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「ポーカーチェイス最強プレイヤー決定試験」裏話


はじめに

ポーカーチェイス最強プレイヤー決定試験に挑戦して頂いた皆さま、ありがとうございます!そしてお疲れさまでした!跡地に想定解答を置いてあるので、見てみてください!

この記事では思い浮かぶまま裏話でも書いていこうかと思います。

「どうせ試験結果が新しい記事のネタになるんだ!」

と数人から言われまして、元々そんな気はなかったんですが、言われてみれば書けることに気付いて書き始めました!!!

といいますか、実はこれは逆で、既に記事にしている内容を相当数組み込んでいます。具体的には「ポーカーチェイスプレイヤーの平均スタッツ5000ハンド分 プリフロップ編」から2問、「ステージ6のBBコールレンジ推定と致命的なリーク」から2問、「MTT/サテライト等でのコール過多な相手に対するAoF戦略とCritical Call Frequency (CCF)」から1問、「Bubble Factorの影響の見積もり方法について」から4問です。また、一部の問題は「ポーカーチェイスプレイヤーの平均スタッツ5000ハンド分 ポストフロップ編」に書かれた内容とソリューションの示す戦略を比較して問題の妥当性を検証しています。

作りたくなかったもの、作らなかったもの

強さを反映しない難問集であればいくらでも量産できます。有料記事にしか書かれていない戦略を並べて、わざとそれらの配点を高くすればいいだけです。他にも、数万ハンド分の統計情報の生データなんてものを持っているのは私だけでしょうから、その情報を元に自分しか知り得ない戦略を編み出して「はい残念でした〜〜〜ここはこうするのが正解ですぅ〜〜〜〜悔しかったら10万ハンドくらい統計とってください〜〜〜」などと煽り散らかすことだって簡単にできます。

また、単なる知識問題を並べても無意味なことは明らかでしょう。一例を示します。kaiさんのnote記事に「Bubble Factorが高くなるとプリフロップで3bet all-inレンジが存在するようになる」ということが述べられています。

この事実はあまりポーカーチェイスプレイヤーに知られていないようですが、この記事の[$EV Near Bubble]が具体的にはBubble Factor 1.8程度のソリューションであり、一方でポーカーチェイスのテーブルの多くはBubble Factor 2.0程度ですから、実はGTO戦略上はここで述べられている以上に広く3bet all-inをすることができます。ですから例えばひたすらプリフロップの問題を出して「これは3betオールインですか?刻んで3betしますか?」と問えば相当な高難易度問題集ができることでしょう。

ここに挙げたような問題をやりたい人はいますか?少なくとも、私は嫌です。解説に「このK6oはプリフロップ3betオールインが正解だけどこっちのK5oはフォールド100%です。信じられないなら10万ハンドくらい集計して○○というソフトを買ってこういうノードロックをして検証してみてください」なんて理不尽極まりないことが書かれている試験なんて、私は絶対に受けたくありません。なにより、仮にそんな試験で高得点を出した人がたくさんいたとしても、私は絶対にその人達を最強とは認めないでしょう。こんなものが解けても強さの証明にはならない、もっと単純に強ければ解ける試験がやりたかったと感じるでしょう。

「強ければ解ける試験」を目指して

それでは、強さの証明になるような試験問題とはどのようなものでしょうか?これには色々な考え方があると思いますが、私は今回以下のように作成しました。

  • 恣意的な配点とならないよう全て1問5点で統一すること

  • ポストフロップの問題では70%サイズや2eサイズが良いと分かっているスポットでもあえてこれらを選択肢に入れず33%, 50%, 100%の3択にし、座学していない人に配慮しつつ座学している人には逆に「Bubble Factorが大きなときはベットサイズが小さくなること、知っていますよね?」と難問を叩きつけること

  • あえて統計情報なしでは解けない問題を混ぜ込むことで、理論派を叩き落として実践派がむしろ正解できるようにすること

  • 逆に基本的な問題については実践派がミスしがちなスポットを多く採用し、理論派が正解できるようにすること

  • 想定解答の根拠はソリューションと統計情報としつつ、言われれば理論派なら納得できる理由付けができること

  • 無料で見られる動画や記事で紹介されている戦略を取り入れ、実践派の座学に繋がるようにすること

  • 出現頻度の高いプリフロップの問題を多くしてターンの問題を少なくすることで、実戦中のミスを反映しやすい構造とすること

  • 自分で解いてみて制限時間がかなり厳しいことをよく理解した上で、あえて制限時間は自主的に10分でお願いしますと強調することで受験者を焦らせ、いわゆるAゲームをさせずB/Cゲームの選択を引き出させること

ええ、知っていますよ。ターンの問題文が長すぎて読むだけで20〜30秒かかることくらい。知ってて作っていますよ。
このように作問することで「理論も実践も極めたプレイヤー」「念入りにプレイヤープールの研究を行った理論派プレイヤー」「センスだけで最適戦略を感じ取った実践派プレイヤー」が上位に来るように狙い、どちらにも偏らない「強ければ解ける試験」を目指しました。この試みが成功したかどうかは、上位者ランキングを見たあなたがよく知っていることでしょう。

一部問題の簡単な解説

ここまで読んだ人なら察していると思うのですが、この試験、強ければ解ける試験を目指した代償として解説を書いたら数千文字を超えるとんでもない代物になっています。個人的に答えることはあるかと思いますが、たぶん公式発表することはないと思います。
ですが全く解説を公開しないのもアレかと思ったので少しだけ書いておきます。

問題1

https://poker-chase.com/news/preflop/

公式のおすすめ機能でK9sはレイズonlyです。

問題6

同じく公式おすすめ機能……の、なぜか実装されなかったBBコールレンジによると、Q8oはコールorフォールドと出る予定だったらしいです。

この記事とステ6のBFからざっくりEV 0.36以下のハンドは捨てていいです。Wizard MTT Chip EV ES40(アンティ1BB)のソリューションを見るとBTN 2.3BBオープンに対してBB Q8o EV 0.37らしいです。これがアンティ1.5BBのオープン2.5BBになると要求されるポットオッズはほとんど変わらないものの平均チップ変動量が増加するのでハンドに要求されるEVが上昇してQ8oはフォールドになります。手元のプリフロップソリューションによればQ8oでコールすると相当大きなミスになるそうです。

この問題はBB推定コールレンジをもとに、間違える人が多いであろうと事前にわかった上で出題しました。正答率30%くらいだったと思います。この記事にはこういったタイトル通り致命的なミスの統計情報が書かれています。最強決定試験を受けるような最上位プレイヤー層でさえ正答率30%なのですから、この記事の推定がどれほど正しいかよく分かりますね。

問題8

配信などでオープンされてから相手のスタッツ確認してアクション決めている方をよく見かけますけど、(ちゃんと測っていませんが)その一連の流れの平均時間は20〜30秒くらい、ちょうどこの試験の制限時間と同じくらいなんじゃないでしょうか?
皆さん、そのクッッッソ短い時間の中で気付きましたでしょうか?参加回数140回しかないことに。この人はただ上振れているだけだということに。もちろんA9oはフォールドです。
こいつは人間の心理を突いた凶悪なひっかけ問題ですが、それは同時にあなたが実戦中に無意識に犯している大ミスかも知れません。

問題10

作者が認めるクソ問です!
ちなみに均衡上のBBコール頻度は16.0%のはずです。

問題17

この754レインボーというフロップ、「BB側に強いハンドがたくさんあるからBB有利」って本当ですか?もちろんGTO上であれば63sも74sもほぼピュアコールであり、ストレート・セット・ツーペアがめちゃくちゃ多いのでBB有利ですが、UTG相手のBBコールレンジに63sを入れている人って本当に多数派なのでしょうか。

これもこの記事を元に作問しています。正答率は6.5%でした。「これはソリューション当てゲームじゃなくてポーカーチェイス最強プレイヤー決定試験ですので」と言い張れるギリギリラインを狙い、実際に上位勢はそれなりに正解していました。

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