「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」
原題:Trumbo
監督:ジェイ・ローチ
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2015年 124min
キャスト:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン
「脚本」:小説ではなく映像を主とする媒体であっても言葉が過ぎるとそれは映画にならず、反対に言葉不足でも用をなさない。無声映画から映画スタイルが移行した後に退行して無声映画に戻らなかったのは映画には言葉が必要だったからだ。私にとって印象に残る映画は、Symphonyのように映像・台詞(言葉)・音(音楽・効果音)が絡み合い、重なった映画が多い。全てを語らず続きを映像や音に委ねる妙が好きだ。
今更ながらの反省は、それほど脚本を気にしていながらこのnote記録の項目に脚本家を記入しなかったこと。
この映画の主役はその脚本家ダルトン・トランボ氏。この方の名は知らなくても「ローマの休日」を知らない人はいない。これまで映画の中でハリウッドに於いて実際に行われていた冷戦下での「赤狩り」は度々描かれていた。だが、表面上の知識だけでそれ以上を知ろうとしていなかったことをこの映画で知らされる。
赤狩りの標的になっていた彼は「ローマの休日」を本名で発表することは出来ず偽名で執筆。1963年製作の「ローマの休日」のアカデミー原案賞を1993年に改めて渡されている。
映画の中で彼が「実態の無い(赤狩り)リストに苦しめられた」と語る。リストというだけであたかも客観的な揺るがないdataのように見えても所詮人の手によるリストアップ。一旦ブラックリストに載ったが為に狂わされた人生が描かれる。
偽名を使いながら書くことで戦い続けた彼が語る「英雄も敗者もいなかった。いたのは被害者だけ」の言葉は屈しなかった彼だから深く響く。
*映画の中で活躍する三人の子のその後が気になって調べてみると、脚本家、心理療法士、写真家と両親のDNAとその生育環境が反映されていた。
★★☆
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