ORPHEUS OMEGA 『Partum Vita Mortem 』(2015)
オーストラリア メルボルン出身メロデスバンドORPHEUS OMEGA(元々はORPHEUSというバンド名)が2015年にKolony Recordsから発表した通算3枚目のアルバム。
2008年にVoのChris Themelcoを中心にChildren of BodomやArchenemy らスカンジナビアンバンドに影響を受け、結成。
2009年にAmon AmarthのオーストラリアツアーのOpening Actとしてのパフォーマンスが評判となり、2010年『Bleed the Way』でデビューする。
その後順調にアルバムをリリースするが、2013年、結成当時のメンバーであったAdam ‘Milky’ Adamsの突然の死去や著作権の問題で名前がORPHEUS からORPHEUS OMEGAに変更を余儀なくされるなど苦難の年を迎える。
それでも2014年のCOBやDark Tranquillityのオーストラリアツアーのサポートをするなど不屈の精神で活動を続け、耳の肥えたメタラー達の評価を確固たるものにしていく。
そんな中2015年発表された本作は、
彼らのアイデンティティであるゴリゴリのグルーヴと北欧哀愁叙情メロディは相変わらず健在、というかより進化しており複雑なリズムチェンジや多様な効果音もふんだんに取り入れた意欲的な一枚となっている。
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Chris Themelco -Vocals & Lead Guitar
Luke Ashley -Guitar
Olive Keswick Gallagher -Key&Backing Vocals
Nathan Mesiti -Bass
Matt Themelco -Drums
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■Conception
荘厳なクワイヤとストリングスで幕を開ける一大抒情詩の予感
■I, Architect
オープニングの壮大さを引き継ぎ、初期のIn FlamesやArch Enemyの系譜を継ぐフックの効いた哀愁たっぷりかつキャッチーなギターリフが流れこんでくる。
聞きたかった「The メロディックデスメタル」を開幕からかましてくれて早くも無意識のニコニコが止まらない。
■Karma Favours The Weak
哀愁をばら撒きながら疾走するファストチューン。
バッキングコーラスにもこだわりが見え、メインのメロディラインが際立つ奥行きのある音の作りはどこかSoilwork のエッセンスも感じる。
ギターワークもエモ過ぎて震える。
■Practice Makes Pathetic
どこかエジプティアンな香りが焦燥感のあるリズムと絡みあい、独特のソリッドさを研ぎ出している。
COBをリスペクトしている事はこの曲のどこを切っても明らかだが、自分達の音像を生み出そうとする姿勢も同時に聞こえてきて応援したくなる。
■Our Reminder
爽やかさすら感じるギターリフに、グリっグリに歪みが効きまくったベースも時折顔を出しブルータリティの面も抜かりなし。
かと思いきや、中間部で突如風が駆け抜けるかのようなギターソロが飛び出し、彼らの引き出しの多さを再確認。
■Unravelling Today
冒頭のキラキラと途中のキーボードソロはもはやCOBへの愛です。
クリーンシャウトは最初聞いた時はやや唐突すぎる印象で違和感あったが、不思議とリピートへと導くスパイスになってたりする。
ジャリジャリしたギターとも相性良し。
■Breath's Burden
タッピングベースの緩やかな雰囲気から一転、キレの良い単音ギターリフと、エモ過ぎ注意のユニゾンギターで一撃悶絶死を狙ってくる危険な曲。
いゃ〜クオリティ高いですな!
■Tomorrow's Fiends & Yesterday's Ghosts
ピロピロキーボードが裏で可愛く頑張り、表では吐き捨て型のグロウルがそこここと喚き散らすメロデスチューン。
2:15あたりからの高音トレモロユニゾンメロディや、3:44からの疾走ギターソロなんかは全世界の哀メロ同好会ギター支部の皆さんに直撃するやつだと思う。
■Beacons
Djent風のテクいギター、ジャリついたベース、咆哮系のクリーンシャウト、グロウル、そしてもはやバグに近い超高速ブラストビートの激音。嵐のように次から次へと襲い掛かる音の波。
モダンメロデスとメロコアの最高テクが楽しめる素晴らしいチューンです。
■Echoes Through Infinity
深みのあるピアノの調べに乗せてウィスパークリーンVo、そして激情グロウルが押し寄せる。
3:40あたりからのグランドフィナーレに向かう展開はもう感涙モノ。
全俺がスタンディングオベーションだわ。
■Revel In Oblivion
モダンなメロコアっぽい曲。
複雑なメロディラインを幾重にも紡いで重厚なサウンドスケープを作り出している。
後半転調してからもハイライトいっぱいあります。
■Kharon
無機質なピロピロした電子サウンドがサイバー的な雰囲気を出しつつ、アルバム終盤にも関わらず突如Stratovarius が憑依したかの如くネオクラシカルフレーズをぶち込んでくる元気。
素晴らしいと思う。
■Silence, The I
グルーヴィーな調べに乗せて緩やかにグロウルが乗ったり時にブラストビートで走ったり最後までいろんなパターンの展開を繰り出してくる。
総合満足度 88点(メロデス好きで良かったとしみじみと感じられるレベル)