Rise To Fall『Into Zero』(2018)
スペインはビルバオ出身のイェーテボリスタイルに色濃く影響を受けたメロデスバンド。
2006年にHugo Markaida(Gt)を中心に結成、数枚のデモを発表するも、多くがサポートだったため、実際に本格的に活動を始めたのは2008年ごろから。
2010年に1stスタジオアルバム『Restore The Balance』を自主制作にて発表、これが鬼才Ettore Rigotti(DISAMORNIA MUNDI)の目に留まりCORONER RECORDSと契約を果たす。
地元BilbaoのフェスBilbao BBK Liveに出演後はRammsteinやSlayerなど世界的なバンドのスペイン公演のサポートを務めるなど経験と知名度は上昇し続け、2011年にはDestrageと来日公演も果たす。
本作『Into Zero』は2018年発表の通算4枚目のアルバムで、マスタリングはブラダリなどを手掛けるJacob Hansenが担当。
叙情的なフレーズはより流麗に、グロウルとクリーンの温度差はより劇的に、そこにルーツであるイェーテボリスタイルを独自解釈した数々の印象的なフレーズを込めてRise To Fallのアイデンティティ流サウンドが確立されている。
今年また来日するようで、非常に楽しみ!
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* Dalay Tarda - vocals
* Dann Hoyos - lead guitar
* Hugo Markaida- guitar
* Javi Martín- bass
* Xabi “Txamo” - drums
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■The Descendant
開幕から叙情メロディの嵐が吹き荒れる。
In Flames、Soilworkの初期サウンドを思わせるイエーテボリスタイルがスペインの地でめ花開く瞬間である。
ちなみにMVは前回の日本ツアーの時のもの。とても微笑ましい。
■In the Wrong Hands
ややクセのあるトリルリフをかき鳴らし、壮大なコーラスへと導くその構成美はもはや世界的なバンドの安定感。
もっと認知度は上がっていいと思う。
フォロワーの域を抜けられていないという批判はもはやどうでもよく、この悲哀に満ちたメロディを発信し続ければ絶対に世界中のXametalerがヨダレを垂らしながらライブハウスに殺到するであろう。
それだけのクオリティだと思う。
■Acid Drops
テクいドラムがスタスタ走るミドル〜ハイテンポの合唱系メロデス。
王道の構成ながらきっちりと展開を見せるギターソロ、そして終盤ではまさかの劇的転調でガッツポーズを誘う大団円。
■House of Crosses
In Flamesリスペクトが強すぎる曲。
絶対『Come Clarity』『A Sense of Purpose』に入ってた。
大好き。
こういう曲だけ食べて1年ぐらいは生きられる自信はある。
■Virgin Land
疾走感と緊張感のあるメロディックデスメタル。
コーラス前の導入ヴァースにおしゃれなギターフレーズをちょい挟みしたり、一瞬のきらめきを放つテクニカルなギターソロをさらりと流し込んでくるあたりは、知名度こそまだまだだが、しっかりとした手練れ感を感じる。
■The Empress
ゆったりと揺れるリズムに良質メロを委ねるスローテンポハードバラード。
鈍重なテンポでやや退屈さを与える瞬間もありながら、しっかりと聴かせどころのメロディやアグレッシブ要素を配合しまとまっている印象のチューン。
■Temptation Feeds on Our Weaknesses
2ビートで疾走するデスラッシュスタイル。
コーラスではクリーン混じりの激情咆哮が吹き荒れる。
ギターソロは教則本のレッスンにありそうなメカニカルフレーズからの哀愁フレーズを入れ込んでくる。
■Zero Hour
地を這うような重々しいリフとさほど盛り上がらない暗雲立ち込めるようなコーラスが続く中、一瞬の閃光のようにまばゆいばかりのギターソロが時にユニゾンしながらなメロディックに駆け抜けていく。
これだよこれ。
一言で言うなれば。。。。悶絶ッッ!!!
■Effects of the Terrestrial Syndrome
躍動するリズム、ゴリっとしていながらなめらかなディストーションギター、そしてコーラスでは空間を意識し拡散するような音像を振りまく正真正銘の叙情系メタル。
ギターソロでは一転、快活にロックフレーズを弾きまくっている様子。
■Survivor
叙情性が極まってしまったメロデス楽曲。
ヴァースのやや鼻にかけて歌う歌い方がミカエルスタンネとアンダースフリーデンのちょうど中間のようで、何度でもいうけどIn Flamesだよねこれ。
ギターリフは絶対イェスパーが弾いてる。
■Game of Appearances
バウンシーなリフでフロアを揺らす高濃度のクサメタル。
ややワンパターンに飽きが来始めた時に、やさしく突っ込んでくるDann Hoyosのギターソロに微笑みが止まらない。
■White Canvas
アルバム最後を飾る曲としてはやや印象が弱い。
ギターはピロピロしていて、一瞬のグッとくるフレーズはあるのだが…
総合満足度 84点
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