Afterglow『Inward』(2024)
2020年に突如メキシコから現れた新星メタルコアバンド。
声優のユニットの方ではなく、日本の若手メタルコアバンドでもなく、メキシコア(Mexi-core)の方です。
ギターのErikとVoのAlbanoがメキシコシティで出会い、ベースとドラムを加えてバンドを結成したのがちょうどコロナパンデミックの真っ只中。
彼らの最初のライブはStreamingだったという。
彼らの音楽的影響は、Architects, BMTH, ERRA, Northlane, Silent Planet, Karnivool, Sleep Token, Loathe, Thornhillといった新世代のバンドの数々とのこと。
極端にダウンチューニングされたグルーヴとキャッチーなコーラスをセンスよく組み合わせたモダンなサウンドが耳ざといメタルコアキッズに知れ渡り、大々的なツアーはまだ組まれていないにも関わらず、その知名度は日に日に上昇。
2020年にSpotifyに『Ephemeral』『Black Hole』といったシングルがリリースされると、瞬く間にニューコア、Djent界隈で話題となり、一気に数万単位のフォロワーが生まれる。
2021年には彼ら初のアルバム『Ephemeral』を発表、そして、今年2024年に彼らの最新のクリエイティビティと情熱が詰まった本作『Inward』をリリース。
ちなみに、Voのメガネロン毛のメタルフリークといえば、The Black Dahlia Murder のTrevor Strnadが思い浮かぶが、このバンドのVoのAlbanoも割と近いビジュアルをしていて、リスペクトをしているのか、たまたま寄ってしまったのかは気になる所。
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Erik - Guitar
Albano - Vocal
Mariano - Bass
Aruh - Drum
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■Solid
一発一発を叩きつけるようなそのタイトル通りのソリッドなビートをベースに、強靭で包容感のあるクリーンハイトーンを絡ませる。
■Break Away
アンビエントな雰囲気の中に静かな情熱を焚きつけるダウンビートなメロコア。
自然とシンガロングしてしまう開放感あるコーラスは不思議な癒しの効果もありそう。
■Nothing In Between
Djently な多弦ギターが独特のひっかかりのあるリフを紡ぎつつ淡々と進んでいく。
終盤には親の仇の様にたたき鳴らす単音ブレイクダウンが極悪さの極みを醸し出している。
■Noise
ダルダルにダウンチューニングしたギターが極太のバイブスを奏で、暗雲とした空気が支配するカオスサウンドを経て、親しみやすいクリーンコーラスが迎えにきてくれる。
■Inner Fire
透明感と悲哀を含んだピアノを覆い隠すようにジャリついた重低音が吹き荒れる筋肉質なチューン。
完全高音クリーンヴォイスに行く前のミドル音程の落ち着いたメロウな歌声が個人的にはツボ。
臭みを放つ叙情系までは行かなくとも、サビの盛り上がり感はきっちりと出す構成はさすが。
■Crash
安いスピーカーだったら音割れを起こすであろう低音ベースを下敷きにしながらキャッチーなシンセが漂う重々しい一曲。
ややヴォーカルとバッキングにディソナントを感じるが、これもモダンメタルコアの一姿なのでしょう。それともタイトルの「Crash」に掛けて、絶妙にハーモニーやメロディをあえて壊しにきているのか。
■The Lonely Star
電子音がピロピロキラキラと飛び散る中で、情緒的に波打つボーカルラインと、無慈悲に濁流を作り出すヘヴィ極まりないギターが邂逅する様が美しい。
全体的にEDM的な音像ながら、どこかメタルの匂いを感じてしまうのはメタリックなギターのアウトロのせいだけではあるまい。
■Holding On
I prevailやMiss May Iの影がチラつく、ゆれながらも芯の強いメタルコアチューン。
久々のデスシャウトも登場し、緊張感を与えています。
■The Secret In You
期待感溢れるイントロから、Linkin Parkに影響を受けたかのような休符を多用したフックのあるオシャンティなヴァースに流れ、そして感情が爆発する劇的コーラスに急激にアセンション。
からの、ブレイクダウン。
起伏が忙しいが、アルバムの中で一曲選べと言われたら間違いなくファーストチョイスに入る完成度の高い曲。
■Petrified
中低音で浮遊するメロディが美しい。
最近流行りのサビをサビと感じさせないやつね、とスカして言うのは簡単だが、こういう曲にこそ慎重な構成とセンスが必要だと思う。
そして、ちょっと奥まったコーラスにただならぬセンスを感じてしまう。
■Inward
アルバムタイトルトラック。
ストレートなメタルコアになっている。
クリーンウィスパー、シャウトを行き来しつつ、場面場面でグロウルが顔を覗かせる。
総合満足度 84点
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