Hands Like Houses『Dissonants』(2016)
オーストラリアはキャンベラから2008年に登場したメタルコア/オルタナティブロックバンドHands Like Houses。
2012年にRise Recordからリリースされたデビューアルバム『Ground Dweller』はビルボード141位まで上昇し、シーンに好意的に受け入れられ、
We Came as Romans や Attack Attack!といったバンドとアメリカツアーを成功させると、
その勢いのまま2ndAlbum『Unimagine』をリリース。
このアルバムもアメリカのハードロックチャートでは4位、オーストラリアチャートでも51位に入るなど快進撃が止まらず、CrooksとUKツアーを周り、アメリカツアーではSlaves (Jonny Craig)、 Miss Fortune、Alive Like Meといったバンドをしたがえて各会場を興奮の渦に包み込み、母国オーストラリアに凱旋する。
『Unimagine』ツアーとして散々世界を回ってきたにも関わらず、出来に満足できなかったのか、同じコンセプトで異なるメッセージを伝えるべく2014年に『Reimagine』というEPを発表、再びヨーロッパツアーに出る。
このとき、こっそりキーボードのJamal Sabetが脱退している。
2015年はHands Like Housesにとって怒涛のツアーイヤーとなり、数え切れないほどのフェス出演や対バンを実施、スキルも実績も積み重ねて最高に脂の乗り切った状態でUNFD(Hopeless Records)からリリースした本作『Dissonants』は、サウンドクリエイション、アグレッション、メロの美しさ、全てにおいてオーストラリアメタルコア市場で眩い存在感を放つ一枚となった。
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* Trenton Woodley – lead vocals, piano, programming, keyboard
* Matt Cooper – lead guitar
* Alexander Pearson – rhythm guitar, backing vocals
* Joel Tyrrell – bass guitar, backing vocals
* Matt Parkitny – drums
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■I Am
Trenton Woodleyの伸びのある声が混じり気なくクリアに一直線に伸びてくる爽快ロックサウンド。
ギターサウンド、スネアドラム共に抜けが良く、適度に重くて開幕曲にふさわしいの勢いのあるチューン。
■Perspectives
王道メロコアチューン。
哀愁たっぷりのコーラスとデス声になりそうでならない力強いシャウトがOne OK Rock的な感じも受ける。
メロの歌詞のハマり具合が最高に気持ちよくて、上手いなと。
「All my life you thought that I’d lost my mind〜」のところとか、この歌詞しかない、というぴったり具合。
■Colourblind
冒頭のスネアの抜けの良いサウンドや爆発するようなギターリフがテンションをいきなり最高潮に引き上げてくれる。
突き抜けるようなTrentonの高音コーラスに全身の鳥肌を立てながら精一杯のヘドバンで応えるしかない。
■New Romantics
Attack Attack!やBeartoothで活躍するCaleb Shomeが書き下ろした曲。
Joelのベースが地を叩きつけるようなスラップでめちゃくちゃグルーヴィーなのに、妙な電子音を差し込んでくるあたり、Calebっぽい狂気の創作センスだなと。いや、これはキーボードも兼ねているTrentonのアイディアか?
コーラスもキャッチーで気付けばリピートしてしまう中毒性を孕んでいる。
■Glasshouse
こちらもCaleb Shomoが書いた曲。
ややフックのあるギターリフとブリブリベースで耳の注意を目一杯惹きつけておきながら、活発婉麗なコーラスが耳を伝って全身に流れわたる。
いろんなサウンドの試みを行っておきながら、しっかりと統一感があるクオリティの高い曲。
■Division Symbols
憂愁なピアノイントロが残響する開始2秒で間違いなく名曲だと確信。
またしてもワンオク的なサウンドだが(声もTakaに似ている)、これはこれでありがたい。
良曲が並ぶ本作において、アルバム一、エモーショナルで耳に残る煌めきを放っていると思う。
■Stillwater
人生と世界を変えることができない無力感を痛切に歌ったメロコアチューン。
「石を積んで水の流れを変えようと思っても、誰もそれはできないし、その方法を知らないまま年を取って行く。。」と、、
■Momentary
キーボードサウンドやエレアコサウンドを綺羅星のごとく散りばめ、バンドサウンドで固めた分厚いボディの音像にTrentonの伸びやかなクリーンボイスが閃光のように突き抜ける。
■Motion Sickness
ややスローファンクなノリのベースに優しく乗る儚いヴォーカル。
コーラスは高低差をつけた美しいメロディラインは、夏の碧空も感じるし、同時に満点の星河を枕に想いに耽る事もできる。
■Degrees of Separation
軽妙なリズムに乗って、オーオー系のシンガロングできるポップパンク風のナンバー。
なににも縛られない清らかに澄んだ心が振りまく雲心月性のチューン。
■Grey Havens
全体的にアップテンポで明るい曲調で、歌詞も前向きのハードロックチューン。
コーラス終わりが微妙にマイナー調になるのは日本のメロコアバンドっぽい。
■Bloodlines
前曲から流れるようにつながってくる哀愁系メロコア。
繊細なメロディと芯の強いTrentonのVoが最後までいい仕事してくれます。
最高に爽やかで快適な終わり方。
総合満足度 91点(日本のレーベルとシェイクハンズして一刻も早く来日して欲しいレベル)
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