見出し画像

グローバルIT企業と女子大がタッグを組んで実現する、社会課題の解決──お茶の水女子大学寄附講座2024秋学期

こんにちは。コーポレートシチズンシップリードの日野紀子です。

今年も10月から、お茶の水女子大学でのアバナード寄附講座がスタートしています。4ヶ月の講座期間を通して社会課題について学び、学生自らの手で解決へと導いていくこの寄附講座を、お茶の水女子大学のSDGs研究所とコラボレーションして毎年実施しています。

今年の寄附講座では「防災」をテーマに、アプリ開発を通じて社会課題の解決を目指します。1月の最終発表会に向けて、学生自ら解決したい課題を探求し、プランを固め、12月11日の中間発表会に臨みました。

発表会はアバナードオフィスで開かれ、役員や社員も参加。地方創生施策を担当する大塩大輔さんによるウェルカムメッセージで幕を開けました。

大塩「2024年1月の能登半島地震をきっかけに、国も自治体も防災への意識が高まっています。私も能登地震ではないですが、災害で被災された方のお話を聞く機会があり、まだまだ防災の備えが足りていないのだなと実感しています。学生のみなさんのアイデアの中で、自治体の防災に生かせるようなアイデアがあったらぜひ、実際に紹介したいなと思い、発表会を楽しみにしていました。発想の枠にとらわれず、『こんなものがあったらいいな』と自由に考えて、形にしていただくことを期待しています!」


ディレクター 大塩大輔さん

本当に必要とされる防災アプリを目指して

発表の前に、これまでの歩みを振り返ります。10月2日に幕を開けた寄附講座は、発表会までの9回の間にソーシャルイノベーションを創出するためのプロセスを歩んできました。防災の実際の課題を体験し、気になったテーマを4つのチーム分かれて深掘り。

一度思いついたアイデアをそのままプランにするのではなく、発散収束を繰り返して練り上げてきました。「発散」では、多様な視点や意見を取り入れ、「収束」では、得た意見を自分たちの目的や判断軸に沿って絞り込んでいきます。本質的な問題解決に寄与するものになっているか、想定しているペルソナに刺さるアイデアになっているかを、何度も問い直してきました。

今回の発表会では、これまでに考えたアイデアを

① 提供価値整理
② ストーリーボード
③ アプリモックアップ

の3つの資料に整理し、アバナード社員の前で発表。さらに良いプランにするために意見を出し合い、今後さらにブラッシュアップしていきます。

さて、4つのチームによる発表がスタート……する前に、会場の緊張感をほぐすため、アイスブレイクとして「じゃんけん列車」を全員で行いました。

初対面のアバナード社員と学生が二人一組になり、じゃんけんで負けた人が勝った人の後ろにつきます。最後に残った学生さんがアバナード社員に勝利し、和やかな雰囲気と拍手に包まれました。

「World Café」をコンセプトに開かれた発表会。学生がホスト、アバナード社員が協力者(トラベラー)となり、各テーブルを回ります。世界を旅するように、いろいろな人と意見交換する場を目的としています。

4つのテーブルにそれぞれ2名のアバナード社員がつき、学生のプラン発表に耳を傾けます。各テーブルからは「その着眼点いいね!」「このサービスは欲しいなあ」「発想を転換してみたら?」など、アバナード社員の共感の声と、ブラッシュアップしていくためのアイデアが次々と飛び出しました。

最終的にアプリを実際に社会実装していくために、どのようにプランを進めていくべきか。社員たちは自分たちの専門性や関心に基づいて、客観的にプランを見て意見を出していきます。学生さんたちも真剣な表情で意見を受け止め、熱心にメモを取っていました。

本当に解決したい課題にたどり着くために

お互いに意見を出し合い、盛り上がった発表会。熱気が満ちる会場で、発表を終えた学生たちを前に、トラベラーとして参加した三浦俊朗さん(日本デリバリー責任者)がメッセージを送りました。

三浦「私自身、この発表会に参加するまで、防災について考えることが後回しになってしまっていました。学生のみなさんのアイデアが、日常生活の中で自然と防災について考えることができるプランになっていて、発想が素晴らしいなと思いました。完成したアプリをぜひ、見てみたいです! アバナードとしても開発の部分をお手伝いしながら、実際に使ってもらえるようなアプリを作っていただきたいですし、本質的に自分たちがやりたいことからブレないように進めていただければと思っています。

そして今日改めて、女性のみなさんに社会の中でどんどん力を発揮していただきたいなと強く思いました。今後の活躍を期待しています!」

デリバリー責任者 三浦俊朗さん

参加したアバナード社員に感想を聞いたところ、「発想が面白かった」「刺激になった」「ぜひ形にしたい」との声が次々と上がりました。時間を割いて参加してくださった社員のみなさんに、この場を借りて感謝をお伝えします。

社員のコメントをご紹介します。

三浦さん「発表の内容は期待値以上でした! 我々も日々ビジネスの中で、お客さまに満足してもらえるものを作るというのは難しいことだと感じています。発想と着眼点にはじまり、どこに向かって発していくのかを計画することが非常に重要だと社内で常に共有していますが、学生のみなさんの着眼点が明確でわかりやすかったです。せっかく良い着眼点なので、今後ずれていかないように頑張りましょう、とお伝えしました。地域活性化につながりそうなアイデアもありましたし、さまざまな可能性に満ちていてとても面白かったです」

大塩さん「私たち社員は社会に出て何年、何十年経っていて、ビジネスの制約の中でできる・できないを考えてしまいがちなのですが、学生のみなさんの発想の仕方は柔軟で面白かったです。実際に自分の地方自治体での取り組みと一緒にできることを考えていきたいと思っています。昨年は最終発表会だけ参加させていただいたのですが、途中の過程を見ることができてさらに面白かったですね。今年の最終発表会も楽しみです」

キム・スンジャさん(人事部長)「私は学生さんのアイデアに対して、1回ひっくり返して考えてみることを提案しました。実際に災害が起きたときに、自宅にいたり、家族や知り合いと一緒にいたりするとは限らず、たまたま居合わせた知らない人とも協力していく必要があります。アプリ開発は無機質な過程ですが、自分自身をペルソナとして掘り下げて、人間同士で手を取り合って災害に対応していくときにどのようなことが本質的に求められるのか、もう一段階掘り下げて、より魅力的なアプリを作り上げてくれることを期待しています。チームで作り上げる達成感をぜひ、味わってほしいですね」

人事部長 キム・スンジャさん

諸藤伸作さん(グループマネージャー)「学生のみなさんが、アプリとして使いやすい視点で防災をとらえていて、実際に自分も使ってみたいなと思いましたし、着眼点の良さに驚かされました。アプリを作ってみたら、また足りないところも出てくると思うので、完成までしっかり作って、実装まで到達していただけたらなと思います。私は普段、自治体や官公庁向けのシステムの営業を担当していますが、いまあるものに対して新しいものを提案したりアップデートしたりする観点から遠ざかっていたので、刺激をもらいました。参加してよかったです!」

グループマネージャー 諸藤伸作さん

寄附講座をサポートしている学生スタッフのお二人にも、発表会を終えた感想を聞きました。

松尾ひなのさん(文教育学部3年)「自分も昨年、受講生としてプランを作る中で感じていたのですが、自分たちだけでプランを考えていると、細かいところだけを気にして、開発の本質から逸れてしまうことがありました。今日の発表に向けて内容を整理し、アバナードの社員のみなさんに真剣に聞いていただくことで、改めてプラン全体を見直すことができたと思います。収益や継続性というより、社員の方それぞれの専門的な知見や趣味などから真剣にアイデアを出してくださって、チームのみなさんがうれしそうな表情をしていたのが印象に残りました。これから使えるアプリの形にできるよう、サポートしていきたいです」

奥村佳奈さん(文教育学部2年)「受講生の方が社員のみなさんと話し合う中で、世代の違いも新しいアイデアの発想につながったとのコメントを聞いて、いろいろな意見をプラスに変えていく受講生のみなさんの力が素晴らしいなと感じました。私も受身がちな自分を変えたくて去年寄附講座を受講して、今年は学生スタッフとして参加しているのですが、本当に毎回刺激的で、学びが多い講座だなと思います」

発表を終えた学生さんからは、「寄附講座で自分から意見をたくさん出したことで、他の授業でも意見をどんどん言えるようになった」「自分から意見を出すのが苦手だったけれど、発想のプロセスから学ぶことができ、物事を考える上でも役に立っている」など、自分の成長を感じる意見がたくさん聞こえました。とってもうれしい変化です!

会場では懇親会も行いました! 学生スタッフが準備したクイズ企画もあり、大いに盛り上がりました

発表会後の授業でも感想を聞いたところ、「改めてペルソナを確認するきっかけになった」「自分たちのポリシーを大切にしよう、という意見が参考になった」と、アバナードの社員の意見が新しい視点をもたらしてくれたという声が。

また、「アバナードの方達の、アプリをもっとより良いものにする、という思いが伝わってきた」「意見をどんどん出してくれて、充実した時間になった」などの感想もありました。“アドバイス”ではなく対等な視点で“アイデア”を出す社員と有意義な時間を過ごせたようです。

寄附講座は1月末の最終発表会に向けて、いよいよアプリ開発のフェーズに入っていきます。次世代のデジタル社会を担うチェンジメーカーたちの挑戦を、引き続きアバナードは全力で後押ししてまいります。最終発表会では、どのようにプランがパワーアップしているのか。社会に真のインパクトを与える新しいチェンジメーカーとツールの誕生をぜひ、ご期待ください。


アバナード(株) コーポレートシチズンシップ 日野紀子
編集協力:SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSさん
撮影:村上悦子さん


いいなと思ったら応援しよう!