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The Gloom In The Corner『From Heaven To Hell』(2022)
オーストラリアの新星メタルコアバンドThe Gloom In The Corner。
最近ディグっていて発見したバンド。
2016年にメルボルンにて結成。
現在のメンバーはVo:Mikey Arthur、Gt: Matt Stevens、Martin Wood、Ba:Paul Musolino、Dr:Nic Harberleというラインナップだが、当初はGtにJaya Wirawan、BaはMichael Vallerantだった。
音源を最初に聞いた第一印象は、Emmure寄りの荒々しいデスコア成分多めのポストハードコアかな?と思ってたが、近からずとも遠からずで、よりParkway Drive的な壮大なオペラティックメタルコアと大仰なサウンドをデスコア風味でかましてくるバンドでした。
個人的に大好きなレーベルSHARPTONEからのリリースとあって、もうそれだけで期待値爆上がり。
2022年にリリースされた本作『Trinity』は、Mikey Arthur曰く、「より自分たちが求める世界観を多彩に表現する」ため、ゲストフィーチャリング曲を増やしたとの事。
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Vo:Mikey Arthur
Gt: Matt Stevens
Gt: Martin Wood
Ba:Paul Musolino
Dr:Nic Harberle
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■From Heaven to Hell
■Obliteration Imminent (Feat. Monique Pym)
無駄に尺を長くしたり、唐突に複雑な展開を混ぜ込んで芸術作品っぽく見せるプログレメタルは世に大量にあれど、本当の意味で構成美が光り、意味のある複雑性を持っている曲は少ない。
開幕曲『From Heaven to Hell』と次曲『Obliteration Imminent』はシームレスに繋がり、その数少ない芸術メタルになっている。
激情が溢れ出るオペラティックな歌唱、荘厳かつ重厚なバンドサウンド、緩急をつけるギャロッピングリフ、闇雲に消費されるだけのエクストリームメタルとは一線を画した聴きどころ満載のチューン。
■Ronin (Feat. Ryo Kinishita)
エクストリームな音の渦に巻き込まれるゴシックメタルコア。
散りばめられたディゾナントノイズ、壮麗なストリングスと苛烈なディストーションが効いたギターサウンドに存分に打ちのめさられる。
元Crystal LakeのRyo Kinishitaフィーチャリング曲。
■Black Rot (Feat. Monica Strut)
多彩な弦の調べが重厚感と緊張感を与える激情型、劇場型ポストハードコア。
フィーチャリングのMonica Strutの鮮烈なボイスが一抹の開放感を産み出すも、地面から湧き出すようなグロウル連発で混沌とした空気がさらに深まるばかり。
■New Order (Feat. Taylor Barber)
モダンメタルコア特有の重々しいリズムと世紀末感溢れる悲しくもカオティックなサウンドが入り乱れる。
デスコアバンドLeft To SufferのVoであるTaylor Barberが参加。
■Clutch (Feat. Amelia Duffield)
場面が頻繁に入れ替わる混沌としたサウンドスケープに、彩りとして差し込まれるAmelia Duffieldの美声。
爆発力のあるギターと威圧感のあるバスドラが主張するドラムが容赦なく絡み合い、襲いくる強烈な一曲。
■Pandora's Box (Feat. Lauren Babic)
カナダのRed Handed DenialのボーカルLauren Babicの透き通る美声が清涼感を与える熱気の高いコアサウンド。
■Behemoth
終末感を煽る不穏なノイズと、グロウルエフェクトを掛けた語りがタイトル通り悪魔的な感情を呼び起こすノイジーなチューン。
語気の強いラップが荒々しく駆け回り、猛獣のような旋律を叩き出す。
■Gravity
冒頭の暴風雨のようなブルータルサウンドが過ぎ去ったかと思いきや、無邪気で少し毒っ気のあるワルツ風の旋律がスッと流れ込んでくる、まさに、Welcome to the Rabbit Hole(超現実的な世界).
■Red Clouds (Feat. Crystal Joilena, Elijah Witt & Rachel Jeffreson)
不協和音を孕みつつ、しっとりとしたピアノの旋律を軸に壮大なオーケストレーションを纏って展開するエピックメタル。
■Nor Hell a Fury
モダンなヘヴィネスとタイトな刻みを大仰に振りかざすデスコア。
■Gatekeeper (Feat. Ryan Kirby)
Fit For A KingのRyan Kirbyがオシャレに暴虐成分を加える、洗練されたエピックハードコア。
Malevolenceを思わせるブレイクダウンが凶悪。
■Hail to the King (Feat. Joe Badolato)
8分を超える壮大なシネマティックメタルコア。
暴虐性に包まれた芸術的な構成美や、独創的すぎる世界観が濃縮されている。
アルバムを締めくくるに相応しく、様々な感情を呼び起こす要素が配置されたド派手な曲。
総合満足度 79点