Sonata Arctica『Ecliptica』(1999)
みんな大好きフィンランドが誇る北欧メロスピメタルバンド。
StratovariusやTwilightningと並び、フィンランド産北欧メロパワ全盛期だった2000年前半から、日本でも大人気。
フィンランドのKemiで結成された当時はTricky Beansという名前でハードロックをやっていが、1999年にスパインファームとの契約を機にSonata Arcticaにバンド名を変更。
同年リリースされたデビューアルバム『Ecliptica』は各方面から絶賛され、冒頭の通りメロスピ大好きな日本でも人気が大爆発した。
俗にいう「ソナタ系」という数多のフォロワーを生み出す事になる。
バンドは今年で活動期間四半世紀を数えるベテランだが、ギタリストのJaniが脱退したのと、ベースが定まらない以外は、ヨーロッパのバンドにしては比較的メンバーチェンジが少ない方だと思う。
そんな彼らの原点にして頂点との呼び声高いデビューアルバム『Ecliptica』。
今聴くとトニーカッコの声も、演奏も若くて荒削りで、エネルギーに満ち溢れている。
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* Tony Kakko – vocals, keyboards
* Jani Liimatainen – guitars
* Janne Kivilahti – bass
* Tommy Portimo – drums
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■Blank File
荘厳なイントロも大袈裟なリフもなく突然の扇情力強めメロディとともに疾走。
フィンランドのメロパワ黄金時代を象徴するかのような若さ溢れるTony Kakkoのシャウトとまだ兵役ゴタゴタで脱退前の若き天才Jani Liimatainenの火花を放つようなギターソロが飛び交う勢い重視のメタルチューン。
■My Land
ミドルテンポながら細かく刻まれたギターワークに豊麗なメロディが乗り、実際のBPM以上に速さと情報量を感じる。
印象的なリフメロディに、粒立ったギターソロに、Janiの繊細な仕事が光る一曲。
■8th Commandment
かつて世界を席巻したが、このアルバムが発表された2000年初期にはやや飽きられていたネオクラシカルの遺物を引っ張り出して、自分たちのアイデンティティを豪快に乗っけようとする試み。
新たな北欧メロディの道標ともなり得る、世界のクサメタラーに盛大に注目を呼びかけた瞬間である。
■Replica
スローテンポでしっとりと始まり、このまま静かに終わるのかと思いきや、2:35あたりから突如始まる楽器隊のソロ合戦。
キーボードの音色が可愛い。
その後テンポをスローに戻すも、音の圧力が増したビッグサウンドに進化し、グランドフィナーレ。
■Kingdam For A Heart
ネオクラリフに、まだ線の細かった頃のトニーカッコのボイスが踊るリズミカルなチューン。
■Full Moon
淡々としながらもキャッチーな合いの手を交えた印象的なメロディを振りかざすメロスピのお手本のような曲。
キラキラシンセとマッチアップするギターソロがライブではハイライトの一つになるが、その様式美を作り上げたのがChildren of BodomとこのSonata Arcticaだとするとその功績は果てしなく大きい。
(このアルバムではトニーカッコが弾いてるが、次のアルバムやライブでは専任キーボーディストが弾いてる)
■Letter To Dana
トニーカッコはスピードチューンよりこういうミドル〜スローテンポの方が声質的に映える気がする。
ドラムがもう少しタメて叙情的に叩いてほしいなとちょっと思ったり…
■UnOpened
麗しいチェンバロの音色がリードするネオクラシカルチューン。
楽器隊ソロが展開される中間部がなんとも2000年代前半感があって芳しい。
■Picturing The Past
イングウェイもびっくりの強烈4連トリルで構成されたインパクト抜群のイントロリフ。
Jamiの性格無比なピッキングが光る。
■Destruction Preventer
特徴的なリフメロディが耳を惹くこのアルバムで1、2を争うくらい有名な曲。
スローダウンし、荘厳に聴かせてきたり、またそこから疾走してキーボードとギターの熾烈な掛け合いもあり、展開が多い。
Tony Kakkoの最高音もこの曲で聴けます。
■Mary-Lou
この曲も初期ソナタを代表する曲。
アレンジは荒削りながらも、キラリと光るメロディセンスや演奏スキルが垣間見える。
総合満足度 88点