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Escape the fate『Ungrateful』(2013)

アメリカ ラスベガス出身のポストハードコア/スクリーモバンド。

今はFalling in reverseのヴォーカルとしてアメリカのメタルコア界を席巻しているRonnie Radkeを中心として2006年に結成。

Ronnie RadkeはEscape the fateのデビューアルバム『Dying Is Your Latest Fashion』をリリースした2006年に、殺人事件に関わったとして収監されるというショッキングな事件を起こしてしまい、バンドをクビに。

代わりにBlessthefallから加入したCraig Mabbitt体制で2008年に作り上げた『This War Is Ours』(Epitaph Records)はビルボードチャートを35位まで駆け上がり、続く2010年にリリースされたバンドセルフタイトルアルバム『Escape the Fate』(Interscope)はさらに順位を上げ、ビルボード25位という快挙を成し遂げると共に、一躍アメリカンロック界のメインストリームに名乗りを上げる。

しかし、この『Escape the Fate』をリリースする前後からベースのMax Greenを中心にバンド内不和が表面化し始め、Maxが脱退するだの再加入するだのしている一方で、レーベル移籍に関しても揉めており、結局Interscopeとは喧嘩別れに近い形で離れ、Eleven Seven Musicに移ることになる。

そんなゴタゴタの中で作られた本作『Ungrateful』はバンド内のストレスがそのままタイトルに出てしまった様な形だが、対照的に居並ぶ曲はどれもキャッチーで聴きやすく、それでいて前作より実験的な試みをしている曲が多いため、サウンドバリエーションの幅が広がった印象。
特に『One For The Money』のヒットに代表されるような売れ線の曲もしっかり入っている。
Ronnie期のデビューアルバムを除けば、ETF史上一番人に勧めやすいアルバムだと個人的には思います。

Ungrateful


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Craig Mabbitt- Vo

Bryan “Monte” Money- G

Michael Money - G

Thomas “TJ” Bell- B

Robert Ortiz - Ds
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■Ungrateful
アグレッシブなデスシャウトから最速で最高速に駆け上がる開幕激唱チューン。
コーラスに入るとクリーンに転じるが、その後のギターソロも中々に鋼鉄感のある手触りで腑抜けた様子は全くない。
と言ってもキャッチーさは忘れておらず、奇跡的なバランスを保っている。

■Until We Die
圧強めのヘヴィメタル調のエモ。
Bullet for my Valentineをまろやかにした感じ。
中間部で静寂な風が流れ、涼やかなピアノが熱った心身を一瞬冷ますが、また数時を経て再び熱量の渦に巻き込まれていく。


■Live Fast, Die Beautiful
ピロピロしたデジタル音が鳴り響くダンスビートが支配するメタルコアエモチューン。
タイトルのメッセージ性も強いが、コーラスのメロディが90年代ロックを感じるストレートなトガりと歌いやすさが同居していて、そっちの意味でもエモい。


■Forget About Me 
アップテンポで爽快に走るチューン。
前半の爽やかさが嘘の様に突如として凶悪なブレイクダウンを挟み、また何事もなかったかのようにサラリと爽やかモードに入るというニクい構成。

■You're Insane
Avenged Sevenfoldを意識したかのような、いや、これはもうベースラインからボーカルの歌い方、ギターソロに至るまで完全に『Nightmare』のオマージュ。
リスペクトに溢れたオマージュ。


■Chemical Love
マイケミっぽさもある深長なサウンドを背景にしたミドルテンポチューン。
ダークな音像なんだが、どこかシティポップのネオンの明かりを思い出すテイストも遠くであるんだよなぁ。

■Picture Perfect
クリーンにしっとりと歌いあげるバラードチューン。
ギターソロが泣きまくりで、初期のSteve Vai 先生っぽさが聞こえてきた。
こういうストレートな”スローテンポで聞かせるチューン”をさらりと挟む所もレベルの高さを伺わせる。


■Risk It All
アメリカ西海岸の爽やかさを遺憾なく発揮する正統派ハードロック。
タイトルにRiskって入ってる割には全然リスクなんか取って無い王道サウンド。
シンプルにカッコいい。


■Desire
ワイルドに咆哮するCraig Mabbittがただロックスターの輝きを放つだけの良質メロハー。
最後にデスシャウトをいれてアグレッシブネスを出しちゃうあたりに矜持を感じる。


■One For the Money
彼らの名声をメタルコアの世界から、一躍一般のお茶の間に広めたポップでキャッチーなロックチューン。


■Fire It Up
ギターリフがプリミティブなワイルドさを見せる、ゴツゴツした音像。
ブレイクダウンもしっかりとキメて、ギターソロもメタリックで押し通す、骨太な曲。
この曲もA7Xへの愛を感じる微笑ましい瞬間がたくさん含まれてます。


■I Alone
yeah yeah系の透き通るような伸びが良いシンガロングをたっぷりと聴かせてくるメロハー。
スタジアムライブのエンディングにぴったりの曲。


■Father Brother

青春の叫びをストレートに歌い放った曲。
何も気を衒わず普通のハードロックやりましたという感じの可もなく不可もなしの曲。

総合満足度 87点

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