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Fall Out Boy『Save Rock and Roll』(2013)
2001年に結成されたアメリカ合衆国イリノイ州シカゴの郊外ウィルメット出身4人組ロックバンド。
友達同士だったPete Wentz(bass)とJoe Trohman(guitar)を中心に結成された。
Peteは2000年当時Arma Angelusというメタルコアバンド等で活動していたが、次第にシカゴのアンダーグラウンドのメタルコアシーンに不満を抱くようになり、当時グラインドコアバンドでドラムを叩いていたPatrick Stumpをスカウトし、ボーカルとギターに配置変更、そして新たにAndy Hurleyをドラマーとして加え、新たなポップパンクバンド(Pete のサイドプロジェクト的な位置付け)として次なる活路を見出すようになる。
当初はバンド名をForget Me Notとしていたが、ライブ中にバンドを見ていたオーディエンスが「お前たちはFall out boy!だ」と、ヤジを飛ばした所、その響きを気に入ったメンバー達がそれをバンド名にした。
(『ザ・シンプソンズ』の登場人物の子供達が夢中のマンガ「フォールアウト・ボーイ」(Fall out Boy)に由来。)
2003年にデビューアルバム『Take This to Your Grave』を発表をするも、まだこの頃はメジャーシーンでは無名。
彼らが大きく飛躍を果たすのが、ヒットシングル"Sugar, We're Goin DownとDance, Danceの2曲を収録した『From Under the Cork Tree』(2005)をリリースした後。
このアルバムがダブルプラチナムを獲得すると、バンドとしてもBest New Artistを受賞、ワールドツアーも決まり、一気にお茶の間の人気を得る。
しかし2007年のライブ中のステージ上での殴り合いの大喧嘩を始め、2008年に発表した『Folie à Deux』 の不振もあり、バンド内の雰囲気は悪化の一途を辿り、ついに2009年に活動休止を宣言。
人気絶頂からのまさかの転落だった。
メンバーは各々サイドプロジェクトで活動していたものの、目立った動きはなく、かつて彼らに興奮していたファンも彼らを忘れかけていた頃、突如として2013年にバンドは再始動する。
本作はその再始動とともにリリースしたアルバムで、ジャケットは様々な物議を醸したものの、ファンからの期待値も込みで、楽曲についてFOB史上最高傑作との呼び声高い。
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下記はリリースにあたって発表されたバンドのステイトメント。
“---僕たちがまだキッズだった頃、音楽こそが日常をやり過ごしてくれた唯一の存在だったんだ。だからこそ僕たちはフォール・アウト・ボーイというバンドをはじめたんだ。僕たちは解散していたわけではないからこれは再結成ではないんだ。僕たちは原点に立ちかえり自分たちにとって大切である音楽をつくる必要があったんだ。フォール・アウト・ボーイの未来はここに始まる。ロックンロールを救おう…。” -Fall Out Boy
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* Patrick Stump – lead vocals, guitar, keyboards, piano,
* Joe Trohman – guitar, backing vocals, keyboards
* Pete Wentz – bass guitar, backing vocals
* Andy Hurley – drums, percussion, backing vocals
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■The Phoenix
FOB史上最もテンションが昂るチューン。
FOBは知らなくとも、この曲は聞いたことあるいう人も多いでしょう。
昂揚感を煽るようなイントロから、一瞬のカームダウンを経てスタジアムロック並に大合唱が起きるキャッチーなコーラスになだれ込む。
ちなみにRIZINで活躍中の格闘家、井上直樹選手の入場曲でも使用されていることは有名。
■My Songs Know What You Did in the Dark (Light Em Up)
一曲目で最高潮に達した昂りを、ハンドクラップと共にさらに高みへ連れていく熱いダンスロック。
Fall out boyの復活を高らかに宣言する、彼らの第二章の幕開けソング。
■Alone Together
抜けのいいサウンドとハードポップ寄りのR&Bテイストを混ぜこんだチューン。
ハードコアとポップの架け橋的な両者のいいとこ取りの曲。
■Where Did the Party Go
80年代ダンスポップ、ディスコソング的な風合いを全面に出しつつ、所々にハードロックの激しさを散りばめている。
■Just One Yesterday(featuring Foxes)
Foxesが登場するミドルスローテンポリラックスダンスチューン。
コーラスのメロディが適度にポップで癒し効果ある。
■The Mighty Fall(featuring Big Sean)
ボトムから迫り上がってくるようなベースに乗せて吐き捨てるようにヴァースを紡いだあと、開放感のあるコーラスへとシームレスに繋がるハードロックmeets ブラックミュージック。
■Miss Missing You
爽やかダンスポップ。
ジムとかで掛かってそう。緩やかにテンションを上げてくる曲。
■Death Valley
打ち込みドラムが煽ってくるアップテンポダンサブルロック。
アドレナリン急噴出注意。
あとMV微グロ閲覧注意。
■Young Volcanoes
ハンドクラップから軽快に始まるカントリー調の爽やかロックサウンド。
■Rat a Tat (featuring Courtney Love)
ポップでキャッチーな陽気ロック。
しかしただナヨいポップさだけでなく、しっかりと重心が乗ったサウンドがブレンドされており、耳を惹きつけて離さない。
■Save Rock and Roll(featuring Elton John)
まさかの大御所ゲスト登場。
Elton Johnの野太く伸びやかな声が楽曲に彩りを加えるゆったりとした曲。
総合満足度 81点