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星を掬う/町田そのこ
最近、夜お風呂に入ってから寝る前の30分間本を読むことにしている。
町田そのこさんの作品は
・52ヘルツのクジラたち
・夜空に泳ぐチョコレートグラミー
・ぎょらん
を読んだので今回の作品で4作目だった。
最初この本を書店で見た時に''装丁が綺麗だな’’と思った。言うなればパケ買いである。
【あらすじ】
千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、かつて自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、家事を完璧に担う彩子と、聖子を理想の「母」と呼び慕う恵真。
「普通」の家族関係を築けなかった者たちの奇妙な共同生活は、途中、うまくいきかけたものの、聖子の病で終わりを告げ――。
すれ違う母と娘の感動長篇。
【読んだ感想】
・いろんな感情を引き出す物語、平凡な幸せをありがたいと思える作品。
・前作の「52ヘルツのクジラたち」でも人々が抱える孤独や辛さの描写が鮮烈に描かれていたけれど、今回の作品は悲しみ・つらさの描写がさらに鋭くなっていて研ぎ澄まされていた。凄みが増していて読み手の心を抉る容赦のなさがあった。最後に主人公が少し前向きになれたのがせめてもの救いではある。
・人を恨んだり、妬んだり・人のせいにして不幸な気分に浸るのは楽だけどそんなことを続けていても一生幸せになれないし、過ぎた過去を悔やんでも意味が無い、今自分の持っている武器でどれだけ戦えるかを考えるようにしないといけないな…..と思えた。
・自分の家庭的に共感できる部分も多いテーマだったし、主人公が自分の弱さを乗り越えた結果母娘の心地よい距離感が少し近づいたのが心に染みた。
・物語終盤で帯の【手に掬い取れるものが、星のようにうつくしく輝きを放つものであればいい。そのひとつに、わたしとの記憶もあったら、嬉しいな。】の伏線が綺麗に回収されて清々しい気持ちになった。
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【心に響いた・考えさせられた言葉を抜粋】
「自分の手でやることを美徳だと思うな。寄り添い合うのを当然だと思うな。ひとにはそれぞれ人生がある。母だろうがおやだろうが、子供だろうが、侵しちゃいけないところがあるんだ」
自分の人生を、誰かに責任取らせようとしちゃだめだよ
君がさっき恵真に言ったことは、弱者の暴力だ。
傷ついていたら誰に何を言ってもいいわけじゃない。
自分の痛みにばかり声高で、周りの痛みなんて気にもしないなんて、恥ずかしいと思えよ
加害者が救われようとしちゃいけないよ。自分の勝手で詫びるなんて、もってのほかだ。被害者に求められてもいないのに赦しを乞うのは、暴力でしかないんだ
「私の人生は、最後まで私が支配するの。誰にも縛らせたりしない」
町田そのこさんの作品は現代社会の抱える問題を多く取り上げた題材が多く、読み進める手が何度も止まる事もある。それでも、今を生きる私たちには考えていく必要があるんだよ。と訴えかけてくるのが好きだ。