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Hevisaurus『Bändikouluun!』(2019)

2009年に結成されたフィンランド出身の5人組混成 ヘヴィメタルバンド。
コンセプトは、かわいい恐竜の服に身を纏った子供でも楽しめるメタル、らしい。

正直、レビューしようか迷ったが、曲自体はとてもキャッチーで、しかし決して子供だましではない作りに感動したのと、フィンランドというメタル大国の懐の深さや、本当に子供のために色々考えられて曲やマスタリングやライブ制作がされている事に対しての最大限の尊敬を表したく、ここにレビューさせていただきたい。

ギタリストはムービーでは他のメンバーたちのように手袋をはめて演出をするが、ライブをするときは手袋を脱いで演奏する(かわいい)

幼い子供の耳を保護するために全ての曲が85デシベルを超えないようにアルバムがマスタリングされており、公演でもそのマスタリングデシベルを維持するという。
またライブでは最前は子供のみしか行けず、グッズもSサイズしかないという徹底ぶり。

曲は全編フィンランド語で歌われているが、内容は宿題が多いとか、ママが怖いとか子供ならではの悩みに寄り添っている(かわいい)
世界中どこでも一緒なんだな。

コンセプトを作る中心メンバーとして元NightwishのMarco HieralaやStratovariusのJens Johansson の大御所を初め、北欧メタルの一線で活躍するバンドからメンバーが参加しており、アルバム毎に豪華なクレジットが刻まれることでも有名。
日本でもマンウィズしかり、被り物バンドは大御所がやりたがるのか…


本作は2019年に発表された『Bändikouluun!』。
もう最初から最後までキャッチーの極みでとても耳に馴染みやすく、しかし決して手は抜いておらず丁寧に作られた曲が並ぶ。

Bändikouluun

同時にフィンランド語の可愛さも体感でき、子どもへの教育メタルとしてだけでなく、大人なメタル初心者にもお薦めしたい一枚。


* Herra Hevisaurus(ボーカル、フロントマン、ティラノサウルス)
* Milli Pilli(キーボード、女性ボーカル、トリケラトプス)
* Riffi Raffi(その他、ドラゴン)
* Muffi Puffi(ベース、ステゴサウルス)
* Komppi Momppi(ドラム、アパトサウルス)
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■Bändikouluun!
開幕を飾る爽やかなミドルテンポのハードロック。
コーラスは子供達に混ざって大人メタラーが最前線に乗り出してきてシンガロングしそうなくらいメタル。
ダメだよ大人は後ろで聞いてなさい。
ギターソロも難易度高いフレーズを炸裂させ、ドラムも何気にテクニカルな一面を見せつけて来る。


■Poro Soitti Taikarumpua
ゆったりしたリズムでトコトコ歩くメタル。
しかしよく聞くと、1:281からの中間部のかわいいぽよぽよしたキーボードソロの裏でも実はベースが弾きまくり大会してたりして、メタル大国フィンランドのプライドが見え隠れする。
ちなみに曲のタイトルは
「トナカイは魔法のドラムを演奏しました」
かわいい。


■Pianon Kannen Alla
どことなくイントロのピアノがNemoの頃のNightwishを感じる。
キーボードソロに続いてメタリックなギターソロが連なる構成も抜かりない。
タイトルの「ピアノカバーの下で」という通り、ピアノの音色がメタラーの琴線にビンビンに触れまくる良曲。


■Monster-Auto
メタリックなミュートが効いたザク切りリフに続いて展開する爽快・快活な疾走チューン。
途中でさらにテンポアップして2ビートのグルーヴに切り替えながら、高速情報ギターソロにつながる。
Sonata ArcticaやLordiの新曲と言われても「あ、ちょっとポップ路線に寄ったのね」と思うくらいでさして違和感がないレベル。


■He-Sa-Mu-Ko-Mi-Ri-POM!
Van HalenのJumpのオマージュイントロからミドルに駆け出すポップロック。
相変わらずギターソロはテクくて笑っちゃう。
シンセギターかな。


■Ukko Ja Kookosbanjo
あまりメタルでは取り入れられることがないバンジョーがメインを張る楽しげな曲。
フィンランドの子供達がシンガロングしている姿が容易に思い浮かぶ。


■Bäng Bäng!
フィンランド語のおどけた感じで繰り広げるHipHopロックチューン。
言葉はわからないが、こんな平和なHipHopがあろうか。。


■Ystävyys On Ikuista
アコギ片手にエモーショナルにシンガロングする夕焼けが似合う曲。
なんと完成度の高いバラードか。


■Roinavuoren Rotta
どんだけ控えめに言ってもSonataの新曲です。
フィンランドの子はだいたいみんな13-14歳でバンドを組むらしいが、こんな曲を4歳くらいから毎日教育テレビで聞いてたら普通にサッカーチームに入るくらいの感覚でバンドは組みますね。


■100
タイトルトラック通り、Hevisaurusの100曲目にリリースした曲。
参加ミュージシャンが多すぎ&豪華すぎるので、列挙したい。

Marco Hietala / Nightwish
Noora Louhimo/ Battle Beast
Timo Kotipelto / Stratovarius
Samy Elbanna / Lost Society
Pasi Rantanen / Thunderstone
Olavi Tikka / Milestones
Tony Kakko / Sonata Arctica
Mikko Kotamäki / Swallow the Sun
Netta Laurenne / Smackbound
Mikael Salo / Thy Row, Metal De Facto
Teemu Mäntysaari / Wintersun, Smackbound
Jens Johansson / Stratovarius, Rainbow
Daniel Freyberg / Children of Bodom
Markus Vanhala / Omnium Gatherum, Insomnium
Kiko Loureiro / Megadeth
Matias Kupiainen / Stratovarius
Iivo Kaipainen & Arttu Vauhkonen / Arion
Kai Hansen / Gamma Ray, Unisonic
Tim Hansen / Induction
Joona Björkroth / Battle Beast, Brymir
Henrik Klingenberg / Sonata Arctica
Niko Tyrväinen / Radio Rock winner
Nino Laurenne / Thunderstone
Vili Itäpelto / Smackbound, Tracedawn
Anton Kabanen / Beast In Black

なんじゃこりゃ、北欧メタルのオールスターじゃん。
マイケルジャクソンでもこれだけのミュージシャン集められないと思う。


総合満足度 87点

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