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Hammerfall『Crimson Thunder』(2002)
スウェーデンのパワーメタルバンドHammerfall。
クサメロ大好き日本メタラーに愛されたミレニアム世代のバンドで、メタルのダサカッコ良さや、みなぎる野暮ったさみたいなモノをすべて詰め込んだ純粋なメタルバンド。
界隈ではピュアメタルとも呼ばれているとか。
1993年に当時In flamesのメンバーだったJesper Strömblad(ドラムで参加)やGlenn Ljungström、Dark Tranquility のMikael StanneやNiklas Sundin、そして当時Ceremonial Oathでプレイしていたガリガリ痩せ細りギタリストOscar Dronjakがそれぞれのバンドのサイドプロジェクトとして始めたのが最初。
今考えるとスウェディシュメタルのキーパーソンが全員在籍していたヨーテボリスタイルの中心地みたいなバンドでした。
Vo.がJoacim Cansにチェンジしたあたりから本格的バンドは始動し始め、1997年にオランダのレーベルVic Recordsから『Glory to the Brave』でアルバムデビュー。
各方面で高評価を得ると、ヨーロッパツアー、ワールドツアーがいきなり決まり鮮烈なデビューを果たす。
1998年にJesperやGlenn LjungströmがIn Flamesに専念するため脱退し、大幅な戦力ダウンが危ぶまれたが1999年にリリースされた『Legacy Of Kings』はスウェーデンのチャートランクイン、続く『Renegade』は念願のスウェーデンチャート1位を獲得。
一気にワールドワイドバンドとしての地位を築く事になる。
本作『Crimson Thunder』はそんな絶好調の中、メロスピ名プロデューサーCharlie Bauerfeindによって2002年に発表された彼らのエポックメイキング的な一枚。
ジャケのダサさも一級品。
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2023年には20周年版として、プリプロ時点の音源が入っている特装版もリリースされている。
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* Joacim Cans – lead vocals
* Oscar Dronjak – guitars, backing vocals
* Stefan Elmgren – guitars, acoustic guitar, backing vocals
* Magnus Rosén – bass
* Anders Johansson – drums
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■Riders of the Storm
いかにもメタリックなミュートの効いた刻みリフで雄々しく始まる、彼らが“ピュアメタル”と呼ばれる所以がよくわかるメタルチューン。
メタルの教科書があったら最初の方のページに載っていそうな典型的な一曲。
■Hearts on Fire
カーリング女子スウェーデン代表応援歌。
MVには本人達も出演して和気藹々としている。
曲全般を通じてキャッチーなメロディと骨太グルーヴが唸る高濃度メタルを楽しめる。
ツインギターのユニゾンもちゃんと登場し、彩りを加えることを忘れない。
■On the Edge of Honour
アップテンポで疾走する鋼鉄曲。
Gamma RayやEdguy、Primal Fearなどのジャーマンメタルバンドにも通じる、叙情みと音の硬さ、そして「ひとつまみのダサさ」の非常に良いバランスにたぎる気持ちを抑えきれない。
■Crimson Thunder
アルバムタイトルトラック。
ヨアキムが伸びやかな声でヴァースを歌い上げて盛り上げ、繋がるコーラスではまさかの音程を落として漢クワイヤを奏でる展開。
最初聞いた時は正直途中で飛ばしそうになったが、ギターソロ後の3:25からの静かなヨアキムのウィスパーボイスの展開の良さに気づけばこの曲の本当の魅力が分かるはず。
■Lore of the Arcane(Instrumental)
中世ヨーロッパの戦争前の脈動を感じるようなインスト曲。
■Trailblazers
テクニカルでダークなリフで厳かに始まったかと思いきや、キャッチーなコーラスに収まり、スッと聴けてしまう。
Oscarのバッキングギターではお決まりのギャロッピングも飛び出し一安心。
ギターソロは、、なんか惜しい感じ。
曲の世界感に合わせてもう少し練って欲しかった気もする。
■Dreams Come True
アコギしっとりバラード。
Oscarのメロディメイカーとしてのスキルが感じられる。
■Angel of Mercy(Chastain cover)
アメリカのギタリストDavid Taylor Chastainの同曲のカバー。
なぜこの曲なのかは未だ分からず。
■The Unforgiving Blade
しつこいまでに刻みまくるバッキングギターはジャーマンメタルの始祖UDOやScorpionsまでその影響を遡って感じる。
■In Memoriam(Instrumental)
OscarとStefanの泣きのギターがお腹いっぱい楽しめるインスト曲。
■Hero's Return
跳ねるようなリズムに、底辺で確かに鼓動しているバスドラのグルーヴの絡みがまず気持ちいい。
ピロピロギターあり、オーオー系のクワイヤあり、キャッチーなメロディありの全部乗せで盛り上げるアルバムラスト曲。
総合満足度 87点