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Paramour『RIOT!』(2007)

アメリカはテネシー州出身のパンクバンド。バンド名はフランス語で「愛のために」という意味を持つ「Par Amor」という言葉が元になっているとのこと。

類稀な歌声と才能を持ったHayley Williamsは13歳の時、テネシー州フランクリンの学校でJoshZacのFarro兄弟と知り合い意気投合し、U2などに影響を受け、バンド活動を始めた所から歴史の歯車は動きだす。
数回のローカルクラブでのライブ活動を経て、その演奏力の高さに地元では早くも注目されていたが、ある時彼らのライブを見ていたFallout boyPanic At the Discoを輩出したFueled by Ramenのプロデューサーが目をつけとんとん拍子にレコーディング契約、2005年にデビューアルバム『All We Know Is Falling』を発売する。
当時Hayleyは17歳、Zacは15歳という若さだった。
これがbillboardのHeatseekers Chartで60位まで上昇。
Hayley のビジュアルもあり、一気にお茶の間人気が沸騰する。

続く2007年6月12日には、本作2ndアルバム『Riot!』がBillboard 200で最高位15位まで上り詰めUK Rockアルバムチャートで最高位24位を記録。
2008年には第50回グラミー賞で最優秀新人賞に選抜された。

RIOT!

そんな彼らのエネルギッシュな若さがはじけるドライブチューンがてんこもりの本作は2作目にして、もはやチャート常連の人気パンクバンドの風格すら感じさせる。

なんといってもHayleyのパワフルかつ繊細な声が、否が応でもテンションを急上昇させる魔力をもっており、とても20歳やそこらの若手バンドに出せるような色気ではない。

しかし、ここまで人気になるにはあまりに若すぎたのか、バンドはこのあと印税やレーベルとの契約を巡って泥沼の法廷闘争や分裂の悲劇に見舞われるが、現在もツアーをこなすなど、精力的な活動は続いている。
だいぶこの頃と作風は異なっているが…

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* Hayley Williams – lead vocals
* Josh Farro – guitar、background vocals
* Jeremy Davis – bass、background vocals
* Zac Farro – drums、background vocals
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■For A Pessimist, I'm Pretty Optimistic
かき鳴らしギターでエネルギッシュに開幕するパンキッシュなチューン。
コーラスはエモくシンガロングできるフレーズを早速ブチ込んでおり、早々に血管を沸騰させにきている様子。
■That's What You Get
グルーヴィでチルいPop punk。
図太いベースラインが楽曲をリードし、軽快に刻むカッティングやコーラスでオブリガード的に入ってくるクリーンのリードギターが心地良いバランス。

■Hallelujah
パワフルに刻むギターにキレ良く言葉をのせていく快活なバラード。伸びのある声が両耳から全身を駆け巡り、脳をじんわり痺れさせるこの感覚は、Avril Lavigneがメジャーデビューしたときの感動に似ている。

■Misery Business
バンドを一気にメジャーに押し上げた痛烈爽快ドライブチューン。
間違いなく彼らを代表する曲だと思うのだが、色々あってライブではもう演奏したくない曲らしい。。

■When It Rains
しっとりミドルテンポなポップソング。
ゆったり聞かせる美麗なメロディは、ロックなキラーチューンの間にはさむ箸休めにしては美しすぎる。
なんとなくバイブス的に家入レオをちょっと想起した(家入レオの方が後だが

■Let The Flames Begin
ヴァースは滑らかにしんみりメロディを紡いだかと思いきや、コーラスで爆発する系のハードロック。
流れ的に短めのギターソロも入れてもよかったかも。

■Miracle
ギターが細かく刻みながら強力にグルーヴを弾き出すパンキッシュなチューン。
メロはやや弱いかもだが、コーラスの奥行きと爽やかさは高いレベルにある。

■Crushcrushcrush
タイトルからして強いメッセージ性を感じるボトムヘヴィなハードロックナンバー。
サビ前にHayleyが小声で呟く「Crush…crush..crush…」でご飯30杯は余裕。
ガツっと印象的なコーラスは1番、2番ときて最後もう一回行くかと思わせて別の展開に持っていくという構成の妙も、良い意味で期待を裏切られた。

■We Are Broken
しんみりバラード。
ピアノを伴走させながら歌い上げます。

■Fences
ウッドベースを思わせるうねるようなベースラインとタメの利いたJazzyな一曲。
この雰囲気が数年後の彼らの作風の伏線になるとは…

■Born For This
エッジの利いたリードギターがイントロを切り裂いたかと思いきや、鋭いカッティングを経て、爽快ドライブ感溢れるエモ的なコーラスに繋がる。
この曲に限らずだが、初期のParamoreの曲はストレートで分かりやすいサウンドにも関わらず、何度でも聴きたくなる不思議な魅力がある。


総合満足度 90点

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