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LANDMVRKS『Fantasy』(2018)
フランス はマルセイユ出身のメタルコアバンド、LANDMVRKS。
2014年にFlorent SalfatiとNicolas Sorianoによって結成。
当初はColdsightというバンド名でFlorentはギターを担当していたが、フロントマンが見つからなかったため、Florent自身がVoを務めることに。
2016年にベースのRudy Purkartなどが参加し、Landmvrksに改名、デビューアルバム『Hollow』をリリース。
このアルバムの出来がヨーロッパ中に広まり、ドイツのメジャーレーベルArising Empireと契約するに至る。
本作『Fantasy』は2018年にリリースされた渾身の一枚で、王道ヘヴィサウンドや、Djentを散りばめたテクニカルかつ激しいリフを主体に、Florentの慟哭、咆哮、激唱、そしてクリスタルクリアなシンガロングとまさに七色の歌声が乱舞する、新世代コアサウンドのど真ん中をいく曲が居並ぶ。
それでいて、ScarsやFalse Realityのようなキャッチーでメロディアスな曲もあり、彼らの創作性の幅広さが実感できるアルバム。
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総じて、前作からLANDMVRKSの音楽的な進化と多様性を感じさせるアルバムであり、メタルコアファンのみならず、幅広い音楽ファンにおすすめできる作品。
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* Florent Salfati – lead vocals
* Nicolas Exposito – lead guitar, backing vocals
* Paul Cordebard – rhythm guitar, backing vocals
* Rudy Purkart – bass, backing vocals
* Nicolas Soriano– drums
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■Fantasy
しっとりとしたイントロから突如、雷鳴のようなギターリフとFlorent Salfatiのヒステリックで鋭いスクリームと魂のクリーンボーカルが入り混じるインパクト抜群のオープニングトラック。
「静」と「動」、いや、「聖」と「慟」が入り乱れる緩急に飛んだ逸曲。
地底まで突き落とすかのようなブレイクダウンはヘドバン不可避。
■Wake up Call
暴れ回るエッジーな多弦ギターサウンドに覆い被さるようなハイテンションスクリーミングがカオティックな音像を創り出す。
狂気のエナジーが溢れ出て仕方ないデスコアに近いハードコア。
■Scars
コーラスでキャッチーなメロディを舞い散らせるポップな一曲。イントロリフからすでにポップ。
しかし端々に聞かれる電子音や多弦ギターのインダストリアルな響きが、空間全体を深く、重く支配しており、新世代メタルコアの真髄を見せつけてくる。
Florentのソリッド感極まりないラップや、Nicolasの魂のギターソロも興奮の渦を巻き起こす。
■The Worst of you and me
高速ラップがヒステリックに乱舞し、疾走するハイテンションメタルコア。
ブレイクでは清涼な風が舞い込み、浮遊感あふれるひと時が刹那の安心を連れてくるが、すぐに大仰な激情フィナーレへと続く。
■Blistering
エモーショナルなリフの流れから、全身の血液の流れや鼓動が早くなるのを感じるが、コーラスではそのエモーションがさらに爆発。
メロコアやスクリーモに近い、メロディ主体のゴツいチューン。
■False Reality
重厚感と焦燥感あるリフが支配する曲。
煽り散らかすアップテンポのリズムから、コーラスではメロディックなシンガロングを響かせる。
最後の激落ブレイクダウンはしっかりめ。
■Reckoning
多弦ギターの金属的なエッジの効いた小刻みなリフを振りかざし、Djent王道のサウンドを聴かせるアグレッシブな一曲。
ブレイクダウン時にねじ込むダブルペダル連打にドラマーの主張を感じて思わず笑顔。
このテの曲には珍しくフェードアウトで終了。
■Alive
Bliss Sighとデュエットをかますしっとりバラード。
■Dead Inside
爽快なグルーヴを感じるメロコア。
メロディックな要素が全面に出ており、かき鳴らしギターリフや強烈なギャロップリズム、冒頭のオーオーシンガロングなどなどメタルに接近した雰囲気もある。
狂気の早口ラップも聞けます。
■Kurhuh
短いインタールードだが、涙腺が危うくなる程美しいメロディ。
■Disdain
アルバムの締めくくる2ビートを主体にした力強いハードコアパンクなトラック。
今にも食ってかかりそうなFlorent Salfati の攻撃的なスクリーミングが最後まで存在感を放ち続ける。
総合満足度 87点