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「南瓜とマヨネーズ」

監督:冨永昌敬
制作国:日本
製作年・上映時間:2017年 93min *HULU視聴
キャスト:臼田あさ美、太賀、オダギリジョー、若葉竜也、光石研

 「市子」を調べていた時に戸田彬弘監督が「南瓜とマヨネーズ」に出演の頃から若葉竜也氏を知っていた、という発言があった。どのような演技が監督の記憶に残ったのかが気になり、失礼ながら軽い気持ちで「南瓜とマヨネーズ」を観始めてしまう。
 実際は若葉竜也氏の演技を確認次第視聴を止める筈が最後まで観てしまった。2017年作であっても仲野太賀氏の演技力が観客を惹きつける。

二人の距離1
二人の距離2

 ミュージシャンデビューが近距離にありながら曲作りが遅々と進まないせいいち(太賀)を全面的に支えるツチダ(臼田)。
 経済的にも追われ、とうとうキャバクラでアルバイトをすることになる彼女の姿は一見献身的には見えるのだが、二人の関係は明らかに共依存。
 この共依存関係の日々に元カレのハギオ(オダギリジョー)が後半絡む。
 まるで昭和のような世界なのだが、意外なほど作品には息詰まる重い閉塞感がないのは平成作品だからなのか。

元カレと

 際立った悪者がいない中で女性を軽く扱うハギオは決して好青年には見えないが、彼の存在が善悪を指し示す存在にはなる。それにしてもこうした飄々とした役は嫌味なく適任のオダギリジョー。

 原作のコミックも知らずに観た作品だった。
 不思議な映画タイトルの印象だったが、先入観ゼロで観ていても「南瓜とマヨネーズ」の絶妙な組み合わせがせいいちツチダだったのかしらと理解出来る。カボチャサラダを知っている人にはこの組み合わせは普通だが、煮物や天ぷらのカボチャがイメージに浮かぶ人にはマヨネーズは異質に映りそう。
 全く接点が無いような組み合わせが、実はきれいな凹凸の組み合わせになる時の方が多くあるような気がする。
 ツチダが彼の夢を自分の夢にしなくなった時、きっと二人はもう一度手を繋いで歩いていそう。
 そうした予感をさせる終わり方に救われる。*勝手な解釈です

 そして、当初の課題だった若葉竜也氏はそれほど台詞が多くなかったことが意外。それでも、存在が人の記憶に残っていく俳優さんなのだろう。
 太賀氏の演技は期待を裏切らず安定の演技だった。

★★☆
 

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