BAD OMENS『The Death of Peace of Mind 』(2022)
2015年アメリカ ワシントンD.C.にてNoah Sebastian(vo)が旧友Nicholas Ruffilo(g→b)と共に結成したメタルコア、Nu MetalバンドBad Omens。
当初、Bad Omensという名前はデモ曲のうちの一曲の名前に過ぎなかったが、デビューと同時にバンド名として使用する事になり、この曲はのちに『Glass Houses』というデビューシングル曲としてリリースされる事になる。
Nicholasは当初リズムギターを担当していたため、Vincent Riquier(2018年脱退)をベーシストとして、そしてスウェーデン人のJolly Joakim Karlssonをリードギタリストとして迎え、さらにwebでオーディションしたNick Folioを加えて初期メンバーが確定、2016年にバンド名を冠したアルバム『Bad Omens』でデビュー。
このアルバムが各方面で高評価を得て、Warped Tour出演やParkway Driveとのツアーが組まれ、その人気を確固たるものにしていた矢先、コロナで初の自身ヘッドライナーツアーが中止となる。
コロナが明けた2022年、満を持してSumerian Recordsから発表された3rdアルバム『The Death of Peace of Mind 』は、Bring Me The HorizonやDayseeker等と比べられることも多いが、随所に彼らの独創性が散りばめられている渾身の一枚になっている。
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-Noah Sebastian – lead vocals
-Nicholas Ruffilo – bass backing vocals
-Joakim Karlsson – lead guitar,
-Nick Folio – drums, percussion
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■Concrete Jungle
漂う浮遊感の中にひとつまみの激情を忍ばせる事で緊張感を高めている印象的な開幕曲。
「in the Concrete Jungle〜」のメロディが都会の窮屈さ、閉塞感を痛い程表現しており、そこから脱出を試みる感情を爆発させている。
■Nowhere to Go
カッコいい。
浮揚するような繊細なメロディラインと、図太くて若々しいコーラスのシャウトの対比が気持ちいい新世代メタルコアのオシャレさを凝縮したような曲。
■Take Me First
BMTHを想起させるような奥行きのあるサウンドと、諦観に満ちたウィスパーボイスから一気に火の噴くような激情を吐き出すスタイルに豹変するNoah Sebastianの表現力は思わず息をのんでしまう。
■The Death of Peace of Mind
ヘヴィで重厚なギターサウンドと、エレクトロなニュアンスでスパイスを効かせる複雑で美しい曲。
最後に見せる暴虐シャウトと強烈なブレイクダウンにメタルコア魂を感じてしまった。
■What It Cost
たゆたう電子音の波に揺られながら淡々と静かに進行するミドルテンポの曲。
Noahの声色が七色に変化して飽きさせない。
■Like a Villain
前の曲からそのままの続きで流れるように始まる。
ゆるりとまったりと終わるのかなと思いきや、一瞬だけヘヴィなブレイクダウンでスクリームする箇所あります。
■Bad Decisions
静かな湖のほとりで歌っているような、夢と現実が入り混じる幻想空間にいるような美しいバラード。
■Just Pretend
夢想的な浮遊感のあるヴァースから一転、ヒステリックなシャウトが響き渡る。
しかしそれはどこか哀しげで、嘆きに似た叫びにも聞こえる。
■The Grey
ヘヴィさと夢現感が同居し、叙情的なメロディを荒々しく紡いでいく様は、トリップ系メタルコアと呼びたい曲。
アルバム一、アがる。
コーラスではNoahが綺麗で伸びやかな高音で叫びまくっています。
絶妙な「間」の使い方がBMTHと同じく上手い。
■Who Are You?
オルタナポップ感のあるエレクトロバラード。
静かな海面の境を漂う感じ。
或いは、深夜の都会の大通りを1人いつまでも歩いて行く感じの曲。
■Somebody Else.
前の曲に似たようなゆったりバラード。
ノイズがかかったインストソロはなんかいい感じ。
■Idwt$
アップテンポでダンスポップなヴァースと、ブレイクダウン&スクリームを放つコーラスが同じ皿に乗っていて、憎らしいほどオシャレ。
■What Do You Want From Me?
サイバー的なシンセが主張する導入部から、ディストーションが効いたギターとスクリームが絡み合うヘヴィな展開を近未来メタルコア。
良い感じに盛り上がってきたところで突然終わってしまうので、もうちょいこのあとを聴きたかった短い曲。
■Artificial Suicide
Rammsteinを思わせる重厚に刻むリズムギターに、グロウルが乗るアルバムの中で唯一、激しくメタルコアやってるナンバー。
ブレイクの無音が長くて緊張感ありますな。
■Miracle
浮遊感あるエレクトロサウンドは相変わらずだが、どこか中世ヨーロッパのダークな血生臭さを感じる一曲。
落とすところはしっかり落とし、メタルコアバンドとしての矜持は保っている。
総合満足度 84点(聴いている間、心の平和が保たれるレベル)
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