BEARTOOTH 『Disgusting』(2014)
アメリカはオハイオ州発のメタルコアバンドBeartooth
リーダーであり創始者のCaleb Shomoはエレクトロコア/メロコアバンド「Attack Attack!」の中心人物でもあったが、よりコアでハードな音楽を志向し、脱退。2012年にBeartoothとして全てのパートを自身でレコーディングしたEP『Sick』で再出発を果たす。
本作『Disgusting』はRedBull RecordsからリリースされたBeartoothとしては初のフルレングスアルバムで、本デビュー作となる。
例によって全ての曲、レコーディングはCaleb1人で行われ、彼によると「very smooth since I have a studio in my house, and would write songs whenever I was bored or couldn't sleep in the middle of the night.」とのこと。
マジか。
サウンドはAttack Attack!の頃よりハードな音作りにはなっているものの、キャッチーなメロディや強烈なブレイクダウンは相変わらず安心のCaleb品質で、パンクとハードコア、ニューメタルの間を行き交うサウンドになっている。
「ちょっとハードコアとか無理っすww」
という人にも安心して勧めやすく、ちゃんとハードコア沼への路線もしっかり用意してある
一般の方から、そちらの方まで楽しめる一枚。
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Caleb Shomo – vocals, all instruments
アルバムに伴うツアーから参加
Nick Reed – bass, backing vocals
Brandon Mullins – drums
Taylor Lumley – lead guitar, backing vocals
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■Lines
Calebの咳き込みから苦しそうなスクリームで始まる。
単音でフックの効いた太いギターリフからキャッチーに展開するエモにも分類できそうなメタルコアチューン。
しっかりとブレイクダウンも挟み、重さも感じる。
■Beaten in Lips
シンプルに軽快にキャッチーに疾るパンキッシュなチューン。
Calebのクリーンにメロディをなぞる歌唱と熱血シャウトを使い分ける上手さが特に際立つ。
■Body Bag
グリグリ地を這うようなベースラインとダウンチューニングされたギターがハードにグルーヴィーにリフを刻むなんともドライブが効いたチューン。
コーラスでは本当に気持ちいいポップに走ってくれて爽快感を振りまいた後、しっかり落とすという様式美も巧みに混ぜる完成度とオリジナリティね高い高品質メロコア。
■In Between
アメリカのビーチの穏やかで陽気な風が吹き抜けでいくような、爽やか過ぎて眩しいッ…!
もはやポップパンクの爽やかな風しか感じない。
■Relapsing
一転、Calebの狂気シャウトとDjentっぽいギターノイズが炸裂するポップなコアサウンド。
ブレイクダウンした後に爽やかなコーラスがいきなり戻ってくる様はちょいと無理矢理感を感じてしまったが、勢いで押し切れてしまうパワーがある。
■Ignorance Is Bliss
ダウンチューンされたギターが全面に渡り主張するメタルコアな一曲。
Calebも一層アグレッシブにインセインに叫び倒してカオティックな緊張感を生み出している。
■I Have a Problem
単音リフザク切り+ツーバスドコドコ+グルーヴィーなボトムサウンドを足し合わせたモダンハードコアチューンかと思いきや、なんとコーラスに入るとメロハーの臭みすら感じる叙情的なメロディが飛び回っているではないか…!
この緩急差というか温度差を上手く繋げる事ができるのもCalebマジック。
■One More
Djent的なややテクいリズムから、パンキッシュなドラムビート、ゴリゴリのベースにオーオー系のコーラスとピアノをバックに慟哭シャウトを響かせるなど、次にどこに行くか分からないワクワク感を感じる情報量が多い曲。
■Me in My Own Head
SUM41やOffspringを思わせるパンキッシュなナンバー。
途中からマスコア風味の不協和音で緊張感を生み出す演出も入れながら全体としては陽気に走り切る。
■Keep Your American Dream
ライブ映えしそうなシンガロングから元気に走るポップパンク。
「Go Ahead and keep it」を合言葉のように繰り返し叫びサークルピットを走り回るキッズ達の姿が容易に想像できる。
■Dead
ゴリっとしたベース、ジャリっとしたギターがひたすら走る疾走チューン。
そして当たり前のように待ち受ける激落ブレイクダウン!
破壊力高めのチューンです。
■Sick and Disgusting
不協和音と苦しみ系/嘆き系のスクリームを組み合わせて不穏な雰囲気を醸造し続ける曲。
KORNのような絶望感を漂わせ(実際最後の方は号泣している演出も入っている)これまでの陽気な感じはどうした!?と思うほど最高に後味が悪くなる一曲。笑(半分褒めてる)
総合満足度 87点(Calebのクリエイティビティとスキルをたっぷり堪能できるレベル)
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