A Day To Remember『Homesick』(2009)
アメリカはフロリダ発のポップパンク/イージーコアバンド。
2003年、VoのJeremy McKinnon、ギターのTom DenneyとNeil Westfall、ドラムのBobby Scruggs 、ベースJoshua Woodardで結成。
数枚のEPをセルフリリースした後、
2005年にIndianola Recordsと契約し、『And Their Name Was Treason』でデビュー。
2007年にはVictory Recordsにレーベルを移し、2nd『For Those Who Have Heart 』をリリース、これがお茶の間の人気を決定づけ、ビルボードチャートをぐんぐん上昇、最高17位までつけている。
アルバムプロモーションツアーではUKを回り、Silversteinや The Devil Wears Prada、Protest the Heroのサポートをこなすなど精力的にライブを重ね、2008 Kerrang! AwardsのNewComer部門でノミネートされる躍進を見せる。
そして2009年、ワールドツアーをやりすぎて疲れたのか『Homesick』というタイトルを冠した3rdアルバムをリリース。
割と後ろ向きなアルバムタイトルとは裏腹に、居並ぶ楽曲は、ハードコア、パーティパンク、メタルテイストといったバラエティに富んでいて、バンド史上最高の出来のアルバムとして名高い。
———-
* Jeremy McKinnon – lead vocals
* Alex Shelnutt – drums
* Neil Westfall – rhythm guitar
* Joshua Woodard – bass guitar
* Tom Denney – lead guitar
——-
■The Downfall Of Us All
「デレデレデレデレデレ デデッ デデッ」というスクールチャントで一世を風靡したフックだらけのギターリフが耳に残る爽やかチューン。
イージーコアというジャンルが浸透する前から、彼らにジャルンラベルを貼るなら正にその名前しかないという気がしてた。
キャッチーで、しかし芯の太さがある、イージーなコアチューン。
■My Life For Hire
グルーヴィーに走る爽やかパンク。
何層にも重なるコーラスは、その爽やかさとは裏腹にコッテリとした作り。
ブレイクダウンもしっかり挟んでコアバンドとしての矜持は誇示。
■I'm Made Of Wax, Larry, What Are You Made Of?
重なるクリーンコーラスがパンクエモーションを掻き立てる爽快ナンバー。
One OK RockのONION!はこの曲のオマージュかと思うくらい似ているが、どちらのバンドも大好きなのでただの俺得でした。
突然のブレイクダウンが強烈。
■NJ Legion Iced Tea
ヘヴィなグルーヴにポップで流れるようなメロディが軽やかにのる、まさにメタルコア×ポップパンクの完成系。
■Mr. Highway's Thinking About The End
メタルコア要素が色濃く出たナンバー。
デスシャウトとクリーンを交互に混ぜ、Jeremyのスキルフルな歌唱が堪能出来る。
2:33からは地の底から煽るような、まるでデスコアのようなブレイクダウンが襲いかかってくるので注意。
■Have Faith In Me
初期ADTRを代表する曲。
クリーンギターに始まり、徐々にディストーションがゴリゴリに効いたザク切りギターサウンドを掻き鳴らし、気づけばエモさ抜群のメロコアチューンに。
パンキッシュなクリーンコーラスは先人達へのリスペクトを感じるし、一方でオリジネイターになるべくユニークネスも意識している。
■Welcome To The Family
メロデス風のリフと激しいビートが飛び出し、クリーンコーラスが爽やかに連なる。
そしてThe Acacia StrainのVincent Bennettが圧強めのガテラルをガツっとかましてくれる。
ブレイクダウンは、敢えて狙ったんだろうけど、「そろそろ終わりか、あ、やべ落とすの忘れてた、今やっとくか」って感じで、ちょいと流れ的に唐突過ぎて、無くても良かったんじゃないかと…
■Homesick
スピーディーかつエモ要素もふんだんに取り込んだパンクナンバー。
前半は芯の太いギターサウンドと抜けの良いスネアが軽快に飛び回るイケイケチューンだが、コーラス以後後半は次第にミドルテンポ〜スローテンポに落ちつき、まったりエモパンクを響かせながら終了する。
■Holdin' It Down For The Underground
軽やかクリーンギターと、それに鮮やかに正対する力強いグロウルが混ざり合う、ハイクオリティパンキッシュコア。
■You Already Know What You Are
グロウル→シンガロングクリーンコーラス→ブレイクダウン、そして大声でのチャントを一瞬に詰め込んだ1分半にも満たない閃光のような曲。
■Another Song About The Weekend
アルバム締めくくりの大団円のような、weekendを迎えてテンションが上がっているのか分からないが、パンキッシュな陽キャ爆発ポジティブフレーズが次々に飛び出す。
クラウドチャントも絶好調な様子で弾けて、最初から最後まで疾走ポップパンクの魅力が詰まったチューン。
■If It Means A Lot To You
2015年に惜しくも解散してしまったオルタナハードコアバンドVersaEmergeの女性voのSierra Kusterbeckをゲストに招き、アコギ一本で歌うしっとりチューン。
しかし溢れる陽気は隠せず、最後は壮大なシンガロングで占める。
総合満足度 84点