発覚(2)
そして次の日。
診察室に呼ばれてみると、いたのは昨日の女医ではなく、別の男性医師でした。
「あのね、あなた腎臓の数値がね、大変なことになってますよ。血中クレアチニンがね、3.2」
ほぼ無意識だったのですが、私はその時驚きすぎて
「わお」
と声を発したようです。
「いや、わおじゃなくてね。このままだと透析だよ」
実は20代から慢性糸球体腎炎を患っています。ただ、診断当初は腎機能自体は全く落ちていなかったので、それからも健診のたびに尿検査で引っかかるのですが「あー血尿とタンパクは出るんですよしょうがないんですよ」的な雰囲気でやり過ごしてきたのです。それでもここ5年ほどで血中クレアチニン値が高くなってきていて、やばいな気を付けないとな〜と思いつつ、特に治療もせずのほほんと暮らしてきたのです。
しかも、3年前に現住地に引っ越してきてからは、転院した先が呼吸器科専門で、ほぼ喘息しか見てくれなかったのです。
「でね、この推算GFR値ってのは腎臓がどのくらい働いているか計算して割り出したものでね、この数字パーセント動いてるってことだけどね、この数値が13だからね」
つまり、私の腎臓はもう13%しか稼働していない。
流石に青くなりました。これはまずい。乳がんなんぞでふわふわしてる場合じゃない。極論言えばガンなんぞ切ったらいいだけ。だが透析にでもなればその先の生活が変わる。仕事にも影響が出る。50歳。とりあえず死にそうな気配はない。先は長い。いやまずい。これはまずい。なんてこったい。
当然、医師に軽く叱られました。
「かかりつけでは血液検査とか血圧とか見なかったの?(肺活量とかピークフローとかしか見てないっす)」
「前に血液検査したのはいつ、何処で?」
「え、去年ここで? え〜なんで誰も何も言わなかったの……(そんなこと言われても)」
なんとなくなのですが、血中クレアチニン値が2未満だとそれほど重要に取らない医師が多い気がします。私も2を超えたら流石に病院を探したと思うのです。そうなんです。
去年は1.9だったじゃないか!(正常値0.47〜0.79)
その前は1.5だったじゃないか!(正常値0.47〜0.79)
いきなり3.2って、なんだそのすっ飛ばしぶりはああああ!
「とりあえず血液検査とあと、超音波で見てみましょうかね。検査の予約して帰ってください。あと紹介状、大学病院にしときましょうか」
紹介状が増えてゆく。
そして次の週。
「やっぱり乳がんで確定です」と言う女医から乳腺外科の紹介状1通。
「腫瘍とか石とかは無いみたいだねー」と言う医師から腎臓内科の紹介状1通。
「ついでだから喘息も大学病院に転院しといたほうがいいよ」という助言のもと、かかりつけ医に説明して貰ってきた呼吸器科の紹介状1通。
計3通を抱えて、大学病院へGO!となりました。