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Burn Down Eden 『Liberticidal』(2018)
ドイツのメロディックテクニカルデスメタルバンド。
ネオクラシカルフレーズのクサみを撒き散らしながら傍若無人にブラストビートで走り回るサウンドは、The Black Dahlia Murderや若き日のArchenemyを想起させる。
バンドは2012年ごろギターのTomとWilliamを中心にポーランドとの国境に近いDresdenで結成。
Iron Maiden、 Slayer、 Wintersun、Children of Bodomといったメタルバンドの影響を受けながらも、パンクのエッセンスも吸収し、独自の音楽観を作り上げていく。
2014年にRobertとNiklasという最後のピースを得た彼らは、さらに2015年に新たなヴォーカリストKaiを加え、北欧メロデス路線に大きく舵を切る事になる。
2017年にデビューアルバム『Ruins of Oblivion』を完成させると、RockHard誌をはじめドイツ国内で好評を博し、チェコやスロバキアへのツアーも決定、いよいよ活動を本格化させるが、同年Kaiが脱退。
本作『Liberticidal』は、元KalmahのVoであったPether Hantscheを新たなシンガーに加えて制作され、2018年にリリースされたアルバムで、彼らのサウンドの重要な要素である
クラシカル
速さ
ブルータリティ
を思いっきりフィーチャーした典型的なTheメロデスアルバムと言える。
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流行りに流されず、自分たちの信じるサウンドとインスパイアを受けてきたものだけをしっかりと形にした一枚。
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William Deacon-Säck Guitars
Tom Noack-Guitars
Marco Schütze-Bass
Pether Hantsche-Vocals
Robat Nowak-Drums
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■Dystopic Endzeit Panorama
冒頭からインギーが出張ってきたのかと勘違いするほどネオクラシカル全開ギターが飛び回るメタラーおじさん歓喜の展開。
分かりやすいキャッチーなフレーズを入れながらも、しっかりとDoomでDarkな展開は入れ込んでくるプライドを見せる。
■Eternal Youth
ややテクい単音リフで切れ込んで来たかと思うと、すぐさまブラストビートが重なりあう暴虐展開に。
ギターソロは艶かしい叙情性を保ちつつ、曲に一定の緊張感を与えている。
■Grotesque Satisfaction
何かをスコップで掘るようなSEから、初期ArchenemyやVaderを思わせるようなブラストとスウィープを多用したスラッシーなリフが踊りまくる。
この音の暴力性こそが彼らのオールドスクールタイプのデスメタルバンドとしての評価を上げている。
■Of Fortress,Deceit & Dissolution
前半はスラッシーなデス、2:10辺りのギターソロからはエモいメロデスに変化する2度美味しいブルータルな一曲。
■Melodies Of Memento
ギターが激しく乱高下したと思いきや、単音リフが掻き鳴らされる
正直サウンドに目新しさはなく、言ってしまえばオリジナリティも微妙だが、一瞬の煌めきを放つギターソロが感傷的過ぎるので、それだけで聞けてしまう。
■Succubus
軽快なドラムビート、印象的なテクいギターソロ、典型的な北欧デスメタル。
むしろ様式美すら感じる。
ただ、大した起伏もなくサクッと終わる。
■A Tale Of Deviant Hypocrisies
2:15辺りの「ヴァッ」から緊張感あるギターソロがジワリとアドレナリン放出を働きかけてきて、心地いい。
■Daemmerung
ブラスト連打からの雪崩のような音の塊が押し寄せる。
細かなギターノイズを混ぜてくるあたり少しDjentを意識しているのか。
■Misled Psychogenesis
ブラスト爆走をベースに、メロディアスなソロを挟みメロデスバンドとしての矜持を見せつつ、暴風雨のように駆け抜ける一曲。
■The Carnage Cursed By Megalomaniac Gods
アルバム最後まで同じような曲だが、徹頭徹尾やりたいメロデスを貫いている姿は尊さすら覚える。
80点(オールドスクールのメロデス好きにおすすめ)