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Gladenfold『Nemesis』(2022)

フィンランド発シンフォニックパワーメタルバンドGladenfold

結成は2003年と意外と古く、もはやかなりのベテランの域にはいるが、2022年に発表した本作『Nemesis』はなんと3作目。
その間活動休止などはしていない模様。
今まで何してたんだ

しっかりとした哀愁メタルを軸として、キーボードや豪奢なストリングス、クワイヤを使いまくるシンフォニックサウンドを響かせつつ、ブラストビートよろしくエクストリームデスメタルの顔も持つ、激しめのメロデススキーには2度美味しいバンド。

しかも油断しているとSonata ArcticaStratovariusのような綺麗なパワーメタルの顔ものぞかせてくるもんだから恐ろしい。

過剰なクサみを提供する哀愁と艶麗のメロディーをめしあがれ。

NEMESIS


——
Matias Knuuttila (Gt)

Paavali Pouttu (Key)

Lauri Itala (Dr)

Esko Itala (Vo)

Toke Gerdts (Gt)

Ville Vesa (Ba)
———


■Carnival Of The Hunter
シンフォニックなクワイヤや大仰な歌い回しを開幕から惜しげもなく炸裂させてくるクサメロ大好きメタラーのためのテーマソング。
最近このテのクサいシンフォメタルを聞いてなかったので、拳と首が過剰に反応してしまう。
やっぱりシンフォニックメロデスでしか補えない栄養分が確かにある。


■Chiara's Blessing
キラキラキーボードを纏いながら叙情を振り撒く疾走チューン。
絶対初期Sonata Arcticaのアルバムに入ってると思われる。
だってTony Kakkoの香りが強めに漂ってくるし。

■Stone Of Storms
勇壮なテーマを鳴り響かせつつ華麗に疾るシンフォニックメロパワ。
令和の時代にこんなあからさまで綺麗なXametalを聴けると思わなかった。
展開も転調の具合もサウンドも全て20年前に夢中になった頃に聞いていたメロディックパワーメタル。涙が出る。


■Nemesis 


激しく音の粒を紡ぐピアノが胎動を告げるグロウルとクリーンボイスが絡むプログレッシブシンフォニックメタル。
さらに雄々しく響くベルカント唱法と、ヒステリックに囁く歌唱も入り混じりRhapsody (of Fire)風味すら感じる。
逞しいメタル。


■Saraste
お淑やかなアコギをバックにしなやかな歌声を響かせるたおやかバラード。

■Solitude's Bane
北欧の荒涼感をベースにしつつ、どこかDarkmoor的なラテンの荒々しい息吹も感じるメタルチューン。
ぴろぴろキーボードソロがなんともお決まりな感じでややコモディティ化している感は否めないが、しかし全体的には壮大で優雅で大袈裟な映画音楽になりそうな構えの作品。


■Revelations
オペラティックに歌いまくる様が完全にRhapsody時代のFabioだし、Kamelotの影も少し見える。
過剰なまでのクワイヤがお出迎えしてくれる、これぞまごう事なきシンフォニックメタル。

■Tapestry Of Creation
しっとり激渋な声で囁くようなパートから、ブラスト全開でカオティックに疾り、ワルツのリズムで舞踊的なパートもあったりと起伏に富んだ展開。
4:00からの雄々しく、しかし詩的に言葉を紡ぎ出すシンガロングは、五臓六腑に染み渡る濃厚さ。

■Broken
前のめりなギターリフで軽快に始まる。
何層にも重なる音のミルフィーユと、続け様に差し出されるさまざまな盛り付けをされた展開は、さながらフランス料理のような目眩く七色の味を楽しめる。
もはやシンフォニックメタルでしか味わえない領域。

■Gloria Eternal
エッジの効いたギターサウンド、ズバズバ響くビート、メロディラインがはっきり出てメタル要素が強い、言い換えれば、今までの流れの中ではよりプリミティブなメタルサウンド。
とは言え、大仰なストリングスはたっぷり入ってますが。
ピロピロキーボードが可愛い。


■Where Mountains Mourn
またしてもゲキシブ歌唱を響かせる。
山岳民族の伝承歌のような、焚き火の揺らめく炎を見つめながら囁くように歌う。
ケルティックな風も感じる。


総合満足度 84点(どこを切ってもシンフォニックの血が流れ出すレベル)

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