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Mysterious Priestess『Agency of Fate(Deluxe Edition) 』(2012)

日本は神奈川発のメロディックデス/プログレッシブ和風ジャズメタルバンド、Mysterious Priestess

2010年に音大の学友であった小金丸 慧(Gt/Vo)、山田 友章(Gt)、藤岡 久瑠実(Key)、秋元 修(Dr)というメンバーで結成、北欧メタルやジャーマンメタルの直接の影響を見せつつ、古事記など日本神話を基にした世界観、ジャズやフュージョンを取り入れたサウンドは、まさに唯一無二。

ドラムビートも曲によってはいわゆるメタルビートではなく、ジャズのように揺れながらもタイトに刻む新鮮な音像で、不思議な魅力がある。
(もちろん疾走系のメタルビートもちゃんとあります)

本作『Agency of Fate』は2012年発表された、北欧メロディックスピードメタルを基盤にジャズと和を取り入れた彼らのアイデンティティを世界に示した珠玉の一枚。

Agency Of Fate


この後2013年にはWacken Open Air 2013にも出演し、世界的な知名度も上昇。
もっと世間に知られてほしいバンドです。

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小金丸 慧-Gt/Vo
山田 友章-Gt
藤岡 久瑠実-Key
秋元 修-Dr
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■Kusanagi no Tsurugi
3拍子のワルツリズムを刻むビートを和風シンセが包み込むオシャレなチューン。
そこにメタリックなギターサウンドとしゃがれ系グロウルが場違いな様子で、しかし容赦なく入り込む。
この一見喧嘩しそうな2つの音がとてつもないケミストリーを生み出して、リピートする手が止まらない。
曲のカテゴライズが難しいが、間違いなく印象的でクセになる曲。

■Sophisticated Funeral
6分を超えるサイケなプログレッシブ展開を見せる。
物悲しいクリーンギターからの王道ドゥームメタル的なカオス音像を振り撒いたと思いきや、フュージョン展開を見せる催眠的なサウンド。


■Intro
通常版の一曲目にあたるインスト曲。
壮大な幕開け。


■Swear Vengeance Against God
クサメタラーが大粒の涙を流しながら首を振りまくるメロディックスピードメタルチューン。
Stratovarius とGALNERYUSがバーで飲んでたら突然Equilibriumが現れて一緒にジャムったようなサウンド。
声質もHelgeに似てる。


■Summon The Guardian Angel
Gamma Rayよろしくジャーマンメタル臭の強いプログレッシブメタル。
中間部のギターの掛け合いソロは盛り上がりポイント。


■AMATERASU
Equilibriumを感じるケルティックなエピックメタル風のサウンドと、Stratovariusを感じる哀愁/勇壮リードはお決まりだが、そこになんと唸りをあげるウッドベースとおしゃれなピアノがお邪魔するというジャズフュージョン要素を強引に練り込み、ちょっとアニソンのエッセンスも入れてきたカオスなメタル。
ピロピロギターソロもあり、彼らの魅力が全て詰まった曲。
「Mysterious Priestessってどんなバンド?」と聞かれたらまず最初におすすめしたい曲。


■Seven Moons
日本語の語りをメインに紡ぐ変拍子や電子音を多用したチューン。
テクニカルデス的な風を感じつつも、本人たちも影響を公言するENSIFERUMやWINTERSUNのヴァイキングメタルサウンドがもろに全面にでている。
彼らの言葉を借りれば、MESHUGGAHの
「無駄な変拍子を用いずに、単純に4か3拍子のうえでポリリズムなリフを延々と繰り返して大きなグルーヴを生み出すというアイディア、コンセプト」が体現されているよう。


■Victors In A Battle
ストレートな疾走メタル。
彼らが解釈するヴァイキングメタルやケルティックメタルを聞きたかったらまずはこれ。
ピロピロドコドコ具合もアルバム一。


■Wintermute
WINTERSUNです(笑)
3拍子のダイナミズムを北欧の風に乗せて送る雄大でダークなメタル。


■Eternal Calmness
テクニカルでプログレッシブでメロディックなデスメタル。
Ne obliviscarisのサウンドにも通じる複雑さと心地よさのバランスが最高の一曲。


総合満足度 89点

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