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STONE SOUR『Hydrograd』(2018)

アメリカ アイオワ出身のハードロックバンド。
ご存知Slipknotの不動のフロントマンCorey TaylorがSlipknot加入前に地元の友人 Joel EkmanShawn Economakiと1993年ごろには結成していたが、正式にバンドとしてデモ以外の音源がリリースされるのは2002年の『Stone Sour』が最初となる。

このアルバムに収録された「Get Inside」「bother」「Inhale」が軒並みチャートイン、アルバム自体もbillboard46に上り詰める最高のデビューで、この時のCoreyはSlipknotの活動と並行してさぞ忙しかった事でしょう。

今はバンドの成功とは裏腹に結成当初からの盟友Joel EkmanとShawn Economaki、そしてSlipknotでも活躍するJim Rootがバンドを脱退し、結成当初のメンツからはだいぶ異なってしまっている。
がしかし彼らがメタルシーンだけでなくアメリカの音楽業界に与えた影響は果てしないものがある。

本作は2018年に発表された『Hydrograd』。
メンバーは変わってもCoreyがいる限り、そのストレートで最短距離で脳に響いてくるキャッチーなメロディとメッセージは変わらない。
初期の頃のヒット曲が満載されたアルバムとはまた違うが、間違いなく名盤です。

Hydrograd



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* Corey Taylor – lead vocals, guitars, backing vocals
* Josh Rand – guitars, backing vocals
* Christian Martucci – guitars, backing vocals
* Johny Chow – bass, backing vocals
* Roy Mayorga – drums, backing vocals
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■YSIF
開幕から鋼鉄グルーヴが唸りを上げる。
掴み所のないメロディながら、前のめりのリフに煽られて曲全体の突進力は凄まじい。
途中ギャングコーラスもガツンと導入されており、一変の隙もない音作りに打ちのめされる。


■Taipei Person/Allah Tea
STONE SOURが作り出す容赦ないストロングスタイルな世界観とCorey Taylor の紡ぐ唯一無二の扇情力溢れるメロディが高度にマッチしたアメリカンハードコア。


■Knievel Has Landed
乾いたスネアとシンプルなバッキングとコード進行にアメリカスタンダードハードロックの魂を感じて、熱いものが湧き上がるのを禁じ得ない。
バックコーラスが効果的に曲に厚みを与え、ちゃんとライブでの映えポイントも抜かりない。


■Hydrograd
アルバムタイトルトラック。
骨太なグルーヴの上でフェイザーが掛かったギターが揺れるミドルテンポチューン。

■Song #3
Coreyのソウルフルな熱唱がハードに響き渡る典型的なアメリカンロック。
アメリカンロックシンガーの中で最高の歌唱スキルを持ち、かつそれを20年以上維持し続ける、いや進化し続けるロックモンスター、Corey Taylorの奥深いボイスを堪能できる一曲。
MVではCoreyの娘がカメオ出演している。


■Fabuless
Slipknotみが少し出てしまったCoreyの感情的なデススクリームとエッジボイス、そしてコーラスで聴けるクリーンボーカルが一挙に乱舞する、激しくも綺麗に整ったハードなチューン。


■The Witness Trees
感情が目いっぱい乗ったミドル〜スローテンポのハードバラード。
アウトロのうねるようなギターソロが、たまにディソナントを交えて存在感を押し付けてくる。
一時期メタル界で流行った、「気持ちいいメロディラインに、敢えて外れた音を入れる」ブームに乗ったのか。

■Rose Red Violent Blue (This Song Is Dumb & So Am I)
爽やかなメロディとタイトル、と思いきや()内でたっぷりと自虐と皮肉を効かせてくるバンドのユーモアが詰まった曲。

■Thanks God It's Over
90年代のLAメタルを思わせるキャッチーなメロディとギャングコーラス、テクニカルに弾けるギターソロ。
彼らのルーツに迫るようなスタンダードロック。

■St. Marie
カントリー調の多幸感溢れるしっとりバラード。
「Through the Glass」とはまた違った心への浸透力がある。


■Mercy
短いながらストレートな轟音を響かせる潔いチューン。

■Whiplash Pants
ベースとかき鳴らしギターが絡み合い大蛇のようなうねりをともなうボトムサウンドを生み出し、凄まじい躍動感が脳髄を揺るがす。
Coreyデスシャウト多め。


■Friday Knights
Friday nightとかけたタイトル。
揺れながらどこに行くかわからないヴァースが続いたかと思いきやら突然ヘヴィにファーストに煽り散らかすドラミングとギター、クリーンコーラスでエモくまとめるStone sourらしいサウンド。

■Somebody Stole My Eyes
ファーストグルーヴに乗ってシャウト散らかすCoreyのエネルギッシュな歌唱に元気づけられる疾走チューン。
2:27から縦横無尽に炸裂するシャウト&ラップは間違いなくこの曲のハイライトだと思う。

■When The Fever Broke
長いバラード。
バラードの本来の目的である人を感傷的にさせるには十分な美メロではあるが、ちょっとダレてしまうのが惜しい所。

総合満足度 87点

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