内シャント設置術
入院の過程があまりに冗談だったのでさらっとしか書きませんでしたが、今回の入院で血液透析のための手術「内シャント設置術」をしました。
血液透析は4時間くらいかけて全身の血液をまるっと吸い出し、機械でいらないものを排除して、また体に戻すと言うとんでもないことをするので、何が必要かと言うと「それに耐えられるだけのふっとい血管」が必要なのです。だから腎臓が急激に増悪して緊急血液透析が必要な場合、透析は「首」からやります。
で、「内シャント設置術」というのは何をするかと言うと、腕の静脈を1本選びまして、手首あたりでその静脈と奥にある動脈を繋げてくっつけてしまうのです。
そうなるとどうなるか。今まで動脈→毛細血管→静脈と流れていた血液が一部ショートカットして動脈→静脈と流れます。静脈は突然血量増えるわ動脈にかかる圧がそのままの勢いで流れ込むわで、うっかり太くなってしまうのです。おおよそ1ヶ月くらいで透析に耐えうる太い血管ができ、首なんて危なっかしいところで透析をしなくてもよくなるわけです。
「禁断の人体改造」感を覚えるのは私だけでしょうか。私だけかもしれません。
ところで、私は非常に血管が細いらしいので、検査で採血なんかがある場合、まずは謝罪と自己申告からです。「すみません! わかりづらいっす!」。大抵同意されます。時々「わかりますよー」なんて言いながらすいすいと採血されたりすると「惚れてまうやろ!」となります。
で、それがどうやら手術中にも起きたようなのです。
手術は局所麻酔で行いますが、まず脇の下に麻酔を打たれます。大学病院だもんで周りに生徒がいて、執刀医(陽気なおっちゃん)が説明していたのですが「上腕動脈の横にある上腕神経叢に浸潤麻酔を注射する」という行程だったようです。(正確かどうかはわかりません)
「これ注射すると指とか動かしにくくなるかもしれませんが、明日くらいには戻りますからねー」
が、どうも見つからなかったみたいなんです。上腕動脈が。
執刀医が脇の下や二の腕とかを探りながら「上腕動脈、無いってことないよなあ」と呟いていたりしまして。で、麻酔自体は打たれたのですが、これがいつまで経っても指は動くし感覚は正常だし麻酔の気配もない。
もしかしてですが、外しましたよね先生!
ええ、おそらく私が悪いんです。上腕動脈も細かったんだろうし、脇にも二の腕にも大量にポニョがいますから。ええ、ええ。
「…あの、さっきの麻酔効いてない感じなんですが」
「ちゃんと局所麻酔はしますから大丈夫ですよー。痛くて叫びながら手術とかにはならないですから!」
痛かったっす先生!!
そりゃ麻酔はありましたけど、思っていたより随分痛かったです先生。割と呻いてしまったっす先生。局所麻酔って痛くなくても感覚はちょっとあって、それがいたく気持ち悪かったりもして、まあとにかく、割と苦行でした先生!
その後も、傷だけでなく、おそらく血管が膨らむ痛さや鬱血するような痛さ(血液の流れが結構変わったはずです)があり、痛み止めの点滴を貰ったりしたのでした。個人的には乳がんの手術よりよっぽど痛かった。
しかも内シャントって普通は利き腕の反対側に作るのですが、私は利き腕の右腕に作られてしまいました。理由は乳がんの手術が左胸だったから。手術の際すこーしだけリンパに触っているので、どうしても左腕には年単位でリンパ浮腫の危険があるのだそうです。
痛みが無くなり日常生活に支障がなくなるまで、退院後1週間くらい必要でした。さて、そろそろ血管を太くするために100均で買ったゴムボールをにぎにぎする作業に戻ります。にぎにぎ。