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Breakdown of Sanity『Coexistence』(2016)

スイスはBernで結成されたメロデス/メタルコアバンド。

2007年、後にバンドの中心人物となるギタリストのOliver Stingelが当時所属していたParanoiaというバンドをベースのCésar Goninを伴って脱退し、同じくNerphというバンドを脱退したCarlo Knöpfelを誘って結成した。
すぐにドラムのThomas Rindlisbacher(すぐにChristoph Gygaxに交代)と、リズムギターのSandro Keuseをリクルートすると、バンドは自主制作アルバム『The Last Sunset』でデビューする。

2013年、With Full Force Festivalで August Burns Red やArchitectsと共演すると、そのパフォーマンスがレーベルの目に留まり、シカゴに拠点を置くVictory Records傘下のWe Are Triumphantと契約。
同年、レーベルからの1stアルバムとなる『Perception』をリリースし、2016年9月には2ndアルバムとなる本作『Coexistence』をリリース。
その後、2017年には一度活動休止するものの、2020年に活動再開し、2024年には日本ツアーも控えているという、これから第二章が始まろうとしている個人的に期待しているバンド。

COEXISTENCE

本作『Coexistence』は、リフをはじめとしたギター周りのサウンドメイキングはモダンメタルコアだが、彼らの血には間違いなくイエーテボリスタイル直系のメロディセンスや構築美の妙が色濃く混ざっていると思う。
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* César Gonin – Bass
* Christoph Gygax – Rhythm guitar
* Carlo Knöpfel – Vocals
* Thomas Rindlisbacher – Drums
* Oliver Stingel – Lead guitar
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■Bulletproof
鏡のような湖面の静寂から突如として頭蓋骨を揺るがす轟音リフが飛び出す。
終盤に凶々しいブレイクダウンも炸裂し期待値を急上昇させる開幕を高らかに告げる。


■Restless
ダブルペダルがブーストをかける疾走パートは脳内モッシュ不可避の緊張感を伴っており、
コーラスでは一転、北欧の風を感じざるを得ない叙情空気ムンムンのギターワークが流れ込むなど、容赦ないヘドバン直誘導型のメタルチューン。


■Back To Zero
イントロから張り切るピロピロギターが終始支配するのかと思いきや、突然のシンコペーションでリズムを大袈裟にチェンジ。
Carlo Knöpfelの威丈高な咆哮と、Oliver Stingelをはじめとしたリズム隊が放つ洗練されたバッキングに手汗が止まらない。
Cristal LakeのRyoがゲスト参加。


■Dear Diary
ザラついたDjentlyなリフがうねるように浸透し、フロアを揺らしたかと思うと、コーラスは初期In Flamesを思わせる叙情に満ちたギターラインとCarloのエッジボイスのマッチメイクで心地よい風を運んでくる。
終わり方も昔のIn Flamesっぽい。


■Crossed Fingers
ダブルペダル疾走開幕〜コーラスで登場する空間を意識した奥行きのあるギターフレーズがメロデスラヴァー達をしっとりと感涙の嵐に包んだかと思いきや、突如2:41からおかわりの激走。そして、ややゆったりパートをはさみ、最後ラストスパート3:35からも激走。


■From The Depths
前半でテーマを提示した後は、クリーンギターが息苦しい分厚い重音の層を切り裂くようにするっと滑り込んでくる。
ダートラやSoilworkでよく聞けるギターの中音部のリズミカルな刻み、さらにピープ音のようなエッジボイス、ブレイクダウンに重ねて鳴らされる不穏なオルゴール音など様々な効果音が実験的に使用されている。


■The Grand Delusion
雄々しいドラムと大地をうねるように刻むギターではじまるこの重厚メタルチューンのハイライトは、間違いなく1:22からおもむろにはじまる叙情ダダ漏れのギターソロ。
これは拳を握りしめざるをえない。
エンディングは零れ落ちるようなクリーントーンで切なさが尾を引くしっとり締め。


■Dead Flowers
極悪かつ耽美、そして躍動感に溢れるメロデスの醍醐味を追求したチューン。
曲全体の骨格としてはメロデスのそれだが、そこにモダンな刻みや極端にダウンチューニングした音を加えることにより、新たなメロデスの世界が構築されている。


■Deep Sleep
このアルバムの中で最もメタルコアの色が強く出ている曲。
扇情力のあるメロディはそこまで入っていないが、タイトなリズムと凶悪なブレイクダウンに身を委ねてほしい。

■Coexistence
タイトルトラックがまさかの語りベースのインタールードという新たな試み。


■New World
冷たさと温かさが共存する異国情緒あふれる音階が奏でられる荘厳なイントロから始まるわりには、アグレッシブパートは無駄を省いた刻みとタイトなビートが支配するシンプルなメタルコアが展開される。

総合満足度 88点

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