うさぎ3

家族が増えました:Moon 月之丞

 Sunnyを天国へ見送ってから、今確認するともう4年も経っていた。我家には未だに彼女の名残が齧られた椅子の足に、本に、コードにと残っている。
 勿論、そうした物を超越して気配としてあの子はまだ居る。マガジン「Maui&Big Island」の『虹の橋』で触れたようにあの子の不在は見送ってからのほうが意味が大きくなり、如何に物言わねど家族の大切な一員だったかを再認識させられた。
 涙はいつ涸れるの?と問いたいほどに、何気ない日常のルーチンワークにあたる度に涙が流れた。こんなに辛い別れがあるのに次の子は迎えられない、とSunnyの使ったものを片付けた。だが、やはり全ては処分できなかった。
 愛玩動物として圧倒的に数が多い犬猫と違い、中々うさぎの養子縁組は動物病院を通してもない。去年からそろそろ次の子を迎えられるかもしれないとネットで保護されているうさぎの情報を追っていたが、正直、行動を起こしてもそこに気持ちは伴走しているとは言い難い。
 ご縁だったのだろう。友人と出掛けた先で二代目となるうさぎに出会う。
 7月の半ばに6月生まれの「Moon 月之丞」を迎える。先代の「Sunny」はミニウサギ所謂雑種だった。次の子も血統など全く興味はなく、出来るなら幼い子を早くショップのケージから開放したかった。偶々雑種ではなかった。
 気持ちが通じたのはミニレッキス種生後2ヶ月目オスの子。
 Sunnyは私が探した子ではなかったので命名権がなく、そもそも「Moon」と初代に付けたかったのだが「月とうさぎ」など陳腐だと同意を得られず、撃沈。今回命名権を得たのは殆どの世話をこの子に関しても私がすることと、今回は私が連れてきた子ということも、でも、命名権を得られた一番の理由はあの悲しみの深さをpartnerも見ていたからに違いない。
 「太陽と月」「Sunny&Moon」、三代目は迎えないという覚悟で名付ける。「月の丞:つきのじょう」も捨て難く悩んでいたところ友人からミドルネームよろしく和名で二つにしては?の提案を頂戴する。でも、最近は誰もがMoonしか口にしない。まるで(人の)ダブルの子が持っているような同じ淋しさ。
 700gだった子は8月末で1,100gに成長。あっという間に赤ちゃん時代を疾走し幼児期に入る。ご機嫌時のうさぎジャンプを久し振りに見る。
 

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