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ポーカーチェイス ステージ6を例にしたICM等の具体的近似計算例


はじめに

前記事

ではICMによるプライズ期待値が$${E(X)\approx P_0 + \frac{(P_1-P_0)X}{\frac{P_1-\overline{P}}{\overline{P}-P_0}S+X}}$$で近似されることを示した。本記事ではポーカーチェイスのステージ6を例に、ICMやBubble Factor、Risk Premiumの具体的な近似計算方法について述べる。

ステージ6の場合

ポーカーチェイスのステージ6の場合、残り人数によらず$${\frac{P_1-\overline{P}}{\overline{P}-P_0} = 0.5}$$となるため計算が非常に楽になる。
残り人数を$${N}$$とすると、$${P_1 = 70, P_0 = 14(6-N), S=\frac{180000-X}{N-1}}$$であるため、

$$
E_N(X)\approx 14(6-N) + \frac{14(N-1)^2 X}{180000+(N-2)X}
$$

例えば残り6人のとき$${E_6(X)\approx 14\frac{25X}{180000+4X}}$$、残り5人のときは$${E_5(X)\approx 14+14\frac{16X}{180000+3X}}$$であり、前記事で述べた通り暗算でも十分計算できる近似式であることがわかる。

ここから残り6人のときのBubble FactorやRisk Premiumを求めてみよう。自分のスタックを$${X}$$、相手のスタックを$${Y}$$とするとき、自分が相手をカバーしているときは勝った時に残り5人になりスタックが$${X+Y}$$になり、そうでないときは残り6人のままスタックが$${2X}$$になるから、

$$
BF_6(X,Y) = \begin{cases}
\frac{180000+8X}{180000} &\text{if }X<Y \\
\frac{1}{\frac{180000+19(X+Y)}{180000+3(X+Y)}\frac{180000+4X}{25X}-1} &\text{o.w.}
\end{cases}
$$

であり、ここからRisk Premiumは

$$
RP_6(X,Y) = \begin{cases}
\frac{4X}{360000+8X}&\text{if }X<Y \\
\frac{180000+3(X+Y)}{180000+19(X+Y)}\frac{25X}{180000+4X}-0.5 &\text{o.w.}
\end{cases}
$$

となる。
例えばファーストハンドオールインのバブルファクターを近似的に求めると2.5/1.166.. = 2.14、同様にリスクプレミアムは+18.2%となる。自分のスタックが残り1万しかない場合はBF = 1.44、RP = +9.1%となる。厳密に計算すると前者はBF = 2.14、RP = +18.2%であり、後者もBF = 1.42、RP = +8.8%であり、単純で簡単な計算にも関わらず極めてよい近似値を与えることがわかる。


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