Rammstein『Untitled』(2019)
ドイツ出身の軍隊メタル、いや、Tanzen Metalの王者RAMMSTEINが2019年に発表したアルバム。
原作にはタイトルがついていないためそのままUntitledとする。
Rammsteinというバンド名は、ドイツ中西部の都市(Ramstein-Miesenbach)由来とrammen (激突する) とStein (石)を足したメタルな造語のダブルミーニングを持っており、メンバーは全員旧東ドイツ出身で、全員離婚歴があったり、TillとFlakeにはアメリカでの逮捕歴があったり、平均身長は190cmを超えているなど、ネタ、インパクトは抜群のバンドである。
今作は彼らのアイデンティティである軍隊行進リズムをベースに、体の芯まで響く重厚感あるサウンドがより強固になっており、圧たっぷりにドイツ語で捲し立てるTillの野太い声と、怪しい響きのハーモニーがより良く絡んでいる。
デスメタルの狂気とはまた違った種類の「豪快で奥深い不気味さ」が遺憾無く発揮された一枚。
聞き終わった後は疲労感しか残らないが、しばらくするとまた聞きたくなる不思議。
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CHRISTOPH SCHNEIDER-Ds
FLAKE LORENZ-Key
OLIVER RIEDEL-B
PAUL LANDERS-G
RICHARD Z. KRUSPE-G
TILL LINDEMANN-Vo
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■Deutschland
インダストリアルな電子音に導かれ、重厚で歪みに歪んだバンドサウンドが一挙に飛び出してくるオープニングチューン。ハイフレットで駆け回るRichardのギターリフがクール。
ドイツの歴史に対する皮肉と自虐と挑発的な表現に溢れており、彼ららしさが存分に現れている曲。
Überheblich, überlegen
Übernehmen, übergeben
Überraschen, überfallen
Deutschland, Deutschland über allen
うぬぼれ、尊大で
受け継いで、委譲し
驚かせ、不意に襲い
ドイツランド ドイツランド すべてを凌駕する
■Radio
Kraftwerkを思わせるテクノサウンドにズシリと重い刻み型ギターリフが乗る軍隊型ダンスメタル。
旧東ドイツ時代の政情を皮肉りまくったMVも、まごう事なきRammstein印で安心。
■Zeig Dich
聖歌隊のクワイヤにディストーションたっぷりのRichardとPaulのギターが襲いかかり、Christoph強烈なドラムが合流。
ゴツすぎるアレンジに思わず瞳孔が開いてしまう。Tillがオペラティックに歌い上げるコーラスは相変わらずの迫力で聴き応え十分。
■Ausländer
ミドルテンポのインダストリアルメタル。
Flakeの発するテクノっぽい電子音が常時顔を出し続け、Tillが歌ってなかったらKraftwerkかと思うくらい。
まぁでもテクノにしては、音圧が重すぎるが。
■Sex
Tillがねちっこく歌い回す彼らの変態性が全面に出ちゃってる曲。
跳ねるようなリズムとタイトなドラミングがクールだが、そんなことよりタイトルがド直球火の玉ストレートすぎてそんな事どうでも良くなる。
■Puppe
Puppe=人形から連想される絶望感、悲壮感、恐怖、諦観、孤独を詰め込んだ歌詞。
終始不穏なアルペジオが響き渡る。
嘆くような、狂気に似たスクリームが良い雰囲気を出してます。
■Was Ich Liebe
スローテンポで這うような低音ボイスが怪しくうごめくチューン。
ギターのドスジャリ感も際立ち、ゆっくり頭は振れる。
■Diamant
アコギ一本でTillが優しく歌いあげるバラード。ドラムやディストーションがかかったギター、電子音は一切出てこない。
こういうゆっくり静かな曲の方が、Tillの声の厚みがより増す気がする。
■Weit Weg
スローテンポの王道ハードバラード。
奇をてらうこともなく、淡々とコード感を出しながら進み続ける。
■Tattoo
軍隊感を感じさせるドラムとズシリと重いギター。
初期のRammsteinの雰囲気が出ていて、カルト的なヘドバンを誘発するチューンに仕上がっている。
■Hallomann
終始不穏なハーモニーとメロディがゆったりとねっとりと這うような曲。
突如として美しいメロディをが差し込まれるので、余計に不穏さが際立つ構造になっており、Rammsteinの狂気性がまろやかに練り込まれた曲。
総合満足度 88点(ドイツランドの歴史を頭を振りながら感じるレベル)
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