Remnants of fallen『ALL THE WOUNDED AND BROKEN』(2021)
韓国発のデスメタルバンド。
80年代、日本でLOUDNESSやANTHEMがデビューし、隆盛を極めていた時代、韓国からはシナウィや白頭山が現れ、また90年代に入るとCrashといったバンドが出現して、メタル大国として一時代を築いていた。
しかし現在はK-POPやHipHopが全盛の時代、そこまでエクストリームミュージックシーンが盛んなわけではないらしく、ちょっと寂しい気持ちもする、ただ、それはメタルバンドRitualityや、このRemnants of fallenのバンドの完成度とは無関係。
世界レベルの最新のメロデスサウンドを鳴らし、来日公演やワールドツアーも重ねているとのことで、これからコリアンメタルシーンを引っ張って大きくしてほしいと願うばかり。
2009年にギターのChanやベースのJin、VoのBinを中心にソウルで結成、EP『This World Fades』でデビューした彼らは、その後数枚のEPをリリースし、確実にバンドとしてのレベルを上げ、2016年にデビューフルレンクス『Shadow Walk』をドロップすると、これがシーンに直撃大ヒット、2017年度「韓国大衆音楽賞」最優秀メタル/ハードコアを受賞するにいたる。
2019年には初来日も果たし、最高に脂ののった状態で作成された本作『ALL THE WOUNDED AND BROKEN』はデビュー作を上回るサウンドクリエイションとアグレッシブネスをまとい、コリアンデスメタル界に確実に大きな足跡を残すであろう一枚。
冴え渡る叙情メロディ、卓越したリズムワークと攻撃性、そしてBinのデスシャウトとクリーンだけかと思いきや、時折出てくるチェスターベニントンばりの慟哭エッジボイスがたまらん。
是非メロデスとLinkin好きな人にぜひ聞いてほしい隠れた名盤。
Jong-Yeon Drums
Chan Guitars
Jin Bass
Bin Vocals
■Frozen Ember
物悲しげなクリーンギターがおもむろに奏でられると、突如飛び出すブラストの嵐、そして静かに語りに似た低音ウィスパーボイスで言葉を紡ぎ、グロウルへとなだれ込み、不気味にじっとりと開幕する。
■Hel
攻撃性の高いブラストと高速に変化を刻むギター、
スラッシーなヴァースから一転、コーラスではシンガロング可能な叙情フレーズを容赦無く流し込んでコリアンメタラー達を悶絶の底に叩き落とす。
初期のTriviumやBleed from within、Darkest Hourっぽさも垣間見えるトレモロギターも冴え渡る。
■Face(s)
突如始まる望郷叙情イントロはイエーテボリスタイルをリスペクトしているのか、バッキングのクリーンギターもひときわ美しい音色で包み込んでくる。
こころなしかヴォーカルは慟哭加減が増し、In Flamesやダートラを想起せざるをえない。
■Hate and Carrion
爽やかすぎるメタルコア。
鮮やかなリードギターをブラストが支える疾走サウンドで幕を開けたかと思いきや、コーラスはChester Bennington並みの慟哭エッジボイスが情景たっぷりにシャウトし、音程の幅の広いギターソロが所狭しと躍動、ドラムの音が「軽やか」を若干超えて「軽すぎる」ような気もするが、それを補って余りあるほどの粒立ったギターの音色とフレーズの構成の素晴らしさ。
これは一級品のメタルコアですわ。
■Earth Eaters
Chanの号泣ギターからはじまるクサメロデスメタル。
鮮やかにピロピロしていて、それに連なるメロディは極度に情緒的だし、もう涙しか出ません。
フレーズやコード進行がCold RainやCristal Lakeあたりの日本のメロコアバンドに寄せてる感じはある。
■Writer Unknown
抒情的なエピックメタル風のイントロをブラストとトレモロで砕きつつ荘厳に展開していくプログレメロデス。
ギターソロに至ってはもはや安心できる緊張感というアンビバレントな言葉も当てはまっちゃうほど安定感が素晴らしい。
良曲揃いのアルバムの中でもキラリと光る一曲。
■Deathlike Silence
スタスタドコドコ荒れ狂うリズムの上で舞い踊る様々な音の祭典。
マスコア寄りのデスコア。
途中から涼やかで透明感のあるギターが秋の薫香のようにササーッと駆け抜けてきて、もはや昇天不可避。
■Disordered
熱帯の空気のような熱気と湿気と帯びたヴァースから哀愁たっぷりのクリーンコーラスへの繋がりももはや堂に入っている。
1:59から暴虐ブレイクダウン入るのかと思わせて、耳に優しいふわっとしたクリーン、からの、ブリッジミュートとディストーションをがっしりかけた単音リフに乗せて咆哮、の流れでもうテクニカルノックアウトです。
■Generation Sin
殺傷性の高いメロデス。
CarcassやThe Agonist界隈のクリーンリード+小刻みに切るトレモロバッキングで魅せるギターワークが光る。
ギターソロが相変わらずスリリングでセンスがグンバツ。
最後の高音断末魔デスシャウトも実に断末魔っぽくて良い。(進次郎構文)
■Future Without
ゆったりと流れるギターの音色にまたチェスターが出てくる。
バックのサウンドが違ったら本当にLinkin parkかと勘違いしちゃうくらい慟哭シャウトすぎて自然と涙が溢れる。
特に1:24からは「あぁ・・チェスターおかえり・・・(別人)」と思ってしまった。
総合満足度 89点
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?