CROSSFAITH『The Dream, The Space』(2011)
日本が誇るエレクトロニック・ハードコアバンドCROSSFAITH。
2006年に前身となるバンドをスタートさせ、幾度かのメンバーチェンジの末、5人編成となる。
2009年にメンバーの平均年齢が19歳にも関わらず1stアルバム『The Artificial theory for the Dramatic Beauty』をZESTONE RECORDSよりリリースし、メタルコア、エレクトロニカ、メロデスなどを融合したそのサウンドが話題となり、「LOUD PARK 09」への出演も果たす。
2010年、Machine Headのツアー“The Black Procession”のオープニングアクトに抜擢。このツアーで圧倒的なパフォーマンスを見せ、停滞していた日本のメタルコア界に強力なカンフル剤をぶち込むとともに、世界的な知名度も一気に獲得する。
2011年にはDead By April等が所属するHighfive Management主催のツアー「Keys To Keys Tour」に出演し、ますます脂の乗った状態で本作、2ndアルバム『The Dream, The Space』をZESTONE RECORDSよりリリース。
同作品はアメリカでもTragic Hero Recordsから8月2日にリリースされ、キャリア初のワンマン公演「The Dream, The Space Tour One Man Live」を開催。
この後、名実ともに日本のメタルコア界の中心人物となっていく彼らの分岐点となった一枚。
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Koie -Vocal
Teru -program
Kazuki -Guitar
Tatsuya -Drums
Daiki -Guitar
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■Technologia
深淵なるエレクトロニカの世界に誘うイントロノイズ。
■Chaos Attractor
キラキラ電子音を惜しげもなく配置したエレクトロニカチューン。
ギターのエッジは若干丸くなった印象だが、テンポチェンジやブレイクダウンへと引きずり込む勢いが明らかに強くなっている。
■Stars Faded in Slow Motion
間違いなくピコリーモ路線のアプローチなのだが、所々見え隠れするギターリフの微妙な間や刻み、そしてトレモロギターにやはりメロデス魂を感じてしまう。
Koieの慟哭系クリーンシャウトからの絶叫デスシャウトが勢いよくアドレナリンを誘発してくる。
■Promise
ベガスやAltemaを感じるピコリ具合と小気味良く跳ねるギターワークに、物々しく響き渡る異様な堆積の崩れかかるような呻き声が重なる狂喜乱舞のハイテンションワールド。
■The Dream, The Space
タイトルトラック。
ストリングスを大胆に配置し、叙情味を引き上げるとともに、ダブルペダル連打でぬかりなく昂揚感をブチ込むこんでくる高品質メロコア。
■Snake Code (Carribean Death Roulette)
スクリーモのキャッチーさとメタルコアの芯の太さが最高のバランスで配合されたチューン。
Enter Shikariの『Sorry You're Not A Winner』を思わせるレイブトランスのグルーヴ、クラップサウンド、そして狂わしいほどのギャングコーラスに五感が興奮。
■Demise and Kiss
煌びやかなシンセとヘヴィに揺れるバンドサウンドの鮮やかな対照がエレクトロニカの魅力の一つだが、それを見事に体現しきっている良曲。
クリーンハイトーンもセンス良く飛び出し、キャッチーさ故のサウンドの弱々しさは全くない。
■Panorama (Interlude)
次の盛り上がりに繋がるインタールード。
■Crystal Echos Back to Our Tragedy
耳馴染みの良い爽やかな瞬間から、火力マックスの激烈フレーズまで全てを包含した完成度の高いメタルコア。
コーラスは甘さを含んだキャッチーな進行だが、VoのKoieの獰猛かつ多彩なグロウルandデスシャウトが一切の弱さを拒否し、凶暴性を担保している。
■Nostalgia
近未来を感じさせるシンセアウトロ。
■Omen
The Prodigyの『Omen』のカバー。
あまり違和感はない。
総合満足度 87点