。建物を含め、小道具さえ目立たない中、端役の人々の動きであっても意味ある動きになる。
理由あって神父の身分を捨てた役をポール・ベタニー、旅回りの芸人をまとめる役がウィレム・デフォー、領主役をヴァンサン・カッセル。キャステイングは全く問題がない。一応ミステリーとなっているが中世となると現在の際立った探偵物には仕立て上げることには無理がある。謎解きと云うよりこの時代を楽しむ方がよいのではないか。ミステリーのつもりでchoiceするとあまり捻りが無い為に消化不良を起こす。
声を聴いた瞬間、画面を停止して10秒戻したのがトム・ハーディの最初に出たシーンだった。14年前でこの当時はキャステイング上位にも上がらないが端役でも存在感がある。写真は女装役の一枚。
無慈悲、冷酷な領主役ヴァンサン・カッセルも領主であっても主役級扱いではない。前半は殆ど台詞さえなく行動だけの演技だが十分に語っている。
14年前の映画だからこそ、その後の活躍を知っての片鱗を観ているのだろうが、それもこうした昔の映画を観る楽しさかもしれない。
カトリック国のスペインが絡んでいるからではないだろうが、神父を神聖化せず、かと言って腐敗の堕落した神父だけを登場させずカトリック教徒の精神衛生は気遣っている。
ポール・ベタニーの弱さ故の苦悩の姿は好演だった。
洋の東西を問わず封建時代の領主の横暴と正義の不在が案外とミステリーと二本柱だったのではないか。
★★★☆