見出し画像

SONIC SYNDICATE『ONLY INHUMAN』(2007)

スウェーデンはFalkenbergにて2002年にRichardRogerSjunnesson兄弟により結成されたメロディックデスメタルバンド、SONIC SYNDICATE

RichardとRogerのいとこのRobinや紅一点のKarin姉さんを加え、2004年に『Eden Fire』でデビューすると、その年にスウェーデン国内をAvatarと回るなど精力的にプロモーションツアーを実施する。

ツアーをやりすぎたせいで、オリジナルドラマーであったKristofferが離脱したりというアクシデントはあったものの、バンドの演奏スキルやクリエイティビティは熟し、Nuclear Blastが実施したコンテストで見事優勝という偉業を成し遂げる。

優勝特典として、 Scar SymmetryJonas Kjellgrenにアルバムをプロデュースしてもらい作り上げたのが本作『ONLY INHUMAN』で、SONIC SYNDICATEが結成当初持っていた若々しいヘヴィネスとブルータリティとメロディのバランスが秀逸なアルバム。

Only Inhuman

実は、これ以降はどんどん売れセンPOP路線に走ってしまい(それも高クオリティなので好きだが)、メンバー間での亀裂ができてしまい、2018年を最後に活動を休止してしまう。

ただメンバーの大半はThe Unguidedという別バンドに所属し、同じテイストの高品質メロコアをやっているので、それはまたいつかレビューする予定。

ともあれ、才木溢れるスウェーデンの若者達の渾身のアルバムは20年経った今聴いても、当時と同じように興奮する。

——
* Richard Sjunnesson – harsh vocals
* Roland Johansson – vocals
* Roger Sjunnesson – guitars & electronics
* Robin Sjunnesson – guitars
* Karin Axelsson – bass guitar
* John Bengtsson – drums & percussion
——-

■Aftermath
グルーヴ感のあるイントロリフと、ガッツリと詰まったタイトなリズムが弾けだす爽やかメタルナンバー。
コーラスではRolandのいかにもロックスターな伸びやかな歌唱とRichard Sjunnessonのデスシャウトが掛け合うアドレナリン大噴出の展開。
初期Sonic Syndicateを代表する曲。


■Blue Eyed Fiend
ギターかき鳴らし系のリフに続いて、ソリッドに刻むバッキングが心地よい硬質なメタルチューン。
Soilworkみを遠くで感じながら、こちらの方がよりメタリックな響きを聞かせてくれる。


■Psychic Suicide
Soilwork、In Flames直系のリフと、メロコア並にエモいコーラスを兼ね備えた日本人は大好きな展開の曲。
こういうグルーヴは本当に大好きだっただけに、、また復活してくれないかなぁとこの曲を聴く度に思う。


■Double Agent 616
お決まりの展開ながらメロディが爽やかなエモ疾走チューン。
コーラスのRolandの声が本当にキャッチーで叙情性があって、それに負けない曲の強さを持っているバンドだなとしみじみ。さすがNuclear Blastの大会で優勝しただけの事はある。


■Enclave
しみじみと歌い上げる哀愁ハードバラード。
Rolandの声は中音域の逞しく響き渡らせる部分と、やや高音部のちょっと切なさが加わる部分の切り替わる瞬間が一番グッとくる。

■Denied
強靭なクリーンコーラス、ブルータルにシャウトするデス声、浮遊するグルーヴラインをかき鳴らすギター。
傑作アルバムを代表する逸曲。
ベースを弾くKarin姉さんもカッコいいので、是非PVも見て欲しい。

■Callous 
キーボードがリードリフを担うミドルテンポナンバー。
ザク刻み系のギターワークも思わず首が振れてしまうし、堂に入った壮大で広がりのあるメロディーラインも、似たような曲は他にもあるが、それを差し引いても秀逸。

 
■Only Inhuman           
跳ねるようなギターリフに思わず「あぁもういきなり大好きッ!」と言わざるを得ないメタリックな響き。
奥行きのある空間系のキーボードやメロディックに重ねられたコーラスパートはもうメロコアと北欧メロデスのいいとこ取り。
最高です。
あえて
あえて…欲を言わせて貰えば、ギターソロが一発でも入っていればもっと良かった!


■All About Us
まさかのt.A.T.u のデスボイスカバー。
個人的にはこの順番に入れなくてもよかったんでは…?と思う。
ボートラ扱いでよかったかなと。


■Unknown Entity
ギターリフが久々に立っている曲。
硬派でマッチョなバッキングサウンドにクリーンボイスとグロウルシャウトが交互に乗る。


■Flashback
In Flamesの「Cloud Connected」に似てるインスパイアを受けたであろう歪んだギターのリフが小気味良い。
ただ、アルバム最後を飾るにしてはやや地味か…

総合満足度 87点(最初の一音から音速でテンションがマックスまで上がるレベル)

いいなと思ったら応援しよう!