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Enter Shikari 『Take To The Skies』(2007)

イギリス ロンドン出身のポストハードコア/レイヴメタルバンドEnter Shikari

幼馴染を中心に、2003年まではHybrydというバンド名で活動していたが、VoのRoughton Reynolds(ラウ)の加入をきっかけにEnter Shikariという名前に改名。

トランスミュージックとメタルが融合したサウンドでデビュー前から各所で話題になっており、特に若き日のU2やRadiohead、Coldplay等がライブをしたロンドンの伝説的な劇場、Astoriaを満員にしたライブで一気にシーンで注目されるようになる。

2007年3月にようやく本作デビュー・アルバム『Take To The Skies』をなんと自主レーベルからリリースすると、まさかの全英チャート4位にチャートイン。
サウンドの目新しさだけでなく、確固たる作曲能力の高さと、決して散漫になり過ぎない絶妙な実験音の数々は人気バンドの仲間入りして然るべきのハイレベルな技術を見せつけた。

Take To The Skies


ちなみに「レイヴメタル」とはレーベルの売り出し文句だが、音像的にはハードコアの方がしっくりくる。
いまではさほど珍しくはない電子音を全面に響かせながらズシっとしたバンドサウンドを奏でるスタイルだが、すでに17年も前から実践している事に驚き。

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Roughton Reynolds (vo, electronics)
Rory Clewlow (g)
Chris Batten (b, vo)
Rob Rolfe (ds)
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■Enter Shikari
艶やかなシンセサウンドに煽られるように、ダンスメタル由来のドラムビートが、荒っぽく掻き鳴らすギターが、そしてラウのデスシャウトが折り重なっていき、2:00から疾走とともに爆発。エモ、スクリーモの臨場感とダンスリズムの昂揚感がミックスされるハイテンション空間に雪崩れこむ。


■Mothership
世界中に多くのフォロワーを生み出したであろう、図太いバンドのボトムサウンドにシンセが全面を覆うチューン。
これは良いハードコア寄りのトランス。


■Anything Can Happen In The Next Half An hour
落ち着いたリズムで様々な実験的サウンドを繰り出すコアチューン。

■Labyrinth
電子音が飛び散るシンプルなハードコアチューン。
RUSHやNeil Youngを想起させるような80年代メタルで良く聞いたシンセサウンドと低音ベース音が強調されていて、懐かしくも新しい衝撃。
温故知新の感動をリマスターしたような曲。



■No Sssweat
前のめりなパンキッシュリズムにハッピーなエッセンスが加わり、なんとも言えない酩酊感と高揚感が交錯するゴキゲンサウンド。


■Today Won't Go Down In History
ベースがひたすら同じリズムで刻み続けるスローテンポな曲。


■Reprise 1
次曲へと盛り上げをつなぐインタールード。


■Return To Energiser
ポストハードコアバンドとしてのクリエイティビティと野心が全面に溢れ出るアイディア詰め込み変則チューン。


■Sorry You're Not A Winner
頭と拳が急反応を示すハンドクラップレイヴコア。
彼らが世に挑戦状を叩きつけた伝説のチューン。
テンション爆上がりポイントと落ち着くポイントを交互に挟み、まさに彼らの実験の手のひらの上で転がされているよう。

■Johnny Snipre
Van Halenの『Jump』のオマージュ。
パンパカパーン的なシンセサウンドで開幕してから、タッピングを多用し、ゴリっと歪んだディストーションギターも踊り回る。
陽気なハードロックチューン。


■Adieu
穏やかなヒーリングバラード。
3:40を過ぎた辺りからクラッシュシンバルが混じるダイナミックな音像に変化。


■OK Time For Plan B
軽快なリズムで淡々と進んでいくと思いきや、最後に重いブレイクダウン。


総合満足度 82点

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