Heart of a Coward『Deliverance』(2015)
UK発モダンヘヴィネスメタルコアバンド。
2007年にイギリスはミルトン キーンズ市にてBen Marvin(Vo)、Carl Ayers(Guitar)、James Timfy(Guitar)、Tom Webb(Drums)、Ross Connor(Bass)というメンバーが集結し、結成。
2008年、2009年に2枚のデモを作成し、デビューを控えていたが、これからというタイミングでドラムのTom Webbが脱退。
急遽、プログレメタルバンドFellsilentにいたChristopher "Noddy" が新たに加入し、再びデビューに向けて動いていたが、今度はvoのBen Marvinが離脱、バンドは空中分解の危機に瀕する。
しかし、その危機を救ったのが元SylosisのVoだったJamie Grahamの加入で、彼は確実に新たなモダンブリティッシュグルーヴメタルの魂をバンドにもたらし、その後無事にリリースされたデビューアルバム『Hope and Hindrance』では驚異のパフォーマンスを見せる。
群雄割拠にあったUKメタル界に殴り込みをかけた彼らは、「Shade」というヒットチューンを飛ばしたものの、2012年にJames Timfyが脱退。
再び活動継続の危機にあったが、新たにSteve Haycockを代わりに迎え、大手レーベルCentury Mediaと契約、二枚目のアルバム『Severance』を2013年にリリースに至る。
このアルバムに収録されている「Deadweight」、「Psyhophant」、「Nauseam」、「Distance」といった曲をビデオクリップで発表し、大きな反響を得た彼らは、その勢いのまま2015年に本作『Deliverance』を世に放つ。
基本路線は前作までと変わらないが、CarlとSteveのツインギターが織りなすサウンドがよりDjent寄りになったというか、テクニカルなフレーズと地を這うようなグルーヴ感が増して、曲の持つ迫力や臨場感、圧力が上がった印象。
そして、Jamieの野太いガテラルと、英雄的なクリーンコーラスの節回しは、もはや男ですら惚れさせるほどの貫通力のあるパワーを持っている。
(そんなJamieも2017年に脱退しちゃうんだけどね。。。)
JamieがいないHOACの来日公演に行くかどうか、、非常に悩ましいところ。
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Jamie Graham : Vocal
Carl Ayers : Guitars
Steve Haycock : Guitars
Vishal "V" Khetia : Bass
Christopher "Noddy" Mansbridge : Drums
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■Hollow
Djentの影響をフルに受けたであろう音数が多くかつ重厚なギターリフに、コーラスの野太く開放感溢れるシンガロングが重なる密度の詰まった音像は同郷Bury Tomorrowを思わせるThe Modern Metalcore。
ギターソロも短いながらテクニカルなフレーズを叩きこみ硬派な印象。
■Miscreation
ハイポジションフレットでピロピロするギターワークに野太くやや枯れたシャウトで呼応するコーラスが煽情的な強靭メタルコア。
■Turmoil I: Wolves
Slipknotを感じさせるような強烈なバウンスグルーヴからのウォールオブデス誘発型コアチューン。
高出力グロウルもハイハット連打も実にかっけー。
不安を煽るようなトレモロや不協和音もシビれます。
■Turmoil II: The Weak Inherit The Earth
重心低めに無慈悲に襲い来るミドルテンポのヘヴィネスの塊。
バッキングのキレは心臓に到達するほど深く鋭い。
空襲サイレンのように響くトレモロも、アウトロのウォークライも濃密な不気味さを放っている。
■Anti-Life
開幕の単音リフからのギャリギャリしたモダンなヘヴィサウンドを如何なく響かせて来るのがとても心地良い。
7弦ギターの性能をフルに引き出していて、一切の妥協も許さぬ硬派なそのサウンドは、BloodyouthやMalevolenceを思わせる無骨な強靭さ。
3:09からのギターアウトロランフレーズにかすかな情緒を感じて思わず小さくメロイックサイン。
■A Grain Of Sand
引き続き、重低音ヘヴィDjentサウンドの塊で殴り続けて来る。
「君が泣くまで!殴るのをやめないッッ!」を地で行くバンド。
尚、前が見えないほど感涙を飛び散らしているのに殴るのはやめてくれない模様。
PERIPHERY感がちょっとある。
■Mouth Of Madness
冷徹な様子で単音トレモロリフを壮大にぶつけて来たかと思いきや、小刻みなブリッジミュートをかけたバッキングで曲全体の”硬さ”演出。
突如として小休止ウィスパーパートを挟んだときには、どうした?と思ったが、その後は無事に終始、痙攣トレモロで締めくくる。
■Deliverance
前曲からの痙攣トレモロがつながるモダンヘヴィなタイトルトラック。
Born of Osirisあたりのふっとした時に出すテクさを見せるサウンドと、Chelsea Grinあたりのデスコア王道の極悪低重心サウンドが熱々の鉄板の上で煮えたぎっているような音像。
■Skeletal I: Mourning Repairs
Jamieのよく通るヒロイッククリーンボイスと野獣咆哮が折り重なる骨太ミドルテンポコアチューン。
地上0mから繰り出される低層ガテラルと、なまめかしさすら感じる色っぽいシャウトが同居するなんとも情報量の多い曲。
■Skeletal II: Arise
壮大なサウンドクリエイションだが、その実、ただひたすらにJamieの声の良さと、歌のうまさを楽しむだけの贅沢な4分40秒だとおもう。
総合満足度 86点
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