Emil Bulls 『Love Will Fix It』(2023)
1995年にドイツ ミュンヘンでChristoph von Freydorf(Vo)とStefan "Fini" Finauer (Dr)を中心に当時通っていた教会の友達同士で結成されたハードロックバンド。
初期はメロコアやパンク寄りだったが、アルバムを追うごとにニューメタルやミクスチャー的な作風になってきており、線が細かったVoのChristophの歌声もだんだんとムキムキになってきており、漢メタル感が出て来ている。
個人的にEmil Bulls史上No.1アルバムだと思う『Kill Your Demons』をレビューしようと思ったのだが、最新アルバム『Love Will Fix It』が出ていたので先にそちらを紹介。
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Christoph von Freydorf : Vocals
Stephan "Moik" Karl : Guitars
Andreas Bock : Guitars
James "Citnoh" Richardson : Bass
Klaus "Kanone" Kössinger : Drums
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■Backstabbers
ヘヴィなリフに爽やかな歌メロが乗るミドルテンポのハードロック。
Christophの雄叫び系のデスボイスはヴァースの一部だけでしか使わず、コーラスは芯のあるクリーンボイスを多用する歌い方は、ここ最近の作風を踏襲か。
■The Devil Made Me Do It
王道のメロハー曲。
サウンドも厚みがあるし、歌も上手いし安定感があるのだが、高揚感やスリリングな展開をもう少し入れて欲しいところ。
■Happy Birthday You Are Dead To Me
すごいタイトルだな笑
終始不協和音ノイズが繰り返し鳴り響き渡り、不安な気持ちになるが、コーラスは安定の漢っぽいゴツくて美しいメロディが放たれる。
■Levitate
ここで来ました、臭メロメタルチューン。臭すぎて、爽やかすぎて、もう最高です。
これがEmil Bullsらしい曲とは思わないが、たまにはこういう爽やか成分も摂らないと体に悪いので、ありがたく拝聴させていただきます。
■Whirlwind Of Doom
ディストーションが聴いたアルペジオで始まる。
コーラスの「Doom doom doom...」が全然doomな雰囲気じゃなくて笑
明るいテーマを不穏に、暗いテーマを明るく歌うのが彼らのスパイスの効かせ方なのかもしれない。
■The Ghosts That You Have Called
スローに淡々とメロディを紡いでいくハードロック。
サウンドをモダンにしたDef Lepard、あるいはドイツの先輩バンドFear Warningのようなメロディの安定感がある。
■Love Will Fix It
アルバムタイトル曲。
ポップな良いメロディ。
Hanoi Rocksとかがやりそうな古き良き王道ハードロックです。
■Sick
ミドル〜スローで進むポップなロック。
Voは完全にデス声を封印し、クリーンに歌いあげている。
Sick! Sick!が耳に残るが、イマイチぶち上がりポイントがない…
■She Ain't Coming Home No More
同じような曲調のものがたくさんあるせいか、これはあまり印象には残らないなぁ…
ミドルテンポでヴァースを刻んでいき、コーラスではスローダウンしChristophが綺麗なシンガロングを響かせるといういつもの彼らの典型スタイルの曲。
■Dreams And Debris
コンパクトにまとめたスローなハードロック。
コーラスはどこか悲哀に満ちていて、美しいです。
■Oceans Of Grief
良い曲なんだけど、盛り上がりそうで盛り上がらないというか、昂揚感に欠ける曲。
Euphoriaのような大げさなスタジアムロックやTell it to my heartのようなキラーチューン作れるんだからもうちょい頑張って欲しかった。。
■Together
これは良いメタル。
爽やか哀愁系のエンディングを飾る曲は本当にDef Lepardかと思った。美しい。
こんな古き良き80年代風のエモい曲作れるほどメロディメイキング能力はかなり高いんだからもっと意欲的に冒険してもいいのにと思ってしまう。
最後でちゃんと後味を整えてくれたのはさすが。
総合満足度 75点(愛に色々修復してほしいレベル)