「もっと炎を、もっとメタルを」-フランチェスコ・ブッチ(SCREAMACHINE)インタビュー
-SCREAMACHINE結成の構想はいつ頃からあったのですか?
フランチェスコ・ブッチ: 2017年の11月にアイデアが浮かびSCREAMACHINEは生まれたんだ。ある時にJUDAS PRIEST、ACCEPT、EXCITER、SAXON、WARLORDといったガキの頃に影響を受けたヘヴィ・メタルと繋がりたいという衝動に駆られて、その衝動がSCREAMACHINEになったのさ。計画されたものと言うより天啓に応えたものだったけど、思った以上に素早く、そして上手くいったよ。
-各メンバーそれぞれの加入の経緯について教えてください。
フランチェスコ: 俺たちは皆ローマのシーンで活動していて以前から知り合いだったんだけど、SCREAMACHINEは俺がリスペクトしていて、でもまだプレイしたことのないミュージシャンと一緒に活動する絶好の機会だったんだ。
最初に電話をしたのは親友でもあるシンガーのヴァレリオ“ザ・ブレイヴ”カリッキオだった。ヴァレリオはいつでもローマでとてもアクティヴに動いている。俺に言わせればSCREAMACHINEと共に一刻も早く世界に見つかるべきフロントマンの1人だよ。ヴァレリオの荒々しい歌声は俺たちのサウンドのトレードマークだ。俺はマイケル・キスクやティモ・コティペルトのような素晴らしいパワー・メタル・シンガーを探していたわけではないからね。キスクやコティペルトは凄いシンガーだけど、俺が考えたものにはクリーン過ぎたんだ。俺はウド・ダークシュナイダーやポール・ディアノ、ボン・スコットがかつて教えてくれたような、ヘヴィ・メタルの埃っぽさや危なさ、脅威を取り戻そうとしていて、ヴァレリオはそれに相応しい声の持ち主だったのさ。
次に加入したのが2人のギタリスト、アレックス・ミーレとパオロ・カンピテッリだった。2人はKALEDON(イタリアのパワー・メタル・バンド)のメンバーでリスペクトされていた。
最後に加入したのがAIRLINES OF TERRORやLUNARSEAといった、よりヘヴィなバンドに在籍していたドラマーのアルフォンソ“FO”コラスだ。彼はギターも上手くて“Wisdom Of The Ages”ではソロを弾いているよ。
-SCREAMACHINEはJUDAS PRIESTやACCEPT、初期METALLICAといったクラシック・ヘヴィ・メタル・バンドに影響をされているそうですが、あなたが考える完璧なヘヴィ・メタル・アルバムを3枚挙げるとしたらどのアルバムですか?
フランチェスコ: 日々変化するから難しいけど、JUDAS PRIEST『PRIEST...LIVE!』、MANOWAR『INTO GLORY RIDE』、そしてWARLORD『DELIVER US』かな。
-あなたにとってクラシック・ヘヴィ・メタルの魅力は何だと思いますか?
フランチェスコ: 俺にはヘヴィ・メタルの血が流れているんだよ。「メタルに興味がないなら俺の友達じゃない」というような話ではないよ。自分のホームを見つけるようなものだ。俺はメタルもそうじゃないものも含めたくさん音楽を聴いているよ。でもSAXONやACCEPT、IRON MAIDEN、JUDAS PRIESTの昔のレコードをかけると、俺はすぐに自分のルーツに触れた気持ちになって、それはこの種の音楽だけが与えてくれるものなんだ。確かに最もクールな音楽ではないかもしれないが、ある種の原型であり、決して無くならないものだと思う。この混乱した世界のどこかで、フル・ヴォリュームで鳴り響くヘヴィ・メタルがまだ必要なんだよ。
-結成した頃にJUDAS PRIESTの“Lether Lebel”のスタジオ・ライヴ映像を公開していましたね。
フランチェスコ: あの動画は人々へバンドを紹介するためのものだったんだ。最初のミュージック・ビデオ“Demondome”は2021年の元旦に公開が予定されていたんだけど、俺たちはどうにかしてSCREAMACHINEを世界にお披露目したかった。違う年であればライヴをするのが正しい選択だったのかもしれないけれど、2020年の末になってもパンデミックは猛威を振るっていた。そこで俺たちはローマにあるとても有名なTrafalgar Studioを数時間借りて“Lether Lebel”のレコーディングと撮影をしたんだ。俺は昔からこの曲が大好きでね、なぜこんなにも過小評価されているのかわからないよ。それにSCREAMACHINEに完璧にフィットしているとも思ったし、メンバーも同意してくれたから、この選択は簡単なものだったんだ。
-デビュー・アルバムがリリースされて約2週間が過ぎましたが(インタビューは4月中旬に実施)、イタリアやヨーロッパでの評判は如何ですか?
フランチェスコ: まだ全体的なフィードバックを判断するには時期尚早かな。でも今のところ反応がとてつもなく凄いのは間違いない。マジな話、これは純粋な情熱の作品であり、俺たちが聴きたかったアルバムであり、この音楽への俺たちの愛を考えながら作り上げたものだ。
新しいバンドの多くが自分たちの音楽を表現するのに5つ以上の形容詞を使うような時代だからね、2021年にシンプルで正直なヘヴィ・メタル・アルバムを人々がどう受け止めてくれるのか確信が持てなかったんだよ。でもそれは俺の思い過ごしだった。ほとんどのレビューはとても良いものだったし、そしてこれは重要なことなんだけど、多くの人々が俺たちのSNSページを訪れて、リフと叫び声のようなサビと高揚するギター・ソロで構成されたシンプルでありながらも不滅の公式を取り戻したことについて、彼らの愛情を示してくれる。直球勝負のヘヴィ・メタル・アルバムを聴きたいと思っていたのは俺たちだけじゃなかったんだ!
-バンド名やアートワーク、曲名から、JUDAS PRIESTが表現するような獣と機械を合体させた表現に似たものを感じましたが、そういうのを念頭にありましたか?
フランチェスコ: その印象の多くはアルバム・ジャケットとそのデザイナーによるものだと思うね。グスタヴォ・サゼズというブラジルのデジタル・アーティストで、彼のアートを知ったのは友達のバンドLAHMIA(イタリアのデス・メタル・バンド)のジャケットを手がけたからなんだ。
最初は彼にSCREAMACHINEのコンセプトを理解して貰うのに苦労したんだ。ヘヴィ・メタルのクリーシェ、特に炎やモンスター、メタルっぽいもの等をパロディやグロテスクな感じにしないようにしていたんだけど、彼はどちらかと言えばもっとアーティスティックでシュールなスタイルだったからね。幾つかの作品を見て感想を伝えた後、彼はメタル方面へ加速することを選び、それであの最高なジャケットが生まれたんだ。俺たちが何度か「もっと炎を、もっとメタルを」と続けて叫ぶことで、俺たちが求めているものを完璧に理解して貰えたんだ。
実はアートワークが届いて俺たちが大満足した後に、友人たちが「このジャケットは『JAGULATOR』(JUDAS PRIESTの1997年のアルバム)を思い出させるかもしれない」と気づかせてくれたんだ。でも俺にとっては良いことなんだよ。JUDAS PRIESTはメタル・ゴッドだし、俺たちの主な影響源のひとつだからね。それに俺たちのメタル・モンスターはもっと悪くて強く、炎に包まれていて、ジャギュレイターとの戦いに勝てると言えるからね(笑)
-楽曲は伝統的なヘヴィ・メタル・スタイルに、モダンなフィーリングを加えているということですが、あなたの考えるSCREAMACHINEのサウンドでユニークな点はどこにあると思いますか?
フランチェスコ: SCREAMACHINEはヘヴィ・メタルの神々への愛から生まれたものだけど、自分たちのルーツに忠実にありながらも同時にモダンなテクノロジーを活用して、俺たちのサウンドを新しいミレニアムに届けたいんだ。何が言いたいかと言うと、例えば1982年当時のニュー・ウェイヴ・オヴ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルのLPのようなサウンドを目指すのではなく、ラウドなギターと雷鳴のようなドラムをモダンなプロダクションでレコーディングしたんだ。その頃の名作はたくさんあるからね。
音楽について言えば、当然自分たちのスタイルや影響源はあるけれど、そこに聖域はないんだ。俺たちがSCREAMACHINEのコンセプトに忠実である限り、どんな新しい影響も歓迎するよ。俺にとって大切なことはSCREAMACHINEはヴィンテージ品のようなものやパクりみたいな曲で過去をあざ笑うトリビュート・バンドのようなサウンドではない、意志を持つバンドであるべきだということだよ。
-アルバム前半はあなたが作曲した曲が多く、後半はアレックスが作曲した曲が多いですね。これは意図的な曲順ですか?
フランチェスコ: そうではないよ。最初から最後まで完璧な音楽体験になるように、メンバー全員で曲順について話し合ったんだ。
最近ではほとんどの人が膨大なSpotifyのプレイリストに紛れたシングル曲にしか興味を示さないから時代遅れに聞こえるかもしれないけれど、これが俺たちが育ったフルレンス・アルバムの聴き方で、俺たちのデビュー・アルバムの聴き方なんだ。俺の曲がA面でアレックスの曲がB面なのは意図的なものではなく、曲自体がその位置を選んだんだよ。曲が完成すれば、それらはメンバー個人のものではなくSCREAMACHINEのものなんだからね。
-あなたが作曲した曲についてお聞きします。あなたが作曲した曲はどれもタイプの違う楽曲ですね。特に考慮した点はありましたか?
フランチェスコ: SCREAMACHINEでの俺の曲作りは全体的にはスポンタニアスなものだよ。頭の片隅にあるリフレイン、頭の中で鳴っているリズム、1人でジャムっている時の良いギター・リフから自然に生まれることもある。このアルバムのために書いた曲は、ある意味で古典的でハード&ヘヴィなサウンドのほとんどの側面をカヴァーしていると思うんだ。
“Demondome”は俺がバンドのために初めて書いたJUDAS PRIESTを意識した曲で、“Darksteel”はもっと暗くエピックで、DIOやCANDLEMASS、ACCEPTをブレンドしたものを考えながら書いていた。“The Human God”はチャレンジした曲で、三連符で作られた重戦車が容赦無く君たちの上を進む。一方で“Mistress Of Disaster”はDOKKENやW.A.S.P.、STRYPERといった80年代サウンドのスリージーな面への俺の愛を表現している。
-あなたのお気に入りの曲とその理由を挙げてください。
フランチェスコ: 最終的には“Mistress Of Disaster”と言うだろうね。原型は2005年以前からあって、とても感傷的な価値を持つ曲だからね。昔このリフレインが頭から離れなくて最初のデモをレコーディングしたんだけど、STORMLORD(フランチェスコが在籍するエクストリーム・メタル・バンド)のエクストリームなサウンドには合わなくて忘れていたんだ。2018年の夏にはSCREAMACHINEのアルバム用の曲作りがほぼ終わっていたから、夏休みを取ることにして9月から作業を再開しようと決めたんだ。その間に妻が妊娠をして、俺たちはクロアチアで素敵な車での旅行をしてドライヴを楽しみ、将来のことを喜んでいたんだ。そんな楽しい時間を過ごしたことで“Mistress Of Disaster”のことを思い出したんだよ。ローマに戻って最初にしたことは新しいギターを買って、アルバムに収録するためにこの曲の新しいヴァージョンをレコーディングすることだった。やれて良かったよ。
他の曲ではアレックスが書いた“Wisdom Of The Ages”も大好きだね。ダークでエレガントで。でも俺にとって重要なのは、俺の個人的な伝説的人物であるスティーヴ・ディジョルジオ(TESTAMENT、SADUS、DEATH等)とベース・パートをシェアしたことなんだ。
-作詞はすべてヴァレリオ・カリッキオが行なっていますが、あなたや他のメンバーから歌詞についてアイデアやリクエストを出した部分はありますか?
フランチェスコ: ヴァレリオは俺の全信頼を得ていた。彼は素晴らしい作詞家であり、弦の上で踊るヘヴィ・メタルのクリーシュで歌詞を書き、パロディのような恥ずかしいものではなく、常にリスナーに独特な感覚を伝えるための適切な言葉を探そうとすることが分かっているからね。彼の仕事は最高で、その歌詞は想像以上に深いものだよ。勿論“Mistress Of Disaster”のように曲にぴったりなファニーなものもあるけど、“52hz”や“Wisdom Of The Ages”のように心に響くものもある。
-スティーヴ・ディジョルジオ、ハービー・ランハンス(FIREWIND、SONIC HAVEN他)シモーネ・ムラローニ(DGM)、マッシミリアーノ・パリウソ(NOVEMBRE)、フランチェスコ・マッティ(NOVERIA)、アンドレア・アンジェリーニ(STORMLORD)といった多くのゲストがアルバムで客演をしていますが、多数のゲストを迎えるのもアルバム制作の構想の中にあったのですか?
フランチェスコ: ゲスト・ミュージシャンについてもスポンタニアスな流れのひとつだね。バンドに関わる人たちが素晴らしい人物で、皆がこのプロジェクトに夢中になっていると分かってから、俺はアルバムにさらなる魔法をかけられないかと考え始めたんだ。ロニー・ジェイムズ・ディオの“Stars”を覚えているかい? あれがインスピレーションの源だよ。俺はメタル・シーンにいるイタリアの偉大なギター・ヒーローにソロを弾いて貰いたいと思っていたんだ。幸運なことに長年の付き合いの中で、彼らのほとんどが俺たちの友人で、彼らを招くことは難しいことではなかった。皆親切で協力的だったしね。
彼ら才能のある連中に加えてスティーヴ・ディジョルジオとハービー・ランハンスをFrontiers Musicが紹介してくれて、彼らは“Wisdom Of Ages”でその魅力を発揮してくれている。
-あなたの使用機材についてお聞きします。例えばSTORMLORDとSCREAMACHINEでは使用するベースやセッティング、機材等を変えたりしましたか? またプレイそのものにも違いはありますか?
フランチェスコ: 機材については幾つかの違いがあるよ。SCREAMACHINEでは主にフェンダーのAmerican Vintage '58 Precision Bass MN White BlondeとダークグラスのMicrotubes X Ultraでプレイをしている。STORMLORDの場合はアーニーボールのStingRay 5と、ダークグラスのB7kとテック21のSansAmp間で信号を分けたクリーンなDIにしている。残りのペダルボードはほぼ同じで、ダークグラスのLuminal CompressorとHarmonic Booster 2.0を使っている。曲作り同様に今回もフェンダー・プレシジョンのクラシックなサウンドとダークグラスのMicrotubes X Ultraのモダンな歪みを融合させようとしているんだ。
プレイスタイルについては、STORMLORDではギター・サウンドのヘヴィな部分をサポートするために最も低い音に重点を置いている。一方SCREAMACHINE でのプレイはもっと明るくて、ヴォーカルやギターのメロディックなラインを支えるために高いフレットを探ることが多いんだけど、ヴィルトゥオーソのようなプレイをすることはないし、それは俺のスタイルではないね。
-エンジニアリングはすべてパオロ・カンピテッリが行なっていますが、パオロが加入したのはエンジニアリングの技術を持っているのも理由でしたか?
フランチェスコ: パオロはアレックスがバンドに誘ったんだけど、彼はキラーなギター・プレイヤーだし、俺はSCREAMACHINEをツイン・ギターでぶつけたかったからね。彼がメンバーになった後、彼はレコーディング、ミキシング、そしてマスタリングのプロセスにも関わる用意もできていたんだ。これは俺たちにとってとてもラッキーなことだったよ。俺たちが探しているものを完全にコントロールできるチャンスを得ることができたんだからね。
だから俺が言いたいのは、もし君たちがSCREAMACHINEを気に入らなかったらそれはすべて俺たちのせいで弁解の余地が無いということだ(笑) ともかくパオロは素晴らしい仕事をしてくれたと思うよ。クラシックでありながらモダンなサウンドを作り上げてくれた。
-SCREAMACHINEの将来の目標や夢は何ですか?
フランチェスコ: ステージに飛び込んで燃え上がらせることだよ。ここが俺たちの居場所なんだからね。かつて「司祭(=PRIEST)」はこう言っていた。
「1000台の車と1,000,000本のギターが
夜空に力強く叫ぶ
大音量のレースをする場所を見つけた
ロックの軍隊がそこに居るだろう
ぶっ潰せ
この街の中心を直撃するんだ
ぶっ潰せ
徹底的に破壊するんだ」
とね。
-最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
フランチェスコ: 俺は『北斗の拳』から『キャプテン翼』、『タイガーマスク』から『BASTARD!!』、『ベルセルク』、『DEATH NOTE』まで日本のアニメや漫画に囲まれて育ってきたんだ。新婚旅行も日本に行って、俺はいつも君たちに国の文化と強いつながりを感じている。だから俺の音楽の中に遠く離れた君たちの国の雰囲気を感じて貰えると嬉しいな。SCREAMACHINEに興味を持ってくれてありがとう。君たちが俺たちの音楽をサポートしてくれることを祈っているよ。この暗い時代に大音量のヘヴィ・メタル・ミュージックでヘッドバンギングをすることが大いに必要だからね。
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